きらきらひかる…
まだまだ先だと思っていたけれど…
もう3ヶ月足らずで私立高校の入試が始まる。
6年前のある日。
"ねぇ、受験当日見送ってあげよっか?"
"や〜、いいよ。何か恥ずいしさぁ"
"ふうん、そっか。わかった!"
これはもう想定済み(笑)
1ヶ月を切るとだんだん不安や焦りやらでそわそわ落ち着かなくなってくる…
あの年齢は女の子の方がしっかりしていて精神的には強い。
"ねぇ、勝率いいの?"
(ほら来た!やっぱり(笑))
"うん?今のとこ男子は100パーだね。
見送ってあげよっか?"
"あ、うん。え?女子は?"
"女子はいつも断られるんだよ。ひとりで行けますって(笑)"
"女子強〜っ!(笑)"
"そう、女子は強いんだよ?(笑)"
* * * * *
早朝7時には最寄り駅に着いた。
(事前に下見に行き改札の場所を確認してどこに立っているかも伝えてある)
まだ寒い早朝、マックでコーヒーを飲んで待つ。ただただその時を待つ。
30分前から駅の指定した場所に立って改札から出て来る人の波を見る。
職場へと急ぐサラリーマンやOLさん、作業服を着た人や私立に通う小学生…
"ああ、それぞれの長い長い"今日"と言う一日が始まるんだな…"
ぽつりぽつりと早く着いた受験生が改札を出て来た。文武両道の伝統ある私立高校。
少し緊張した表情の子、連れ立って楽し気に話しながら来るのは決まって女の子。
そして保護者が付き添うケースは何故か男子の方が多い。
先程から改札の反対の端に同業者の方々が。
"わわっ、スーツ着てるし、数人体制。
ジーンズの私とはだいぶ違うなぁ(笑)"と思っていた。
"めちゃ人が多くて皆、制服着てるのに探せるの?"ときみは言ったね?
大丈夫。大丈夫なんだよ?どんな人混みの中からでも絶対に見つける自信があるんだよ、私。
長い長い時間を共有して今日まさにこれから目指す高みに辿り着こうとしているのだから。
紺のブレザーに黒のマフラーを巻いたきみが改札を出て来た。
あ!と思った瞬間、隣に友人がいるのに気づいた。
(プレッシャーをかけない様に)声もかけないし手も振らないと約束していたので一瞬目が合って軽く(大丈夫だよ!と心の中で呟き)私がうなづくときみも"うん"と私にだけ分かる様にうなづいたね?
何だかその瞬間だけ時間が止まって永遠にも思えた。
改札を抜け友人と並んで歩くきみは真っ直ぐ出口へと続く階段を登って行った。
そして登りきった所で一瞬振り返って私に大きくうなづいたね?
"俺、頑張るから!"
朝の日差しを顔半分に浴びてきみがきらきら輝いて見えた。
(大丈夫!きっと合格する!)
もう大学生になり就活を始める年になったきみ。どんな大人に成長しているのだろう?
合格発表の日に彼から貰った長い長い便箋6枚の手紙…
オレと出会ってくれてアリガト。
結びの一文を読んで帰りの電車の中で号泣したよ…
ありがとう、一生忘れない。
*読んでくださった方、いつもありがとうございます