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最低賃金すら貰えない役者達

小劇場は、往往にして稽古期間に台本が仕上がる、ということがあります。
それ自体は全員の同意が得られれば問題ないと思いますが、

「役がめっちゃ端役なのに週6で稽古。自分のためにもならないけど降りられない」
という役者が出てしまう可能性がありますよね。

しかもノルマありギャラなしバックなし。
日本で一番最低賃金の低い鹿児島の761円も貰えない。

ちなみに東京の最低賃金は985円。
稽古20日一日6時間、小屋入り7日一日10時間拘束だとすると
最低187150円貰わないと正当な労働とは言えないのです。

19万近くギャラを出すのは難しい。。。
と思っても、
「これが最低賃金なんだ」
と知っておくことは良いことだと思います。

ちょっと試算してみました。

【人件費】
演出家・役者(10人)…稽古20日一日6時間、小屋入り7日一日10時間拘束
音響・照明…稽古3日6時間、小屋入り7日一日10時間拘束
制作(2人)…事前準備10日6時間、小屋入り7日一日10時間拘束
衣装…制作時間70時間

【その他経費】
劇場代…50万円
大道具…30万円
衣装…20万円
雑費…10万円

もっとかかるかと思いますが、ざっとこんな感じで試算します。

演出家・役者(10人)…2058650円
音響・照明…173360円
制作(2人)…256100円
衣装…68950円

合計すると…
3657060円!!
365万円ですよ。

これだけの利益を8ステキャパ70の小屋で、入場率8割で計算すると
チケット代は8163円。

こんなもん出せるわけないだろ。
というのが本音かと。

けれど、これが本当は必要なお金なのです。

現実問題として、ノルマが必要なことはわかります。
お客様を呼べないとお金も集まらないですからね。

最低賃金のギャラを出せないのも
小劇場の現在の仕組みとして難しいのも上記の試算でわかっていただけるかと。

けれど、東京オリンピックでも問題になっている
ボランティアと呼ばれる「やりがい搾取」は
極力お返しをしてあげるべきだと思うのです。

お芝居をなんのためにやっているのかによって違いますが
少なくともプロになりたい人は
やりがい搾取をされてはたまったものじゃありません。

生きていくために必要なお金を
多くの時間をかけて行なっていることで稼げないのは
かなり辛いことだと思うのですよね。

役者の負担もお金の負担も減らすには
時間の効率化が一番簡単です。

事前に脚本やプラン説明なんかをちゃんとしてあげると
お互い時間の無駄はなくなるのではないかな、と思います。

授業でやったのですが

労働はお金のためです。
つまり労働とお金は等価価値。
では労働とは?
現在の日本だと時間です。

この「労働をする」ということに何を見出すか。
多分、満足とか幸福なのではないか。

舞台を作るのも、大きく言えば労働です。
その満足はどこに求めるのか。

拍手なのか、お金なのか。
はたまた違うものなのか。

「演劇の価値」というものを
お客様に伝える前に
中にいる私たちがもう一度考えなければならないのではないでしょうか。

いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!