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演劇がなくなる日

シアターガイドが休刊になりました。

Webの演劇ニュースなんかはチェックしていたのですが
紙媒体を買ったのは一度だけ。

私は、シアターガイドがなくなって悲しむ資格はないと思います。
でも、「シアターガイドがなくなる」ということがどういうことかについて考えました。

演劇情報誌、私はあまり買わない。

シアターガイドを買ったのは、Twitterで誰かが「このコラムが良い!」的なことを言っていたから。演劇の情報も集めたかったし、ちょうどいいと思って買いました。

そのコラムは面白かったけれど、翌月からは買わなかった。なぜだかは明確な理由はないけれどなんとなく、買わなかった。

次に演劇情報誌を買ったのは、自分の団体の講評がテアトロに載ったとき。
これは買わない理由がなかったから買った。他の内容も読んだけど、そのあと買っていない。

演劇情報誌は、映画雑誌と比べて難しいものだと思う。
映画は演劇に比べて長い期間上演していることが多い。
情報が雑誌に載ってからでも観に行くことができるんだと思う。

けれど、演劇はそうも行かないことが多いのではないか。
詳しい日時が書いていないのだけれど
多くが公演が終わったものの劇評、だと思う。
公演が続いていたらきっと日程書いてあるよね。

それだと、その公演が気になっても観に行くことはできないし
次の劇団公演まで待つと言っても熱が冷めてしまう。

これだと、色々難しいよね、と。

もちろん、よく読んでみるととても面白い。
けれどそれを体験しにいけないというのは、私はなんとも言えない感覚を覚えてしまう。

演劇は、生で観て初めて価値が出るもの。
それを体験できないのは、大きな機会損失なんじゃないか、と思う。

ターゲットはどこだったのだろう

私はTwitterをメインで見ているから伝わってこないけれども
シアターガイドのターゲットはどこだったのだろう。

紙媒体だからお年寄りなのかな、とも思うけれど、
お年寄りは小さな文字を読むのはキツいと思う。

好きな劇団や劇場なんかがあれば、メルマガに登録すれば情報は手に入る。
講評が読みたい、という人が一定数いるとは思うが、その年代は?趣味嗜好は?同じだとは思えない

雑誌のターゲティングは、ファッション誌なんかだと簡単だけれども
例えばカメラとかはどうなのだろう。
メーカーとかで分かれているのかな?
その辺にも、演劇情報誌が生き残るヒントがありそうだな、と思う。

情報を羅列するだけの時代は終わった

私の所属する研究室の前には、雑誌が20冊ほど置いてある小さなロビーがある。
主にデザインにまつわるものだけれど、その個性は様々。

ミニマルな生活を促進するもの
ギャル系
OL向け
個性派雑誌

など、それぞれターゲットが異なる。

これから演劇雑誌は生き残るには
もっと濃い「物語」が必要なんだと思う。

大きな劇場で公演したものや、何かの賞を受賞したものを載せるのがあってもいいけれど
この雑誌にはいつも不条理劇の講評が載っているとか、ミュージカルのいろはがわかるとか
その雑誌にしかない、もっとターゲットを絞ったコンセプトで運営できればいいのかな、なんて。

文春だって新潮だって、同じ週刊雑誌だけど内容は全く違う。
きっと、雑誌に色々盛り込むのではなくて
小さな分野の雑誌をいくつも作った方が買う人は増えるのかもしれない。

そこのコストとかはよくわからないから無責任になってしまうけれど。

演劇がなくなる日

演劇は、このままだと廃れると思う。
演劇というもの自体は残るかもしれないけれど
演劇が発展する、というのは難しいのかな、なんて。

情報を手に入れる媒体が一つなくなった。
それはきっと、演劇が廃れる第一歩なのだと思う。

シアターガイドに続く演劇雑誌(ではなくても情報を伝えられるもの)を作るには、とても時間がかかる。
その時間が、果たして残されているのだろうか

私たちがうかうかしている間に
演劇は立ち上がれなくなるのではないか。

私はそんな恐怖に似た何かを感じています。

毎日劇団が生まれて消えていく中で
演劇の情報を伝えるものがなくなれば
いずれ演劇はなくなるでしょう。

もしかしたらこのシアターガイド休刊は
演劇がなくなる日までのカウントダウンの始まりなのかもしれない


シアターガイドさん、長い間ありがとうございました。
これをきっかけにもっと演劇のあり方について考えて行きたいと思います。

いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!