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オペラ歌手の同級生と、平成最後に会った話。〜どうやったら芸術が身近になるんだろう〜

平成最後の日、大学の課題のフィールドワークを終えた私は新宿のスタバにいました。

たまたまTwitterで、平成に芸名を置いてきた、中学の頃から共に演劇をしている加藤彩(色鳥トヲカ)が近くにいることを知りお茶をしてました。

そこに、なんだか見たことある顔が店内に。

彼は鳥尾匠海くん。芸大卒業後、国立劇場のオペラ研修所で勉強している彼は、私と加藤(がどぱんと呼んでます)の中高の同級生です。
偶然再開して、5年振りくらいに芸術を志している私たちは話す機会が与えられました。

オペラは、お話の内容が全部わかっている。

私はオペラには詳しくないので間違っていることも書いてしまうかもしれないのですが、
オペラにも古典と新作があるそうで、古典の作品はお客様が内容を知っています
その古典の台本の解釈の違いで、「これは好き」「解釈違い」などと評価が分かれるそうです。
国からの助成金制度もあり、助成金を獲得するためにマイナーな作品を上演する団体もあるんだとか。

演劇と同じところは、チケットノルマがあって出演するところ。
有名な人が出てない作品には人が集まらないところ。

ただ、違うのは
オペラは多くの作品が内容を全部わかった上で観る
ということ。
これは小劇場演劇にはあまりないな。。。と思いました。

私が主宰する劇団Яealityも、再演をしました。
何年も続いている団体は、きっと再演している作品もあるのではないかな、と思います。

けれど、それは劇団内の話であることが一般的なのではないでしょうか?

私の観る限り、どの団体も団体オリジナルの作品を書き下ろしている印象があります。
それが表現として面白くて私は好きなのですが、
やっぱり内容がわからない作品にひょいといくのは難しい、とも感じています。

つまり
作品の内容でお客様が呼べない
ということが、一つのネックになっているのでは?

全く知らない物語を楽しむ、というのが楽しみの一つである演劇。
物語の解釈を楽しむオペラ。

どちらも一長一短だな、と思います。

現在のカルチャーから見る考察

例えば音楽は、ストリーミングとかで知った音楽などで事前に「どんな曲か」「誰が詩を書いて誰が歌っているのか」「どんな雰囲気か(ここ重要!)」がわかります。

音楽を買うまでの流れは、
もともと好きなアーティストとか
友達からのおすすめとか
YoutubeでMVを見て気になったからとか
色々あると思うのですが

ライブにいくときは、多くの方が「曲を全て知っている」状態で臨むと思うのです。

最近、我が家には嵐さんのDVDがあるのですが
曲を知らないで見た時と、曲を知った後見たのでは
感想が大きく異なる上に、知ってた方がたのしいな!?と思いました。

例えば歌舞伎とか、フィギュアスケートとか、
事前に知ってて楽しむものって多いな……?と気づきました。

自分の中で想像していた世界と、目の前で繰り広げられている世界がどこまでリンクするのか、ということを楽しんでいるのかしら?
あまりそういう「事前に知った上で楽しむ」ものに親みがないので想像でしかないのですが
空想が具現化される楽しみというのは確実にあるな、と思います。

そう考えると
演劇って時代逆流してない……?

時代の波に乗ることが正義ではありません。むしろ型を破ったからこそ面白いものもある。
でも、「お客様を増やしたい」と願う私を含めた人々は、ちょっと考えなきゃいけないのかな、と思います。

前にどこかの団体が、「台本全部公開します!」ということをやっていた記憶があります。
あれを見たときから「めっちゃいいやんそれ」と思ってました。

内容を知った上で見ると、特に作り込まれた作品は見やすくなったりするのかなぁ、なんて。

事前の情報をどこまで届けるか」というのが、令和の課題だと私は考えています。

ネタバレを異常に怖がるのはなぜだろう

鳥尾くんやがどぱんと話した話題の一つに「ネタバレ」があります。
先述したように、オペラはネタバレという概念があまりないというか、知ってることが前提みたいになっているのかな?と思いました。

それに対して演劇は、感想ツイートを読んでも内容が全くわからないものが多くなっています。
私が感想ブログを書いたら「ネタバレ注意!」と言われたことも。
ええっこの程度でネタバレなの。。。と思った記憶があります。

演劇って、お客様が観て初めて成立するものだと私は考えています。
それって、「観た」という事実ではなくて、その作品を見てどう「解釈」したのかが重要なのではないでしょうか。

私的にはその「解釈」がとても聞きたくて自分の作品や観に行った作品のハッシュタグを漁るのですが、なかなか踏み込んだものがない。。。

あなたの!!!!!解釈が!!!!知りたいの!!!!
という場合は、アンケートを観た方が早いです。
でも他団体だとそれができない。

Twitterで呟く意味があるのだろうか。。。とちょっと真顔になってしまうことも。

なぜこんなにもネタバレを恐れるのだろう、と疑問でもあります。
知りたくなきゃ見なければいいのに。なんでだろう、不思議。。。

詳しい方、ぜひ教えてください。

助成金がなきゃ赤字という事実

鳥尾くんは、オペラ公演には国から助成金がでる場合があるという話をしていました。
実はЯeality助成金を申し込んだことがあるのですが、もちろん通りませんでした。

そして「助成金がなければ赤字のことも」という発言にちょっとびっくりしました。
格式あるオペラでもそうなのか、と。

チケットノルマと助成金で成り立っている公演。
これって結構深刻だな、と。

前に、オーケストラもそんな状態だと聞いたことがあります。
なんということだ。

当然、Яealityは助成金はなく、大学生でありながら母体大学がないので稽古場から運営までポケットマネーでやってました。
そりゃ規模が大きくなったら赤字になるわけだ。

観客数が増えたら解決するのか、はたまたもっと違う問題なのか、探っていこうと思います。理由がわかったらまたまとめます。

芸術って、難しい。

オペラと聞いたら、蝶々夫人とか何個か知ってる演目があると思います。
演劇だって、レミゼとか有名ですよね。劇団四季もある。

二つとも、存在を知らない人はほとんどいないはずなのに、
観てもらうことが難しい現状。

それは何が問題なんでしょうか。
告知の仕方?知名度?親み?

おそらく複合理由で一概には言えないとは思うのですが、
その「敷居が高い」と思われる理由の一端を知れれば
もっと多くの人が芸術に触れたいと思ってくれるのではないか。

今は「体験価値」の時代。
令和はどうなるかわからないけれど
様々なことを体験できて、個々人が自分に合った豊かさを手に入れられる時代になればいいなと思います。

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