「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」感謝祭 「二輪咲き」はこんな話

今回これを書くためだけにブログを開設した。
一応持ってるんだけどね。過去のオタ活動の変遷が生々しくてあまり公にできないのでわざわざこのような形を。


さて、リリウム感謝祭両日、行ってまいりました。
普段は読むことに漁ることに徹していますが、もう手が書きたがって仕方がないものでして。繭期をどうにかこうにか、抜け出せないか、でも本当は抜け出したくないのかもしれない、いやどう考えても永遠に終わって欲しくないと思っているのだけど、何か書いてないとやっていけないわけです。ちなみに、三部作(私が)理解しやすいようにストーリーの話をするときだけファルスの表記を「ソフィー(ファルス)」とします。(結構あれってなる。ファルスがソフィーでクラウスはTRUMPであれってなる)
とりあえず二輪咲きについて書こうと思います。ただのネタバレです。

ちなみに私は、LILIUM、TRUMP(DステTruth版)、SPECTERをDVDで確認済みです。

「二輪咲き」はこんな話

第一部 永遠の繭期の情景「LILIUM新作短編演劇〜二輪咲き」

①シルベチカとリコリスの話
リコリスはほんと突然登場します。あらリコリス、と。特に何の変哲のないクランの1少女として。そしてシルベチカとだけ一緒にいます。
一番の不明点としては、リコリスのセリフである「私とあなたは二人でひとつ」の理由。例えば、シルベチカとチェリーは後にも書くが、クランに来る前からの幼馴染。だからキャメリアよりもチェリーの方が大切に思うなど、リリウムでは明かされなかった関係が登場しても受け入れやすい説明がついてくる。しかしリコリスとシルベチカは?二輪咲きではやたら二人でいるが、どうやらチェリーよりも深い仲のように思える。幼馴染よりも…?なぜ?そのわかりやすい説明はない。そして会話途中シルベチカは度々眠くなってその場を去る。ここらへんがこの話のポイントかと。

結論はまた後で書きます。

②マリーゴールドがクランに来る日の話
「みんな集まってと紫蘭お姉さまと竜胆お姉さまが呼んでます!」と騒ぎ倒している少女たちに割って入るのがチェル演じるピーアニー。みんながガヤガヤ集まったそこには紫蘭竜胆、そしてマリーゴールド。しかしリコリスは不在。紫蘭にマリーゴールドが自己紹介をしなさいと言われるも、「なんで」。それが当たり前だからだというと、「私には当たり前じゃない。私の当たり前は…みんな大っ嫌い」みんなをどん引かせて立ち去る。
そこで始まる噂話。「マリーゴールドってダンピールらしいよ」「まじで?」そこからのダンピール叩き。慌てまくるチェリー。おそらくこの頃からチェリーのダンピール嫌いが始まった模様。それまでクランにはダンピールはチェリーファルス以外にはいなかったのかもね。

そしてシーンは変わり、今度は紫蘭と竜胆に連れられてソフィー(ファルス)の元にやってくるマリーゴールド。「離して!何するのよ!」クランに入るために行う儀式。ソフィー(ファルス)はマリーゴールドを噛み、イニシアチブを掌握。「君を幸せにしてあげるよ」

③シルベチカはやっぱり段々ファルスと同化してた話
とにかくストーリー内の立ち位置的にもリリウムのリリーそのもの。「1年前にクランにきたはずなのにもっと前からいるかのよう」「たまに昔のことを思い出せなくなる」など、自分の異変、クランの不思議に気づいている。このまま生きていればリリーのように不老不死の体を手に入れてしまっていた説はこれで殆ど確定かと思われる。

「あれ?私なんで生きているのかしら」「塔の上から飛び降りた夢を見た」やたら不思議ちゃん発言をリリー並みに繰り返し冒頭は周りのみんなに何言ってんだこいつ薬たりてねえな扱いをされる。チェリー「あんた…生きてるよ?」リリーとチェリーに話すシルベチカについて、隣で「ごめんね二人とも、変なことばかり言って」とリコリスがフォローする。ここもポイント。
シルベチカは自分の死を予言しており、これはSPECTERでのサトクリフの繭期の症状(触れた人の死を見ることができる)そのもの。ただ、サトクリフは自分の死は見ることはできず、シルベチカは他の少女たちに触れても死を見ることはないため(無意識的には使えない能力なのかもしれないが)、サトクリフとは真逆の能力なのかもしれない。繭期による特殊能力だとシルベチカに教えるのは相談されたリコリス。「予知夢だったりして!」「そういう能力のことをイレギュラーっていうのよ」

④チェリーの片思いの話
チェリーとキャメリアが昔は仲が良かったというネタは有名だが、まあ想像もつくようにチェリーはキャメリアのことが好きだった。だからすぐちょっかい出したり無駄に反応しちゃうチェリー。
そしてシルベチカを呼び出し、「私とあなたは幼馴染、どんなことがあっても揺るぎない固い友情で結ばれている」と前置きをして二人が付き合っているかどうか聞いちゃったりする。そして、それに対してシルベチカはぼんやり顔で「付き合っていない」「なんとも思っていない」と言う。「え?(絶対付き合ってる、好きという答えが返ってくるとおもっていた)シルベチカどうしたの?」と動揺しまくるチェリー。特に気になったのは「キャメリアのことを好きになるわけがない」何も、あそこまで仲良くしといてそこまで言う?というセリフ。こりゃキャメシル兄弟説も浮上するわけだ。
千秋楽だけ追加されたシルベチカのセリフに「それに…キャメリアのことが好きなのはチェリーでしょ」「チェリーの恋を応援する」というのがある。これはこの後リコリスとの会話の中で出てくるもので、チェリーとの会話の中ではシルベチカがチェリーの片思いのことを知っているかどうかまではわからない。

⑥紫蘭と竜胆はソフィー(ファルス)の何の手助けをしていたのかわかる話
結局ファルスは時間潰しのためにクランを作ったわけではなくて。お父さんのクラナッハ(SPECTERに出てくる庭師。TRUMPであるクラウスの血液を栄養剤として永遠に枯れない花を作ろうとする。死に際にソフィーに向かって「永遠に枯れない花を君がつくってほしい」と言い残す。)のようにただただ不老不死の薬ウルを、永遠の友を作り出すために3000年生きているわけじゃないですか。二輪咲きにもウルを少女たちが飲むシーンは冒頭に出てきますが、リリウムでソフィー(ファルス)が言っていたようになんと少女を殺すシーンが満を持して登場するわけです。
クランに少女を集める→紫蘭と竜胆と共にウルをつくる→少女たちにウルを飲ませる→ウルが効いてそうな少女を選びだす→紫蘭と竜胆に連れてこさせる→ファルスが少女を殺す
今回「適合試験者」に選ばれてしまった少女が、チェル演じるピーアニー。まるで選ばれておめでとうのような言い回しでチェルに言い渡す紫蘭が最高に繭期。

⑦なぜファルスと名乗っているのかわかる話
少女を殺すシーンの続きとなるが、このときピーアニーはソフィー(ファルス)にたいして「まさか…TRUMP?」と言います。そこで最高のファルス節かまして「僕が?TRUMP?」と大笑いするのです。「あんなやつと一緒にするな!!」「クラウスなんかと!!」3000年経ってもクラウスのことを呪っていることに驚いた。いや、年月が経てば経つほど呪いは増すのだろうけど、だって死ねないんだから。でもリリウムでは「あなたがTRUMP?」の質問をスルーしていたから今回はどんな返しをするのかドキドキ見てたらこれだったのでもう絶望という名の胸の高鳴り。
そして、表題の件ですよ。「僕はTRUEなんかじゃない、FARCEだ」と。
これも有名なネタですが、まさかこうやって彼自身の口から聞ける日がくるとは思っていなかったのでこれまた絶望。でも竜胆は言うんですよ、「私たちにとってはあなたはTRUMPですよ」と。そして「御館様、さあ、スティグマを刻むのです」と紫蘭が短剣を差し出します。

⑧ソフィー(ファルス)がTRUMPと同じポーズをする話
ソフィー(ファルス)はピーアニーに向かって「僕が君を守る。君を死なせやしない…。」と強く囁き、突き刺した短剣を引き抜くのですが、このセリフ…私はSPECTERの萬里を思い出しました。萬里は偽名で、捨てた名前こそ「ソフィー」。ソフィー(ファルス)は彼からその名前を受け継いでいます。もう誰も死なせたくない(ファルスの場合孤独になりたくない)という強い気持ちも受け継いでるのかもしれない。ちなみに萬里(ソフィー)の亡き妻の名前は「リリー」です。もう誰も死なせたくないという気持ちは彼女を失ってしまった思いから生まれているのです。繋がりすぎて絶望しか生まれない。

前置きが長くなったけれど、結局ピーアニーはあっけなく死んでしまいます。「無理なのかもしれない。ウルを作り出すなんて星を掴もうとするのと同じようなこと」と紫蘭がものっそい前振りブッ込んでくるから目見開いてソフィー(ファルス)ガン見したら「星…?」と呟いてクラウスばりのスローモーションで星に向かって両手を伸ばしていきます。ライティングもクライマックス感満載に神々しいステージを演出していて、ソフィー(ファルス)も瞳孔まで開き星をしかと見つめる。星の遠さに絶望しながら手を握りしめ、そのまま膝から崩れ落ちる。落ち込むソフィー(ファルス)に覆いかぶさるように抱きつく竜胆紫蘭。「すまない、竜胆、紫蘭。」震声。「でも僕は必ずつくってみせる」力強く。今回リリスノファルではない分この三人が際立っていて有難かった。紫蘭竜胆には1本作れるくらいのストーリーがあるみたいですからね。。ちなみにこの様子はスノウに盗み見られてしまいます。

◎星に手を伸ばす
不老不死になってから400年後にソフィーは星に手を伸ばすシーンがTRUMPであるけど、そのときは彼にとって「星を掴む=死」だった。もう死は諦めて、自分の運命を受け入れたから、TRUMPとLILIUMではソフィーは人格が変わったような描かれかたされてるのかなと思った。かなり達観してるもんね。紫蘭に言われて思い出したかのように呟く「星…?」は、多分それ以来忘れていた記憶のように感じさせられた言い方だった。きっと2600年ぶりに星に手を伸ばしたのかもしれない。ちなみに、TRUMPシリーズで初めて星に手を伸ばすのはTRUMPであるクラウスが愛した生徒、アレン。TRUMPで描かれる100年程前の記憶のシーンなので、SPECTERの85年前くらいなのかな。しかしSPECTERでソフィー(ファルス)のお父さんであるクラナッハがクラウスの前で星に手を伸ばす(永遠に枯れない花を作りたいという気持ち)んですよ、その姿を見て呆然とするクラウス、っていうシーンがある。何が言いたいかというと、永遠の命だったり、死だったり、愛する人だったり、何かを求め彷徨うソフィー三部作では、この星に手を伸ばすシーンが一番のハイライトということであります。TRUMP、SPECTER見たことない人に伝えたくて書いてみました。

⑤キャメシルがカップルの頃の話
この頃はキャメシルが付き合っていることはクランのみんなは噂にしてるレベルで、公認ではない。というか、キャメシルが「付き合っている」という事実は明確には描かれていない。でも抱き合ったり、「シルベチカに会いに来たんだ♡」というキャメリアのセリフがあったりと、付き合っていることは明白なのだが、シルベチカの言葉がいつも曖昧なので「え?え?付き合ってないの?あんなことしときながら?」みたいな感じになる。

◎リコリス
そこに割って入るのがリコリス。「キャメリアは私のもの」「チェリーの恋の応援なんかしちゃだめ」と、シルチェリの会話を嘘の話題を持ち込んでまで遮ったりする。お?なんか壮大な三角関係?と思いきや、ラストシーンでリコリスはキャメリアを呼び出す。まるでシルベチカとキャメリアのようなカップルの会話。「こうして(抱き合って)いると安心する」「永遠に一緒にいよう」「死が僕たちを分かつまで」。そして最後にリコリスががキャメリアに向かってこう言う。「私たちが一緒にいられなくなった時がきたら、お願いしたいことがあるの」それに対して聞き返すキャメリア「なんだい?シルベチカ」暗点。そして最後にシルベチカとリコリスの声が響く。「私を、忘れないで」観客「えっ?えっ?」

結論!リコリスはシルベチカの第二の人格。シルベチカとリコリスの人格が同時にシルベチカ内に共生しているときもあれば、リコリスだけに(シルベチカは眠くなったから寝るねとその場を去る描写がある)なることもある。舞台上では、みんなの会話に交じってるように見せかけて、実は誰もリコリスのことが見えていない。チェリーとシルベチカの会話に割って入った時も、リコリスに話しかけるシルベチカの目線の先を探して目が泳ぐチェリー、そして2人が立ち去った後の「どうなってるの…」というセリフがそれを表している。
シルベチカよりリコリスのほうが色んなことを知っている、気づいている。ピーアニーが死んだ時も、泣いてるリコリスに「ピーアニーなんてこのクランにはいないわよ」と言うシルベチカに対し、「誰かがイニシアチブを操作している」と伝える。
ファルスに何もかもを操られているのがシルベチカで、ファルスと同化した部分が人格を持ちはじめて生まれたのがリコリス?だからチェリーに付き合ってないと言ったのは、忘れそうになったり、今までの記憶に押しつぶされそうになってわけわかんなくなっちゃった「シルベチカ」で、そんなシルベチカをどうにかキャメリアに忘れて欲しくなくて、キャメリアに抱きついたのがリコリス。そもそも、シルベチカの中にあるリコリスだけがキャメリアのことが好きだったのか、それとも元々シルベチカはキャメリアのことが好きだったけどそれを忘れてしまって代わりにリコリスがその気持ちを守っているのか、それだけでも解釈が変わってくる。
シルベチカとリコリスの会話の中に、お互いがお互いを補っていこうみたいな内容があるんですよ。私たちは二人でひとつだからって。それと、「私を忘れないで」とわざわざキャメリアにリコリスが言うのを考慮すると、やっぱりリコリス単体でキャメリアと愛し合ってた説は薄い気もするんだよなあ…。
でもさ、どちらにせよ結局「あなたを愛した記憶」っていうのはキャメリアの思い込みでしかなかったんだよね。もちろん二人の愛は本物だったのかもしれないけど最終的に「シルベチカ」はそれを忘れてしまっている。あれはキャメシルの歌ではなくて、キャメリアだけの幻想の歌でしかなかったのかもしれない。塔の上から飛び降りたときはもしかしたら、リコリスだったのかもしれないね。(フランクに書いてるけどいうて明白にしたいところ。)

⑨リリーが普通の少女で、スノウがリリーを諦められてない頃の話
笑うし、チェリーとキャメリアあたりと一緒に仲良くお喋りもしています。元気。とにかく元気。もうなんか、悲しみ通り越してもはや嬉しかったわ。
そしてそんな少女たちを端で眺めるスノウ。誰に話しかけられても無視するとチェリーは言っているのと、⑥のシーンを盗み聞きしてるところを見つかってソフィー(ファルス)に記憶操作されたあとも「TRUMP」と無意識に呟いて3人を驚かせたりしているので、意識的ではないのかもしれないけどいろいろ諦めて既に周りと距離を置いている様子。でもリリウムのようにリリーにたいしてはそうではなく、見つめたり羨ましそうにしたりする。リリーとスノウが親友だったのは800年前。スノウはその記憶を覚えているというよりは、無意識にリリーを追っているの方が正しいようにも見られた。ちなみにまだファルスと同化はしておらず、ソフィー(ファルス)にとって特別な存在にもなっていない。ソフィー(ファルス)と同化してから、リリーの記憶を取り戻したというような感じで。リリウムでは同化して結構経ってると思ってたけどそうでもないんだね。でもシルベチカが死ぬときは同化してるみたいだったからもう直前だったのかも。

「二輪咲きはこんな話」以上。


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