才能と成功。

「天才」とは生まれつきのもので、「才能のない自分」とは無縁の人だと考える人は多いでしょう。でも、本当にそうでしょうか?

私はよく「自分は才能がない」とか「絵が下手だ」と書いているけれど、「絵が下手なのは才能がないせいだ」とも「才能がないから成功できない」とも思ってはいません。

絵が下手なのは努力が足りないからだし、努力すれば才能がなくても、ある程度成功できると思っています。(「ある程度」ってところがミソ(笑))

私もフツーの人間だから、その努力がなかなかできないのだけど。

なかなか努力できないフツーの人が、そういう人たちに近づくにはどうすればいいのか?を考えてみました。

※すごく長いので、結論だけ知りたい人は、最後2章だけ読んでもOK!

「天才」とはどんな人?

「天才」と呼ばれる人は、誰よりも努力をしています。

画家で言えば、あの天才・ピカソやフジタが多作なのはよく知られています。フジタなどは、乱痴気騒ぎで飲んで帰った後必ず、絵を描いていたそうです。(偉いっ)また、努力家と言えば、イチローの名前を出せば、誰もが納得しますよね。

自分の周りでも、「あなたは才能があっていいわよね」と言う人より、そう言われる人の方が、数十倍努力しています。

よく言われることですが、「天才」とは、努力し続けられる才能のある人のことです。では、どれくらい努力すれば「天才」になれるのでしょうか。

「天才」が姿を現す魔法の時間

「一万時間の法則」というものがあるらしい、ということを知ったのは数年前のこと。

いわゆる社会的に成功した『才能ある人たち』というのは、「天賦の才能」よりどれだけ「努力」したかということが問われるといいます。それは「1万時間以上努力したかどうか」にかかっているという法則です。

どんな人でも、1万時間努力を重ねれば、その分野において一流になれる。これは神経学者のダニエル・レヴィティンが提唱している法則です。「天才」と呼ばれる人々が頭角を現すのは、この魔法の数字1万時間を過ぎたころからだといいます。

ただし、1万時間と言うのは半端な時間ではありません。一年間、一瞬も休まず努力し続けても、1万時間には満たないのです。そこで、現在ではこの法則は否定されているとも言われています。

量だけでなく質が大事であるとか、もっと早く一流に到達できる方法があるなど、いろんな情報が出ています。出過ぎています。正直どれを信じていいのか、よくわからなくなってきます。

1万時間と10年の関係性

ところで、私は、何事も10年続けると結果が出る、と以前にも書いたことがあります。

この話は、私の話にたびたび登場する端唄の家元が、まだ20歳くらいの頃に言っていたことに端を発する話。10年続けたら、何かしら結果が出せるような出来事が起こる、というものです。

そして私自身も、10年、いやもっと長い間、ひとつのことを続けた結果、自分が望んでいたことが実現したという経験は何度もあります。イラストで代表作といえる大きな仕事が来たり、出版できたりといった出来事は、大体10年後くらいに起きました。

「1万時間の法則」の話を聞いたときに、実際に普通の人が可能な範囲で努力してみたら、一体何年かかるのか、計算してみました。

努力するということは、だらだら続ければいいということではありません。ということは、集中し続けられる時間で考える必要があります。

一日に集中できるのはせいぜい3~4時間程度
週休二日で月に20日稼働すると考えると
一日4時間。
一ヶ月80時間。
1年で960時間。
10年でざっと9600時間、ほぼ1万時間
です。

つまり、1万時間とは、常識の範囲で努力して、10年続けることで達成できる時間なのです。この数字を見たときには、思わず感動して「おお!」と叫んでしまいました。

やっぱ10年続けるって、意味あるんだっっ!!鳥肌が立ちました。

到達する人と脱落する人の違いとは

しかし、現実には、ほとんどの人は1万時間に達することはないそうです。確かに、学生の頃ならいざしらず、仕事を持ち、さらに一日4時間何かに集中するというのは、並大抵な努力では続かないということは想像できますよね。

大抵の人は100時間、つまり1ヶ月努力するのでさえ難しいとも言われます。
1ヶ月後には90%が脱落。
そしてさらにその1か月後には残りの中の90%が脱落。

そうしてふるい落とされて行く中で、10年後(1万時間後)に残ったわずか一握りの人だけが「天才」の名を許されるのだそう。ひゃー。そりゃ、そこまでの精鋭なら「天才」と呼ばれるわけだわ!納得ですね。

脱落しないための方法

脱落するかしないかの違いは、とてもシンプルなことだと思うのです。

人はそんなに集中が続かない上に、苦痛だと感じることも続きません。今まで「努力」と書いてきたけれど、歯を食いしばって頑張るような「努力」を1万時間続けるのは難しいでしょう。(私も絶対無理)

では、どんな事なら続くか?といえば、それは「楽しいこと」

ピカソもフジタも絵を上達したいと必死だったわけではなくて、ただ楽しいから描き続けていたのではないでしょうか。イチローは、誰よりも野球を愛しているから、誰よりも辛い練習を、辛いとも感じずにやり遂げたのではありませんか。

そして「楽しいこと」というのは、最初にそれをしたときに「上手く行ったこと」であることが多いのです。すなわち「向いていること」。だから結果が出しやすいと言えます。

成功するためのたった一つの方法

私自身が結果を出せずにもがいていた頃によく言われた言葉を紹介します。

「成功するためのたった一つの方法は『やめないこと』だよ」

「成功者」とは「成功するまでやめなかった人」であるにすぎないという考え方です。

私は天才ではないし、成功しているかどうかも怪しいです。それでも、結果を出せたことに関して思うのは、10年試行錯誤しながら続ければ、なんだかんだと形にはなるものだということ。

この「試行錯誤」はとても大事で、最初に始めたやり方で、上手く行くとは限らないのです。

私も、ただ絵を描くだけでなく、営業方法もいろいろ試しました。

それでもなかなか結果が出ず、2012~2013年頃には、わざわざ上京して営業しても営業しても仕事が来なくて、もう何度イラストなど辞めてしまおうと思ったか。

それでも、私はやめませんでした。やめなかったから、今もこうして続けていられるのです。

試行錯誤して、「続ける」こと

「才能」とはあいまいな言葉です。「あなたは才能があるから」「天才だから」と人は簡単に口にします。けれど、本人は自分に才能があるかどうかなど、わからないのが普通です。「天才」だからと言って、それで楽に食べて行けるという保証もありません。

それでも、上手く行かなければ別のアプローチを考えて試して、さらに精度を上げて行くというのを、繰り返し繰り返し、1万時間、あるいは10年単位でやって行けば、確かに道は開けるのです。

ピカソやフジタだって、長い画業のうちには何度も画風が変わっています。

ピカソは15歳の頃にはすでに完成された写実画を描いていて、青の時代、ピンクの時代などを経て、皆がピカソと言えば連想するキュビズムなどの作品に移行していきます。

フジタも若いころにはトレードマークの乳白色の肌の女性ではなく、モディリアーニみたいな絵を描いていたのです。

ただ単に飽きたのかもしれませんが、よりいいものを描くために試行錯誤し、工夫していたとも言えるでしょう。

宇野亜喜良さんとの対談の中で島地勝彦さんがおっしゃっていますが、パリでは認められたフジタも、日本では最初全く認められず、芸大を卒業するときには、皆の前で黒田清輝にこきおろされたそうなのです。

そこで大抵の人は「自分はもう無理」と、やめてしまうでしょう。それでもフジタはやめませんでした。

今ではフジタを「天才」と呼ぶことに異議を唱える人は少ないでしょうけれど、そんなフジタでさえ、最初からすべての人に認められたわけではありません。ひとりの人に否定されたところでやめないこと。それが大切なのです。

とりあえず100時間、とりあえず1ヶ月

ここまで読んで来て「ええーーーっ。10年も続けられない」と感じた方もおられることでしょう。しかし、そんな方にお勧めの方法があるのです。

とりあえず100時間頑張ってみるというもの。100時間というのは、上の計算で行くとざっくり1ヶ月。1ヶ月間だけは、それこそ寝食も忘れるくらい一つのことを頑張ってみてはいかがでしょうか。

そこで大事なのは、そのひとつのこととは、新しく始めることではないということ。すでに自分にとって夢中になれるほど好きなことであることが前提です。

1ヶ月無我夢中でやってみるという経験は、必ずあなたを別世界へ連れて行ってくれることでしょう。

「頑張る」ではなく「夢中で楽しむ」

少し前に、#noteのつづけ方というイベントがあったそうです。そのイベントレポをいくつか読むと、続けることのコツに「頑張らないこと」というのがありました。

確かに「頑張り過ぎてしまう」人は、頑張り過ぎない方が続けられます。頑張らないと続けられない、というのは無理をしているということだから。

「頑張る」ではなく「夢中になる」「楽しめる」なら、続けられるのではないでしょうか。逆に言うと「楽しくない」「夢中になれない」ことは、やっぱり続かないものです。

こんな事を書くのは、活躍しているイラストレーターの多くが、「無我夢中で描く」という経験をしているから。

noteでも大人気のイラストレーター・サタケシュンスケさん「#描くようになったきっかけ」で、「大げさではなく寝食を忘れるほどのめり込みました」「ただ好きという気持ちだけで絵に向き合えた時間は今につながる大きな礎になっています」と書かれています。.

私ごときが言うのもなんだけど、この記事はすっごく参考になることがたくさん書かれているので、本当にオススメ♡


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陽菜ひよ子 / イラストレーター&漫画家&文筆家

著書『アトピーの夫と暮らしています』(PHP研究所)。イラストのお仕事は、NHK・Eテレ『すイエんサー』、書籍『おいし なつかし なごやのおはなし』(戸田恵子著、ぴあ)など多数。現在2冊目の本の執筆中。ひよことプリンとネコが好き。 http://www.hiyoko.tv/

コメント4件

はじめまして。とっても勉強になりましたー。継続は力なり、を理論的に説明されてなるほど!と思いました‎٩( ᐛ )و
堀内しるしさま コメントありがとうございます!お役に立てたらうれしいです。
いつも良い記事をありがとうございます。
1万時間の法則、私も昔聞きまして、ある程度信じています(笑)

何でも10年、一心に向き合えば、というか向き合えるだけ夢中になれたのであれば、その道で才能があとからついてくると思います。

私は、まずは100時間、1ヶ月がんばってみます。
Naonardoさま こちらこそ、いつもお読みくださり、ありがとうございます。やはりご存じでしたか。そうですね、おっしゃる通り「ある程度」というのが肝だと私も思います。何事もあまり妄信するのは危険ですよね。1ヶ月、ぜひぜひ頑張ってみてください♡
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