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あいちトリエンナーレ関連イベント「ManiA ミーティング&ミートアップ」

SNS界隈では、若干議論が沈静化したように見える「あいちトリエンナーレ」。しかし、件の展示は中止されたまま、抗議して展示休止を訴える海外アーティストが12組も名乗り出るなど、問題はさらに拡大しています。

そんな中、先週の土曜日、トリエンナーレ関連事業「ManiA ミーティング&ミートアップ@愛知 文化と政治をむすんでひらく」が開催。

芸術監督の津田大介さんも登壇され、貴重なお話を伺えました。

ゲスト:
津田大介さん(ジャーナリスト、あいちトリエンナーレ2019芸術監督)
吉田隆之さん(大阪市立大学大学院都市経営研究科准教授、元愛知県職員)
ファシリテーター:鈴木大輔さん(株式会社ARTLOGUE代表取締役CEO)
司会:名畑恵さん(NPOまちの縁側育み隊代表理事/錦二丁目エリアマネジメント会社代表取締役)


イベント開催の経緯


最初にこのイベント開催までの経緯とイベントの趣旨について説明します。

イベントが開催されたのは中区の長者町繊維街ビジネス街・伏見にほど近い商店街です。今回はトリエンナーレの会場(今回は西区の円頓寺商店街)から外れましたが、前三回のトリエンナーレでは会場となり、現在では街並みにアートが息づいています。

このイベントの構想は、ゲストの一人で、元トリエンナーレ実行委員で現在は、大阪市立大学准教授の吉田隆之さんの思いつきから。吉田さんは、トリエンナーレを通じてアートに目覚め、現在は都市文化政策やアートプロジェクト論を研究されている方。

話はそれますが、長者町を拠点に街づくりに心血を注いでおられたのが、司会の名畑さんのボスで、前NPOまちの縁側育み隊代表理事の延藤安弘先生。延藤先生は「幻燈会」というイベントで、絵本を題材に人の生き方やまちづくりについてお話されていました。

吉田さんは、芸術監督に津田さんが就任された際に、ぜひ延藤先生と津田さんの対談を実現したいと、このイベントを計画します。

残念ながら、昨年2月に延藤先生が急逝され、対談は実現できなくなりました。そこへ、大阪のARTLOGUE代表の鈴木さんから、名古屋でManiAイベントを開催したいという話が持ち込まれた結果、このイベント企画が生まれたのです。


「ManiA ミーティング&ミートアップ」の活動内容


今回のトークイベントのメインテーマは、ARTLOGUE代表の鈴木さんの活動「ManiA ミーティング&ミートアップ」。ManiAとは、「マニフェスト・フォー・アート」の略。

日本ではマニフェストに文化やアートを掲げる政治家が少なすぎるので、もっと政治家にアートに関する公約を掲げてもらおう!というのがその活動の概要。この活動には津田さんも以前より賛同されておられます。

具体的な活動内容は、選挙活動中に、候補者に文化に関するマニフェストを記入してもらうというもの。いずれはそれをアーカイブ化して、実際にどんなことをしたか、まで検証できるようにしたいとのこと。

ARTLOGUEのみなさんの頑張りの結果、かなりの候補者の方が記入して下さるようになっているのだそう。素晴らしい!


ここで、こんな表が登場。日本の文化予算額は、実に御粗末です。

一見、日本とそんなに変わらなく見えるイギリスやアメリカは、寄付で文化事業が行われる土壌があります。

国民一人当たりの文化予算は、フランスの7,568円韓国の5,467円に対して、日本はたったの819円

この国がいかに文化やアートにお金を使ってないかってことがよーくわかって、勉強になりました。これだけでも行ってよかったです。

ARTLOGUEの活動はこちらからどうぞ。


津田さん無事登壇


さて、本来は、ManiAや延藤先生の取り組みをメインにトークが進む予定だったと思われますが、現在あいちトリエンナーレが渦中にある問題を避けては通れない、ということで、その件で津田さんがお話されました。

吉田さんと鈴木さんの「津田さん、来て下さらないんじゃないかと心配していました」という言葉に

津田さんは、「予定していた登壇の席が、警備の問題で次々欠席や中止になる中、ここでこうして話せることがすごくうれしい」とのこと。

大阪人の鈴木さんが「実はお盆ということもあって、警備会社がなかなか決まらなかったんですよ。昨日やっと決まりました」と返して、会場内は笑いに包まれました。

緊張した面持ちだった津田さんも、思わず笑顔に。


質問の焦点となった「展示は再開されるのか」


会場にはテレビ局等のメディアの取材も入っていました。最後の質疑応答には様々な質問が出ましたが、詳細については割愛します。

印象としては、とても責任を痛感されておられるということ。

一番の関心は「今後、『表現の不自由展、その後』が再開される可能性はあるのか?」ということ。

「現時点では、非常にハードルが高い」とのこと。その理由として、津田さんはとても丁寧に誠実にお答えくださったと感じました。


まず、中止になった経緯として当初から説明されている「電話がパンクし、現場が混乱したことと、観客、職員の安全を守らなければならない」という件について。

現場の深刻さは、私たちの想像を上回るものだったようです。

電話に出るなり罵倒されたり、実名をSNSにさらされたり、脅迫されたりといったことが続き、このままでは精神的に壊れてしまう職員が出る可能性もあったとのこと。

こういったイベントって、主催は自治体になっていても、実際の運営は、民間のイベント会社に丸投げするのが通常ですよね。私も初めて知ったのですが、この「あいちトリエンナーレ」は企画運営もすべて愛知県が行っているんだそうです。

ですので、職員の方は、トリエンナーレ以外にも日常の業務をこなさなくてはいけないのです。それが機能停止に陥り、電話を受ける以外のことが、まったくできない状態まで追い込まれたんだそう。

苦渋の決断でしたが、もうそれしかなかった、と言えます。そういった事情を知らずに無責任に「再開を求める」のは、「中止を求める」のと同じくらい事務局側にとっては辛いこと、ですよね。


中止への抗議で海外アーティストが中断を申し入れている点に関しても、「中止は検閲ではなくテロ行為だと説明し、対話を続けている」とのことでした。


津田さんは、中止決定の8/3の会見で「『電突(電話による突撃抗議)』で文化事業を潰すことができてしまうと言う成功体験、あしき事例を作ってしまった」と発言されておられましたが、今は少し心境が変わり、「ここで終わりにせず、前向きにとらえられるようになった」とのこと。


「問題となった展示は、あいちトリエンナーレの企画のひとつに過ぎず、他にも100個以上の企画があるので、是非足を運んでみて欲しい。」

「あいちトリエンナーレ2019は、今までで最多の集客数を誇っている。来客者の半数以上は、はじめて訪れたというデータもあります。中には、トリエンナーレ自体が中止になったと思っている人もいるかもしれませんが、まだ2ヶ月近く会期は残されています」とのことでした!


それからもうひとつ。
愛知県は自治体ですから、民間のイベント屋さんのようなノウハウはありません。それでも愛知県の職員の皆さんは本当に優秀で、キチンとやり遂げてしまう、というお話は、辛い現状を吐露される中で、胸が熱くなる良いお話でした。

愛知県民として、あいちトリエンナーレと、それを作りげておられる愛知県職員の皆さんを誇りに思います。ぜひこの先も続いていってほしいです。

個人的雑感


私は実は最近までTwitterは、ほとんど使っていませんでした。最近よく見るようになったのは、ここnoteをtwitterにシェアして下さる方がたまにいらっしゃるので、それをチェックするためです。

私が唯一Twitterをよく使っていたのが、東日本大震災のとき。
   
私は当時東京に住んでいて、オットの病気の一番ひどいときでもあり、本当に心細くて辛い時期でした。そんな中、Twitterで津田さんや今回辞任された東さんが発信されていたことで、いろいろ開眼させられたり、励まされたりしました。私にとってはTwitterってそういう場所だったんです。

そのことを懇親会で津田さんに伝えたら「ホントですか?うれしいな」と喜んでくださって。   
   
その津田さんは、トリエンナーレ前から「泊りと日帰りとどっちがイイだろう」と言うTwitterユーザーのつぶやきに、ひとりひとり「豊田会場が遠いので泊りがいいですよ」と丁寧に返答されていました。

「この人やっぱりスゴイ!」と感動していたところだったのです。

これって、芸術監督の仕事じゃないでしょ。それでもきっと、来てくれる人に後悔ないように楽しんでほしいという津田さんの想いがそうさせているんだな、と感じました。

今も毎日トリエンナーレの感想を次々とリツイートされています。
「津田さんらしい」やり方で、真摯に地道に頑張っておられるのを感じていたので、今回の件は、個人的に非常に残念


最後に、長者町と『ART FARMing』について


長者町(長者町繊維問屋街)は、馴染みのある場所です。

中心となる長者町通は、北端を外堀通、南端を市美のある白川公園に南北に走るいくつかの通りの一つ。長者町というと、その周辺もざっくり含んだ地域になります。

通りは二本ずれますが、桑名町通にあるMITTS COFFEE STANDさんでは、去年個展を行いました。最初の方に出てくる延藤先生が「幻燈会」という街づくりのイベントをされていた会場のひとつがMITTSさん

(写真はライブペイントの様子)

もともと司会の名畑さんとは友人で、今回そのご縁でご招待いただきましたが、延藤先生の幻燈会には出席できないままだったのが悔やまれます。

今回会場となった綿覚ビルでは、あいちトリエンナーレ関連事業として、まちを農園に見たてたアートプロジェクト『ART FARMing』展開中。
プロジェクトにいち早く協力したのが、MITTSさんだったそう。さすが!
開演前にひと通り観てきましたが、面白かったです。

会場になった部屋でも、アートの展示中で、こんな凶器みたいなものがぶら下がっておりました。しかも、めっちゃ暑い!(笑)

ARTLOGUEさまのページよりお借りしました。


最後にお口直しに、私が感銘を受けた記事を二つ載せます。


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陽菜ひよ子 / イラストレーター&漫画家&文筆家

著書『アトピーの夫と暮らしています』(PHP研究所)。イラストのお仕事は、NHK・Eテレ『すイエんサー』、書籍『おいし なつかし なごやのおはなし』(戸田恵子著、ぴあ)など多数。現在2冊目の本の執筆中。ひよことプリンとネコが好き。 http://www.hiyoko.tv/
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