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正解のない選択

『キネマの神様』という映画の中で
芸術家肌で奔放な助監督(菅田将暉)との結婚を悩む
食堂の娘(永野芽郁)に
人気女優(北川景子)がこんなアドバイスをするシーンがある。

「あなたは結婚しても後悔する。結婚しなくても後悔する。
どちらの後悔を選ぶのか決めなさい」

役名もセリフもよく覚えていないが
わたしにとっては衝撃的なシーンで、今でも忘れられない一コマ。

北川景子が運転する車の助手席に乗り
電車で遠くに行ってしまう菅田将暉を追いかける永野芽郁は
短い時間で一生を左右する決断を迫られる。

永野芽郁はハンドルを握っていない。
この時点で
「好きなら追いかけなさい!」という決断をしているのは
北川景子で
この後、菅田将暉に追いついたら結婚するのか
「お元気で」と言って別れるのか、どうするのか。
それは本人同士の選択にかかっている。


人生は時々
「早く!早く!」
という選択のシーンを用意する。
めんどうくさくてスルーしてしまえば何も起こらないし
特に考えずに手を出した答えが
後々、ステキな物語に成長することもある。

わたしは
『どちらを選んでも、うまくいくに決まっている』
という考えを持っているので
何かを、「するか」「しないか」で真剣に悩んだ経験は少ない。
仕事でもプライベートでも
ワクワクする方をあまり深く迷わずに選択してきた。

だから、この北川景子のセリフを聞いた瞬間
電気が走ったような衝撃を受けてしまった。
「カッコいいなぁ!」

いいことばかりでない
一生の後悔をするくらいイヤなことも
全てひっくるめて引き受けます、という覚悟があるなら
好きな方を選びなさいというメッセージは
どうしても忘れられない。

魂の上澄みから掬い取るのではなく
深層部から湧いてくる衝動に従うのなら
そのくらいカッコよく生きてくれ、という感じがして
ステキな映画だった。




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