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感想「MAJOR 2nd 21巻」

今月16日に、「MAJOR2nd」の最新刊が発売されました。独自路線を貫く二世野球漫画、先が読めなくて面白いです。

早速語って行きたいと思います。

・漫画紹介

紹介記事をリンクします。

・前巻の感想

感想記事をリンクします。

以下、最新刊のネタバレ注意!

さて、前巻の終わりでまさかの寿くんが風林監督就任という展開になっていました。

メジャーの伝説的投手の二世選手の大吾がいるだけでも大なり小なり注目を浴びているはずの風林に、またしてもメジャーの伝説的捕手の監督が就任とは……マスコミに知れたらえらいことですよ。現実で言うなら、イチローの息子がいる中学校にダルビッシュが監督しに来たみたいなものですからね。しかも主力9人のうち7人が女子というイロモノチーム、人気が出ないわけがない。練習試合さえお茶の間報道されてもおかしくないほどになりましょう。

そんなとんでもない展開になってきたメジャーセカンド、今巻も面白いです。

・個人面談

まずは寿くんによる個人面談です。女子勢……とくに太鳳が色めき立っているのはともかくとして、寿くんはまず選手一人一人と話し合うスタイルを取るようです。山口先生も言っていますが、吾郎や大河とは指導スタイルが全然違います。さすがはライセンス持ちの指導者、丁寧さが違います。

寿くん、あんまり体育会系ではありませんからね。気が弱かったり勝負勘に乏しいわけではないのがまた厄介なところですが。

さてここで、誰とどういう話をしたのかというのは、ここでは明かされません。今後の布石になるような事を言っているのかもしれないし、物語上何の重要性も無い話をしているだけかもしれません。どちらとも取れませんが……少なくとも両者の間に流れる空気感から、何かを感じる事は出来ます。

・沢さん

溢れ出る愛人感……分かる。

詳しくは後述しますが、風林女子は皆背が高いので大人びた雰囲気ですが、その中でも沢さんは頭一つ飛びぬけて大人っぽいんですよね。40過ぎの寿くんと並んでも違和感が無い……下手をすると寿くんの方が年下に見えるから不思議。

そんな二人の間には、妖しげなものが。いや、愛人感とやらのせいでしょうけれどね。

・関鳥

関ちゃん……無慈悲なカットです。

この人、わたしすごく好きです。ギャグキャラに徹しつつも、しっかり見せ場がありますからね。非力さを嘆く女子達の中でも、勇ましさが目立ちます。

唯一大吾から「関ちゃん」と愛称で呼ばれているのも、その親しみやすい性格が見えてくるようで、なんだか素敵です。

・太鳳

こいつ……めっちゃ色ボケてますね。

太鳳は良くも悪くもノリが軽いですね。イケメン監督に浮かれている辺り、その軽さがさらに強調されています。

彼女は気が強く、野球に対して諦観めいたものを抱いているため、部内においてヒールを演じる場面が多いです。が、決して大吾と敵対しているわけではなく、むしろ結構仲良さげなのが個人的に好きです。

前にも行ったかもしれませんが、大吾が彼女の事を「太鳳」と下の名前で呼ぶのは、そういう仲の良さによるものに感じられて、結構好きです。

それでいて、大吾と全くフラグが建っていないのも個人的にアリだと思います。この漫画が恋愛方面にシフトしても、太鳳だけはヒロインポジションにはならないという安心感があったりなかったりします。恋愛感情抜きの友情というのは、いつの世も尊いものですからね。

・アニータ

顔は見えませんが、話が弾んでいるようです。アニータは元々捕手で、同じポジションの寿くん相手だからでしょう。こころなしか寿くんも楽しそうですね。

・千里、千葉、仁科

大雑把なカットです。

それにしてもこのコマの千葉の力の抜きよう、思わず笑いそうになります。千里や仁科と比べても、明らかに手抜きしたでしょ、これ。小生意気な顔をしてて笑えます。

・睦子

睦子は……小学生の頃に寿くんと面識があったんでしたっけ? そのためか、なんだか少しリラックスしたような表情です。

最近投手として自身を失っている睦子……正直言って中学編になってからろくに見せ場が無い彼女……そろそろ活躍して欲しいものです。

・大吾

女子チームでの辻堂打倒を信じて疑わない大吾……さすがは主人公です。睦子とは打って変わって主役として目覚ましい活躍を見せるようになった大吾……父親とは違う方向性のアイデンティティーを確立していて、好きです。

さて面談は終わり。そして……

・パンダエース君

……

…………

……………………

いや、絶対吾郎じゃん。

無駄ですよ、被り物なんかしても。この流れで吾郎以外のキャラが出るわけないんですから。メタ的な視点を抜きにしても、実の息子である大吾が騙されるわけもなく……っていうか実際に看破していますし。

でもギャグとして面白いので好きです。

そして自信喪失中の睦子の球を全力ホームラン。さすがは吾郎。それでこそ吾郎。指導者とか保護者とかそういうの抜きに、根っからの野球好きというのが見て取れて、改めて吾郎の魅力が全開でした。

一方で、寿くんの睦子への指導が大人っぽくてかっこいいです。

「自分を大きく見せようとするのはやめたほうがいい」

「自分以上を見せようとして、自分以下になるほど愚かなことはないよ」

落ち込んでいる相手に投げかける言葉としては、ややスパルタですが……トラッシュトークが上手い寿くんらしいといえばらしいです。言葉こそきついですが、寿くんなりの励ましというのは作中の人物からしてもよく分かる、実に理屈的な金言です。そりゃ睦子も乙女の顔になるというものです。

・分析

その後、寿くんは持ち帰ったデータを分析するのですが……

ちょっと気になったのは身長です。

皆、背高すぎない?

大吾156センチに対し、太鳳160センチ。一見小柄そうな千里でさえ158センチと大吾よりも長身なのは意外でした。そして沢さん、174センチ。

……デカくない?

174なんて、周りの成人男性見渡したってそうそういませんよ?

沢さんより高い千代姉、ヤバない?

そりゃ寿くんもこのチームの伸びしろを感じるわけです。フィジカルエリートの集団じゃないですか。

さて、そんなフィジカルエリート達ですが……

・千代姉について

千代姉の才能が見出されました。

長身揃いの風林女子の中でもさらに飛びぬけた体格の持ち主である千代姉は、ボールの回転数が多い事で、投手に起用されます。

「ONE OUTS」でも見ましたが、ストレートにおけるボールの回転数は、重要な項目です。回転数が少なければボールが沈み、回転数が多ければボールが浮き上がる。この仕組みを利用していたのが渡久地東亜ですからね。

ナックルボウラーの反対……つまるところ逆阿久津といったところです。

そんな期待を掛けられても尚、自分に自信が持てない千代姉。彼女を奮い立たせるのが、ラブコメ相手の仁科ではなく大吾というのは、最高に主人公です。

当初大吾の事を忌み嫌っていた千代姉ですが、キャプテンとしての仕事ぶりを見て尊敬するようになり、今回の事でまた一つ見直したようです。主人公が認められる展開というのは、なかなか美味しいですね。

・キノコについて

こいつ本当どうしようもないですね。

性根が腐っているのはともかくとして、元メジャーリーガーの寿くんから指導を受けられるという、現役球児なら垂涎モノの状況下でまだサボり優先なのが信じられません。人間、ここまで目標に対して不誠実でいられるものでしょうか。さすがに誰に何を言われてもしょうがないところまで来ていますね。

それでいて普通に野球が上手いというのがまた、たちが悪いですね。仁科との直接勝負において勝利を収めたというのは、千葉がすごいのか仁科がいまいち決めきれないのか。

仁科は主人公っぽくてかっこいいのに、こういうところがありますよね。彼は生意気ですが、誰より野球に対して真摯なので、報われて欲しいものです。

さて千葉、寿くんから直々に自首退部を勧められます。まあ妥当ですよね。

寿くんは小学生時代には強豪の横浜リトル、中学はどうかは知りませんが、高校は同じく強豪の海堂高校、卒業後もプロやメジャーと、ほとんどの時代でレベルの高い環境に身を置いていました。千葉のような不真面目な人物を相手にする機会はほとんど無かったでしょうし、どう来るかとは思いましたが……わりと厳しめの措置です。

とはいえ千葉としても、これでよかったんじゃないですかね。千葉は厳しい練習が嫌いだからシニアを離れたわけですし、同じく厳しい練習をしている風林にはいたくなかった事でしょう。だったらどこで野球をするのかという問題は……そこまで行くとどうにもなりませんね。

おそらく千葉自身も、自分が微妙な立場に立たされている事に薄々気が付いているでしょう。風林を追われたらもう野球をする場所はありません。部を辞めて困るのは、他ならぬ千葉自身の方なのです。厳しい練習を我慢するか、すっぱり野球をやめてしまうかという瀬戸際まで来ているのです。

そんな千葉に助け船を出そうと提案したのが睦子だったのは、また意外でした。大吾は自分が倒れた事で監督業をやる事の大変さを改めて思い知り、今後は選手として専念しようと考えていたがために、若干部の成り行きについてドライになっていました。本来、部員のケアはある程度キャプテンがやるべき仕事です。それを睦子が思い出されてくれたわけです。

睦子は意外と情の深い性格をしています。メンタル面でも落差が激しいですし、投手としては不安定です。が、副キャプテンとして大吾とは異なる視点を持っている彼女はチームに無くてはならない存在だと思いました。

個人的に睦子の株、急上昇です。上の方で全然活躍してないとか言ってごめんなさい。かっこいいです。

・太鳳とキノコ

キノコの説得に行った大吾一行が見たのは、先んじて説得に向かった太鳳の姿でした。

どうでもいいですがキノコ……いえキノコに限らずですけれど、この部の一年生、全然敬語使いませんね。

千里はめっちゃ敬語を使います。アニータもまあ使う方でしょう。

仁科とキノコは全くといっていいほど使いませんね。一応寿くん監督相手には敬語ですが……先輩相手には使っていません。仁科の方に関しては、大吾を認めて以来一応先輩という意識を持ってはいるようですが、頑なに敬語を使おうとしませんね。キノコに至っては態度も悪いですし。そりゃ監督も怒るというものです。

上下関係を重んじる必要は、必ずしもないとは思いますが……こうもフラットなのは結構珍しいですよね。

話が逸れてしまいましたが……太鳳。

直前の仲間との会話で、あれほど千葉を毛嫌いしていたにも拘らず、きちんと千葉へケアを試みる太鳳……大人です。太鳳には太鳳なりの思惑があるのでしょうが……嫌いな相手で、しかもポジション争いの火種を抱える相手がただ退部するのをよしとせず、正々堂々戦おうとするその態度は、これまでの太鳳の評価を改めざるを得ないかっこよさがありました。

なんだかんだ太鳳はかっこいいです。

総評

今回も試合はありませんでしたが……ますます青春漫画っぽくなってきました。千代姉に太鳳、キノコと順調にパワーアップイベントをこなし、力をつけていく風林野球部。そろそろ睦子のイベントも欲しいものです。

21巻の満足度:83/100

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