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6月18日は考古学出発の日

1877年、日本で初めて考古学調査を行ったとされる学者、モース博士の来日による記念日です。当時日本で発見された大森貝塚が、日本で最も古い考古学調査の賜物という事です。

歴史を紐解く考古学調査が初めて行われたのが明治時代というのは、まあそんなものだろうという感想です。どうも江戸時代以前の日本というのは、よろず文化的なものの多くが軽視されていたような印象が強いです。実際どうだったかなんて知らずに言っていますが、多くの文化的活動のルーツが明治時代からであるという事を鑑みると、大きく間違ってもいないような気がします。

江戸以前と明治以降では、おそらく日本という国は全く異なる様相を見せるのでしょう。明治時代に電柱が立っていても不思議ではありませんが、江戸時代に電柱が立っていたら明らかなオーパーツに思えます。なんでしょうね、このイメージは。

遺跡とか古代の墓とか、そういうものにはロマンを感じます。神秘的というか幻想的というか、通常踏み越える事が出来ない領域を暴く挑戦的アバンチュールが心を打つというか。暴いているのだから、神秘も幻想も壊してはいるのですが。

それでなくとも、歴史を辿るのは良い事です。考古学の発展は大事な事だと思います。

さて、考古学といえば印象に残る展開がある漫画を紹介します。

「遊戯王」です。漫画よりもトレーディングカードの方が有名かもしれません。中高生男子は一度は手にして遊んだことのあるゲームなのではないでしょうか。

カードの有名さゆえに漫画そのものの内容が取り沙汰される事が少ないように感じられますが、漫画は漫画で非常に面白い名作です。中盤以降はカードゲームが主ですが、初期のダークヒーロー路線も大好きです。

さて、「考古学者」が登場するのはかなり序盤です。主人公の遊戯が持つ「千年パズル」と出自を同じくする「千年錠」を持つ謎の青年シャーディーが遊戯に対して闇のゲームを挑むという展開に巻き込まれるかたちで登場するのが考古学者の吉森教授。

厳密には、シャーディーはファラオの墓を暴いた金倉館長と吉森教授とを裁くために来日しているため、巻き込まれたというならむしろ遊戯達の方に該当するのですが、遊戯を見つけた時点でシャーディーの目的は変わっているため、便宜上「巻き込まれた」と評しておきます。

さてこの吉森教授、考古学者の好奇心に任せて行った墓暴きの成果に満足していた様子でしたが、金倉が先んじてシャーディーに裁かれ殺害されたため、その後の日々を不安とともに送る羽目になります。金倉と違って金目当てというわけではないのでそれだけでも相当不憫ですが、さらにそこをシャーディーに利用され、遊戯との闇のゲームのコマとして遊戯の友人に襲い掛かる人形に変えられてしまいます。

結果的に闇のゲームが終わった後には、彼の顔面はかわいそうな事になってしまいました。とにかく不憫な巻き込まれ役という印象を受ける人物です。

この教授、遊戯の祖父の友人であり、非常に気の良い人物です。それがシャーディーに操られる事によって何を考えているのかも分からない不気味な人形にされ、遊戯達に襲い掛かるようになるというそのギャップは非常に恐ろしく、「遊戯王」という漫画全体を見ても強いインパクトを残した人物です。

ちなみに彼、作中では結局シャーディーに裁かれていないんですよね。その後の言及が全く無いので、シャーディーが忘れて帰国してしまったのか、闇のゲームの後にさりげなく裁かれたのか、人形として操られた事で裁かれたという事になったのか、はたまた金倉と違って欲にまみれていないので許されたのか、定かではありません。

遊戯王の漫画考察はあまり見かけないので、ずっと気になったままです。ファンブックか何かでフォローがあったりなかったりするのでしょうか。

さて……「遊戯王」の中では考古学者は古代人による裁きの対象という事だったのですが、別に考古学そのものが悪いというわけでは決してないと思います。あくまでフィクションなので何となく悪者に描かれてしまっていただけで、現代人側に立ってみると考古学というものは正しく現代に還元される公共のためになる活動です。素晴らしい行いだと思います。

そういうわけで、明日は考古学出発の日。自分の住む県の遺跡について調べてみると面白いかもしれません。

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