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漫画紹介「賭博黙示録カイジ」

※再掲載記事です。

ジャンル:ギャンブル、全13巻(シリーズ以下続刊)

・あらすじ

伊藤カイジは20歳を過ぎても働く意欲を持てず、だらだらと何もない日々を過ごす男。そんな彼はある日、かつて借金の保証人になっていたというところから莫大な借金を背負ってしまう。

お先真っ暗の絶望的な人生が始まるかと思いきや、借金取りの男遠藤がカイジに提案したのはギャンブルの話。とあるギャンブルで勝利すれば借金が無くなるどころか、大金持ちも夢ではない……まさに一攫千金のチャンスだと。

その話にほいほい乗ってしまったカイジは、希望の船エスポワールにて恐るべきギャンブルに挑む事になる。

破滅か勝利かを天秤に架けられた時、カイジのギャンブルの才が開花する。

・魅力その1、個性的なルールのギャンブル

この漫画で登場するギャンブルは、いずれもかなり個性的です。「限定じゃんけん」「Eカード」など、ゲームのルールそのものは単純でありながら、周りの環境を利用した盤外戦術やルールを逆手に取った合法的な確率操作など、単なる運否天賦では決してなく、いろいろと策を講じられるところが面白いです。

そして思わず現実でもやってみたくなるところまでが基本です。

「賭博堕天録カイジ」にて行われた変則麻雀「十七歩」は非常に個性的かつゲーム性に富んでおり、人気の高いオリジナル勝負です。二人いれば成立するので、通常四人集まらなければ始められない麻雀の難点を補った画期的な遊び方で、非常に楽しいです。この遊び方専門のスマホアプリなんかも多数あり、影響力の高さが窺えます。

・魅力その2、理詰めとイカサマの裏を掻くスタイル

カイジは基本的に、運任せの勝負はしません。流れが見えない時ややむを得ない時に限っては運に頼る事がありますが、理によってギャンブルの構造を紐解いて、理詰めによる進行を行うスタイルを基本としています。

相手がイカサマをして自分に有利にギャンブルを進めているのなら、それを逆手に取って油断している相手に致命的なダメージを与えるための画策を行います。

思考による理詰めと油断の隙をついた罠による逆転劇は、それまでの苦渋も相まってカタルシスが強く、娯楽漫画として非常に面白いです。

・魅力その3、魅力的なクズ

カイジはギャンブルの最中こそ光り輝く行動力の塊ですが、日常においてその能力は全くといっていいほど発揮されません。衣食住と安全が確保されていれば全く働かず、どころか他人からおこづかいを貰ってけちなパチンコで浪費して、それを責められれば見苦しく言い訳をする……と、典型的なクズです。

それでも非日常の中で輝いているからこそ、日常のクズさが許されるというものです。

この漫画にはいろいろなクズが登場します。

あるいはカイジのような生易しいクズではなく、もっと生々しく最低な輩も一定数いますし、読者側からすれば許せない外道も多くいます。

それらの人物もしかし、クズなりの魅力があるというものです。

福本先生はクズを描くのが本当に上手い作者です。クズに愛嬌を持たせるのが上手い作者です。

「クズだけど憎めない」キャラは美味しいです。

総評

ギャンブル漫画としては非常に良質だと思います。シリーズは

「賭博黙示録カイジ」

「賭博破戒録カイジ」

「賭博堕天録カイジ」

「賭博堕天録カイジ 和也編」

「賭博堕天録カイジ ワンポーカー編」

「賭博堕天録カイジ 24億脱出編」

と続いていますが、いずれにも魅力があります。冗長だと噂される章も単行本だとそれほど気にならないので、それよりもギャンブルの臨場感が楽しめてお得です。最新の「24億脱出編」については少々趣が異なるようですが……それはまた別の機会に語ります。

ギャンブル漫画の代表とも呼べるこの漫画、とりあえずお試しで「黙示録」を読んでみるのをオススメします。

私的好感度:82/100、オススメ度85/100

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