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西尾維新「人類最強の熱愛」『人類最強の純愛』その6 ステルスリアクション・エクストラ120

(ステルスリアクションとは、見えないリアクションである。表向き別の事を表現しているように見せながら、同時に、特定の何かに対するリアクションとしても意図された、そのような表現方法なのだ)

(ご注意・本稿では西尾維新「人類最強の熱愛」『人類最強の純愛』のネタバレを含みます。閲覧の際にはあらかじめご了承ください。表紙画像と本文は一切関係ありません。また、登場人物や組織の実名は伏せられている場合があります。そして、明かしづらい内容は不明瞭な表現となっている場合があります)

前回はこちら(関連リンクは末尾を参照)。

また本稿においては「西尾・忍殺」を重要な関連資料として参考して頂きたい。


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・大の大人だって
・自分の足場がいきなり崩れたら
・バトルフィールドそのものをぶっ壊した

場のルールより場外のルールの方がまだ目があるように見えたから、だったら外出た方がいいんじゃないの、くらいの気持ちで方針を切り替えたんだけど、ベータロンはその場でやり続けて決着をつけられるって信じ込んでたっぽいよね(何というか、発想のスケールが小さい)。


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・哀川潤の踏み入った建物は、例外なく崩壊する
・思ったより粉砕されちまった
・奥の手ってより、火の手

確かに僕はアプローチするたびに酷い目に遭わされて逆襲するかたちになる事は多いけど、そこまで無茶苦茶じゃないよ。まあ、ベータロンの件では思ったより威力があったみたいだけど、それだって僕個人に属するパワーの産物ではないはずだし……。

最後の手段、というよりは、事故、過失、失敗、不注意の範疇になったのかなぁ、うん。歴史寓話としては「奥」の中の「米」による攻撃ではなく「火→日」による自滅。


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・めちゃくちゃしやがる
・普通、ステージを壊すかよ

なりたくもない相手の弟子にさせられて一生舐められ続けるのに比べたら(僕にとっては)マシな選択ですよ。一方的に思い通りになると決めつけてるのが悪い。


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・もしも地面の上で戦っていたら、地球を壊していたかも

それでその後の展開がマシになるんだったらそのくらいの事考慮しないでもないけど、規模がデカ過ぎてそう簡単にはいかないからなぁ。僕自身の強さの程度もあるし……。


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・かりかりの黒こげパン
・太陽、風通し
(JF)

歴史寓話。ジャ「パン」、つまり戦後の焼け野原。日の丸と神風(家屋などの破壊により吹き抜ける構造になる点も含む)。


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・未知の技術で興味を惹く
・回りくどい
・研究の成果
・その一部

そこまで予想がつかないって程手に負えないものじゃなかったと思うけど、僕が持ってった奴、そんなに迂遠だったかなあ(門外漢からすればそんなもんかも)。

まぁ、一部は一部。全部まとめるのはちょっと大変だしね。


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・手段には理由があるはず

勿論。そしてそれは僕からだって考えるもの。そこを問われずに済むと思ってたんならちょっと手抜かりが過ぎるよね。


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・どんな組織にも属さない、極めて個人的な研究者
・背景を持たない個人事業主

これが正鵠を射ている事は僕自身ここで証言しておくけど、でも何かが「ない」事を証明するのは無茶苦茶難しいので、つまり本当にバックが何もないって説がどこまで本当かっていう疑問は持たないもんなのかなぁ。そりゃバックがあったらとっくにそれ使ってる局面だけどもさぁ……。


・・・

・有名人だが同時に徹底した無名、無冠の者

もうなんかそういう、知る人ぞ知る、みたいなのやめてくんねえかなぁ。そういうの言い続けられるとみんな「こいつはそういう扱いをするものなのか」と思って知ってて黙ってるのか作法、みたいに定着しちゃうと知名度上がんなくなっちゃうでしょ。それ辛いのよ。


・・・

・人を避け、人から避けられている

うるせえよ。好きで離れてるんじゃねーし仲良くしてくれる人がいないのは寂しいよ。察しろよ。


・・・

・複数の人間の意識をひとつの肉体の中に詰め込める
・ひとつの意識で複数の肉体を操れる

歴史寓話。ひとりのキャラクターの中に複数の寓意を込める重合寓意と、複数のキャラクターを同一の寓意から成立させている構造設計。どちらも構造ヴァリエーションとしては複雑な方に属すが、とびきり難しいものでもなく、珍しいという程でもない(自分では作らないから言うのは気楽だ)。





(続く)

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関連リンク

西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

西尾維新篇

第1話「ゼロ年代の終わりに」(約1,600文字)

第2話「西尾維新からの応答」(約3,200文字)

ニンジャスレイヤー篇

第5話「『ニンジャスレイヤー』をオマージュする西尾維新」(約2,600文字)

策謀篇

第6話「過渡期の人」(約1,900文字)

第7話「茶番の始まり」(約1,800文字)

第8話「違和感の塊のような」(約2,100文字)

第9話「地雷と第二次性徴」(約2,200文字)

第10話「アメリカンなジェスチャー」(約3,500文字)

第11話「俺に合わせろ」(約2,900文字)

第12話「物語の終わり」(約1,800文字)

第13話「閉じろ、その地獄の釜の蓋を」(約3,200文字)

昇華篇

第14話「『天狗の国へ連れてゆく』」(約1,700文字)

批評篇

第15話「『どうだ ピンク色の光が見えてきたか?』」(約2,300文字)

第16話「『やめろ!俺の頭から出て行きやがれ!狂気め!』」(約2,800文字)

第17話「『消えろ』‘彼を呼ぶのだ!’『消えてくれ』」(約2,400文字)

第19話「『俺は向こう側に、天狗の国に行かなきゃならねえ』」(約3,400文字)

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#批評 #コラム #ステルスリアクション #小説 #西尾維新

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