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西尾維新『屋根裏の美少年』その11 ステルスリアクション・エクストラ112

(ステルスリアクションとは、見えないリアクションである。表向き別の事を表現しているように見せながら、同時に、特定の何かに対するリアクションとしても意図された、そのような表現方法なのだ)

(ご注意・本稿では西尾維新『屋根裏の美少年』のネタバレを含みます。閲覧の際にはあらかじめご了承ください。表紙画像と本文は一切関係ありません。また、登場人物や組織の実名は伏せられている場合があります。そして、明かしづらい内容は不明瞭な表現となっている場合があります)

前回はこちら(関連リンクは末尾を参照)。

また本稿においては「西尾・忍殺」を重要な関連資料として参考して頂きたい。


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・そんなものじゃないからこそ、そんなものにしなければならない
・美しいものにしなければならない

「終わり良ければすべて良し」「災い転じて福となす」ってとこあたりなんだろうけど、1回は好転させないと話にならんよね。随分酷い目にも遭ったし……。

しかしこう、入れ込みようが半端ない感じするのは何なんだろうねえ。そこまでプレッシャーかかるような、おおごとなのかっていう。僕の実感としては未だに「個人的な取り組みの範囲内」の感覚・認識から離れられないんだけどなぁ。


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・重ねがけ

『魔法の力』の最後の一文に「使用の際には『重ねがけ』を推奨すべきかもしれない」と書いたところからの引用かな。


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・道しるべ

『手塚マンガの風刺性を検証する――『地底国の怪人』の場合――』では「寓意の澪標」『歴史寓話を鑑賞していかに歴史寓話と知るか プロット(・キャラクター)篇』では「『企て』とは、鑑賞者にとって歴史寓話を理解する経路の道標」と示した

まぁ時系列から考えても「澪標」よりも「道標」の方を参照した表現と思われる。


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・勘違い
・上描き

見方・見え方の話題だったかな。ならベータロンから聞いた話と僕が書いた「策謀編」の差が把握できたっていう事なんじゃないかな。


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・逃亡に対する怒りが真相の衝撃でゆるむ

えー! 僕がベータロンから逃げたって怒った人がいたの!? 誰??(いや別に追及しないけど) 直接間接の違いはあれ、僕側に対してはそれを露わにする筋合いもないから全然分かんないけど、まぁそこまでの関係があったらまた違ったでしょうねぇ(そもそも前提変わるしね)。


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・描き直した
・上描きされた分だけの透視で下地が見えた
・犯人の確定

そもそも容疑者が2人しかいないからなぁ。ベータロンが事実を歪曲して僕が自分の視点・視座からの事実を明らかにしても、真の客観性は得られないもんだし(現場はほぼベータロン側の利害関係者だったし)。

僕としては、事情の説明ぐらいはしておきたかったってとこ(それで理解を得られなくてもやむなしですよ)。


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・謎を解きつつご機嫌をとろうと必死

僕がそう見えたのかな、追及されてるベータロンがそういう態度だったのかな……?


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・支持する生徒達との共同作業
・罪をひとりでかぶるための失踪
・隠蔽せざるを得ない

SRE110での集団隠蔽と「策謀編」のミックスかな。僕は結果的におっ被せられただけなんだけどね。

表面化してもいい事ないからそりゃ隠すよねー。しかしまあその前提として「僕がネットでさえ噂もされない」って点が支点なんだってところは強調していいかもね。


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・自供

ベータロンがするとも思えないので「策謀編」かな。


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・思っていたよりもいくらか若いイメージ

何が原因でどういう展開の積み重ねがあってそうなるのかわからんでもないんだけどさ、言うのめんどいからやめとく。


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・持って回った訊き方

前述『プロット(・キャラクター)篇』でのT・S・エリオットからの引用「もって回った比較の知的喜び」「回りくどい巧妙さ」からの再展開か。

こんなところから自作に利用するなんてさすがに変態的じゃないかと思わなくもないが、よく考えたら「西尾・忍殺」も歴史寓話も持って回ったものではあるし、そもその作品においてこうした表現が常套手段でもあるので使用は正しく、また脆弱性がないものでもない……(くどい)。




(続く)

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関連リンク

西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

西尾維新篇

第1話「ゼロ年代の終わりに」(約1,600文字)

第2話「西尾維新からの応答」(約3,200文字)

ニンジャスレイヤー篇

第5話「『ニンジャスレイヤー』をオマージュする西尾維新」(約2,600文字)

策謀篇

第6話「過渡期の人」(約1,900文字)

第7話「茶番の始まり」(約1,800文字)

第8話「違和感の塊のような」(約2,100文字)

第9話「地雷と第二次性徴」(約2,200文字)

第10話「アメリカンなジェスチャー」(約3,500文字)

第11話「俺に合わせろ」(約2,900文字)

第12話「物語の終わり」(約1,800文字)

第13話「閉じろ、その地獄の釜の蓋を」(約3,200文字)

昇華篇

第14話「『天狗の国へ連れてゆく』」(約1,700文字)

批評篇

第15話「『どうだ ピンク色の光が見えてきたか?』」(約2,300文字)

第16話「『やめろ!俺の頭から出て行きやがれ!狂気め!』」(約2,800文字)

第17話「『消えろ』‘彼を呼ぶのだ!’『消えてくれ』」(約2,400文字)

第19話「『俺は向こう側に、天狗の国に行かなきゃならねえ』」(約3,400文字)

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#批評 #コラム #ステルスリアクション #小説 #西尾維新

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