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逃げ恥最終話で思い出した、我が家の「飲みの日」の話

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』最終回を見ながら、夫が言いました。

「同棲当初を思い出す」
「既視感がやばい」
「平匡(星野源)の気持ちがわかりすぎて見ていられない」

本当に。我が家も同じようなやりとりを超えてきたなぁと、改めて思い出しました。

※ブログ「ヒナスイッチ」2016年12月22日の記事に加筆修正し、こちらに移動しました

『理想の妻』でいたいのに

私は元々、どちらかというと家事は自分がすればいいと思っていました。

共働きとはいえど、私の方が給料は少なく勤務時間も固定の派遣社員。土日くらい、仕事帰ってきてからくらい、彼をゆっくりさせてあげたい。

私が思い描いていたのはまさに『理想の妻』でした。

でも、休日に目が覚めて、彼がゲームしている間に私は洗濯。「お腹すいたね」と言われるのに合わせてご飯を作り、食べ終わったら片付け。

彼はというと、ゲームに戻るか、パソコンでゲーム実況を見始めるか。どこの誰だかわからない実況主の馬鹿笑いと「あーーーっ!!」というゲームに失敗した時の声・暴言が部屋に響く中、私は掃除。洗濯物を干して、しまって。

私が家事を片付けていく間、彼の意識はずっと違う世界にいる。少しずつ苛立ちが溜まっていく。

でも『理想の妻』でいたい。

相反する感情に少しずつ追い込まれていきました。

『愛情』というやりがい

彼からの『愛情』を感じられれば良かったのかもしれません。愛されているという実感。「私は愛されている、私も彼を大好き、だから彼のために家事をするのは喜び」というような感覚があれば。

でも、彼が思う『愛情』は、私が求める示し方とは違いました。

「一緒にいる・結婚する時点で好きなのはわかってるよね」
「好きじゃなかったら毎日一緒になんていられないわけだし」
「言葉で表現するのは苦手だから」

付き合ってすぐの頃は「好き」と言ってくれたけれど。一緒に暮らし始めてからはそんな愛情表現はなく、ハグ・キスなどもほとんどなくなりました。

会話もない中で、ひたすら家事をする自分。ゲームとパソコンを相手に笑っている彼。

「彼が喜んでくれるから美味しいものを作ろう」
「彼が困らないように洗濯しておこう」

元々は喜んでやろうとしていたはずなのに、家事のやりがいはなくなっていきました。

『好きの搾取』への爆発、むなしくて泣いた夜

ある日、私は爆発しました。

「このままの毎日を続けていくのはもう無理」
「コミュニケーションなしで愛情を感じることは私にはできない」
「愛情が感じられない状態で、今のままの生活は続けていけない」

私がツラかったのは、彼に愛情を求め続けてしまうことでした。

単純に『家事』そのものがツラかったわけではない。愛情という見返りなく、ただひたすら奉仕し続ける毎日が、無理になったんです。

少し形は違うけれど、これもみくりの言う『好きの搾取』だったのかもしれません。

夫が評価しなければ、妻は誰からも評価されない。つまり雇用主の評価(愛情)が大事なんです
(ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』最終話より)

愛情は、本来示したいときに示すものです。相手に強要するものじゃない。

だけどその時の私はもう限界で、必死で訴えました。

「なんとかして表現してほしい」
「私を安心させてほしい」
「そうしたら家事だってやれる、毎日笑顔で過ごせる」
「お願いします」

でも、誤魔化されてしまいました。「逃げろー」って笑って、はぐらかして、彼はその場から逃走。会話は強制終了でした。

その夜ひとりでお風呂につかりながら、声を殺して泣いたことをよく覚えています。悲しくて、むなしくて、心が空っぽになってしまいそうでした。

覚悟のメールと『飲みの日』の制定

それからずっと考えていました。このままでやっていけるのかどうか。

実際問題、自分の精神が限界なのは感じていました。でも、これ以上この話題に切り込むのは怖かった。怖くて怖くて、でも、このままじゃダメなのはわかっていて。

意を決して彼にメールをしました。

「あの時の私の言葉が冗談だと思っているなら、あなたは私のことを何もわかってない」
「もう、限界です」

このメールの返信次第では、私たちの関係は終わるかもしれないとすら思っていました。それくらい、覚悟が必要だったし、とても怖かった。

でも、さすがの彼も、危機感を感じたようで。

『飲みの日』を提案されました。「一週間に一回でも二回でも、とにかく決めた時間に一緒にお酒を飲みながら会話をしませんか」と。

私たち夫婦の場合、全ての原因はコミュニケーション不足・会話不足にありました。

ふたりで改めて話し合い『火曜日はハグの日』ならぬ『金曜日は飲みの日』が制定されました。

・・・・・・

実際のところ。その後に急遽引越になったり仕事が忙しくなったりと環境の変化があったため、この制度自体は長くは続きませんでした。

でもこの事件以降、彼の中に『会話をしなければいけないらしい』という意識が生まれたことで、関係はかなり改善されました。

話を聞いてくれるだけで、同じものを見て会話をするだけで、認められていると感じる人は多いのではないでしょうか。

私たち夫婦には共通の趣味もなく、また彼が思ったことはすぐに言葉に出すタイプだったため、悪意なく私の言葉を否定する場面が多くありました。たまに会話をしたとしても「また否定されるかもしれない」という怯えがあったことも否めません。

そういったことも少しずつ伝えていく中で、今はずいぶん改善されつつあります。

大切なのは、それぞれの夫婦のバランス

必ずしも「好き」「愛してる」とかいう言葉が必要なわけではないと思うのです。

妻にとっては『雇用主の評価(愛情)が大事』

ありがとう、の感謝を表現することがパートナーを認めることなんですよね。

専業共働きに関わらず、家事は誰からも評価されません。夫婦がお互いに認め合っていくしかない。

バランスは夫婦によって・仕事時間によって違うわけですが、双方が納得できる形というのが大事なのだと思います。必ずしも家事そのものの分担ということではなく、感謝の示し方を考えるのも大切なんじゃないかな。

『ハグの日』『飲みの日』『家事一日休暇制度』『ボーナス制度』などなど、それぞれ考えたらいろんな落としどころがあるんじゃないか、なんて。

我が家の場合はコミュニケーション不足が一番大きな問題点だったので、夫が意識的に話を聞く(とりあえず返事をする)ようにしてくれたことで私の気持ちは落ち着きました。

コミュニケーションが増えることで自然に家事をお願いできたり、夫自身も自分からやってみようとすることも増えたように思います。「困った夫を良いパパに育てる方法」なんて記事も前に書いてみましたが、大問題真っ只中の頃にはそんな余裕なかったなぁ・・なんて。

世の中にはたくさんの夫婦がいて、それぞれのバランスで生活していて。でもうまく言葉にできなかったり、口に出すのははばかられたり、そんないろんな気持ちをコメディという形で問題提起してくれた『逃げ恥』

本当に素敵なドラマでした!

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