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俺だけの春風 三

 学校が見えて安心した俺たちは立止まり息を整えた。
「ハアハアハア早いね、優弥は」
「ハアハア、信也だって速くて驚いたよ」
 俺たちは汗を拭きながら校門を通り抜け、一年の受付を済ませると、クラス分け表を見に行った。
 なんと同じクラス! なんてドラマみたいなことは無く、優弥は隣のクラスだった。
「あの……信也……良かったらライン交換しない?」
「えっ!」
嘘っ! 嬉しい優弥!
「ダメ?」
「駄目なんてあるわけ無い! 是非是非是非!」
キョトンとしていた優弥がケラケラ笑い出した。
「なにそれ~もう~ダメ楽しすぎる」
「ほら……そこ!急いで!」
と先生に声をかけられた。
「はい!」
俺たちは大声で返事をして、
「じゃぁ、必ず後で交換! 忘れないでね!」
「うん! 後で」
優弥忘れる訳ないから。
俺は君に一目惚れ。
 一足先に走って行いった僕……
「忘れないでね信也。僕は君が電車に乗ってきた瞬間、君に恋したんだよ」
 優弥は高鳴る鼓動が止められず、隣の列に並んでいる信也の方を振り返ってしまう。
 優弥と目があった? 見てくれている? 何気なくVサインを為てみた。
お~グウって……ジャンケン?
いやいや……試しにパーを出してみた。ええっ~Vサイン! ジャンケン為てるんだ! 可愛い可愛い勘違いだよ。天然かな? それも良き良き。
オッ~先生が先生がぁ~優弥~、
俺の心の声とジェスチャーは通じず、優弥は頭を掴まれ、前を向かされたその時の顔! キュン死寸前だぁ。
優弥が懲りずに振り返る! 口パクで「あ と で ね!」
俺は思いっ切り頷いた。

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