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いまは焼酎が面白い

酒のブームで「いろいろな味がする」「きれいな味がする」どちらが喜ばれるのかは、一定のスパンで巡ってきてるのだと思う。
一方で、酒のジャンルも消費しつくされブームがひとしきり山を越えたら別のジャンルに移っているように見える。
クラフトジンが面白いと好んで飲んでいたけれど、「季の美」以降は「売れる」と目をつけられた感じがあり、どこのメーカーもやたらと出し始めてうんざりしてきた。(ウィスキーの原酒が枯渇したから手っ取り早いジンに移行したような、供給者側の事情はあるにしても)
ブリュードッグを造ってるところが出したジンです!ってそれ以外に何か面白さはあるのか。少なくとも味で印象が残る何かは感じられなかった。ジュニパーベリーさえ使用していれば、他にどんなボタニカルを使っていてもOK、といった自由さが最近では逆に「ジュニパーベリーだけ使ってたらいいんだろう」という低どまりの感じしかしない。

ある日、変わった焼酎を求めて定期的に九州まで車で買い付けに行く店主に「最近何か面白いの入りましたか?」と尋ねて「芋焼酎なのに、ジャスミンみたいな香りがしますよ」と出されたのが「燈華」という焼酎だった。これはジンでいうとモンキーが好きなら、好きじゃないかと思う。不思議に芋っぽくない、華やかな香りがする。
http://www.hayashi-tatsu.com/shop/products/detail.php?product_id=1090

また後日、同じ店で「これは、緑茶を蒸留してるんですよ」と聞いて、ふーん、と思ってすすめられるままにロックで飲んだらびっくりするくらいお茶の苦みと甘みがぶわっと来た。「何という銘柄??」「お茶娘」「枝豆でそういうネーミングある…またそのラベル…店頭で見かけても買わない」「ここは薔薇のシーズンには薔薇も蒸留してるんですよ」「ヘンドリックス?!ほぼジンでは!?!」「薔薇の贈り物っていう」「ラベルのデザイン…もう少しなんとか…」
http://www.taikai.or.jp/product/product_15.html

「ネーミングとラベルさえ何とかなれば、焼酎はクラフトジンを面白がっている層から流れる。今のクラフトジンよりよっぽど面白い。地元で面白がって造っているし、蒸留したら何でもありな自由度の高さも近い」と話題にしていたら、AKAYANEを教えてもらった。
http://www.satasouji-shouten.co.jp/products/akayane.html

まさにかくあれかしという感じだったので、即ジュニパーベリーと柚子/蓬を2本買った。
最初にボタニカルがガツッと来たあとに、芋の丸さが来るのが面白い。面白さでは柚子/蓬がいい。
後日、東京の立ち飲み屋で飲んだ「山椒」も飲んだら美味しかったので買った。はっきり「木の芽」の味がする。山椒風味を謳うクラフトビールやジンは見るたびに飲んできたのに、どれも「実山椒」アプローチからでそこまで際立つ出来はなかった。(マシなのは箕面ビールの山椒ペールエール)
木の芽はここまで再現できるんだ、ということに感動する。沈丁花の香水ができない、ということに並んでできないのかと諦めていた。

また最近、芋ミント焼酎、生姜、構成を明かしてない芋焼酎(ワインみたいだ)も教えてもらった。AKAYANE以外にも、かわいいラベルの焼酎を成城石井で見かけた。

本当に焼酎、面白いと思う。

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