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百物語17話目「ピカチュウ!」(実話怪談)

まだ、娘のむっちゃんが小さい頃、ピカチュウのオモチャを買った。

小さなやつで、ボタンを押すと「ピカチュウ!」と鳴く。

ところが、こいつが壊れてきて、何もしてないのに「ピカチュウ! ピカチュウ!」と鳴くようになった。

おもちゃ箱の奥の方に仕舞われていても、ときどき「ピカチュウ!」と言う。

ある日、夜中なのに、突然「ピカチュウ! ピカチュウ! ピカチュウ」と連続して鳴き始めた。

「うるせ――!!」

と、怒鳴ると、

「ごめん」

と野太い男の声がした。

「あ、やばいやつだ」

と思った私は布団から起き上がると、ピカチュウをオモチャ箱から引っ張り出し、流しにある水のたまった桶に沈めた。

そして、次のゴミ捨てのときに捨てた。

霊能力などはないので、対抗は物理。

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