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百物語67話目「迷路に住んでました」(実話怪談)

※追記あり

ウィンチェススター銃を開発した人の家が、銃で殺された人の恨みで呪われてるとかで、呪い除けのために永遠と建て増しをした話は有名ですよね。最近映画にもなった。

あそこ一度行ってみたいんですよねえ。扉を開けても壁とか、めっちゃ興奮する。短い階段とか、扉を開けると外とかさ。

まあ、でも、私の古い方の実家も、父親が増改築が趣味だったから、変な感じになってました。本来トイレの窓の外は、本当に外だったのに、そこに私の部屋が建て増しされたりね。

つまり、トイレの窓から顔を覗かすと、私の部屋がある。小さな部屋なのに、出入口ふたつあったし。

この「窓の外に部屋」は、他にもあって、窓ならまだいいけど、もともと窓で軒先があったりしたから、部屋の中に軒先屋根がそのまま残ってたりした。結構シュールな眺めです。

考えてみれば、必ず出入口はふたつ以上ある部屋しかなかったなあ。

さて、ここまでが前提で、本題に入っていきます。

私、顔立ちがありふれているので、本当によく「誰誰さん?」と知り合いに間違われます。それはそれは数数えきれないくらい言われ続けてきました。もう慣れてる。

それも多いのですが、町で私を見かけたという報告も多いです。もちろん、私はそこにいません!

ひどいときには、一週間に三回言われました。いずれも天神で私を見たと、絶対に私だったと言います。天神は福岡一の繁華街です。

「いや、私、天神に行ってないから」

と主張しますが、最後まで疑われたり。

世の中には三人似た人がいるといいますが、私、30人くらいいそうな勢いです。

ドッペルゲンガー現象って言うんですか?

でも、あれって、本人が本人を見たら、死ぬんですよね!

芥川龍之介も自分で自分を見た後、死んだんですよね。

だけど、私は自分で自分を見たことがないです。

と、断言したいんだけど、不思議な映像の記憶ならあるんですよ。小さい頃の記憶だから、本当なのか確信がない。白昼夢みたいで……。

それが冒頭語った一部屋に出入口が必ずふたつある古い実家でのこと。

私は片方の出入り口の扉の隙間から部屋を覗いている状態。その部屋には鏡台があるんですけど、もうひとつの出入り口の襖が開いて、誰か入ってきます。

おかっぱのちびまる子ちゃんが、もう少し大きくなったような少女です。彼女は私に背を向けたまま、鏡台の前に座ります。

ずっと背を向けていたんだけど、その鏡台に座った途端、顔が見えるんですよ。私と同じ顔が、ね。

彼女も鏡ごしに私を見て、びっくりしているところで、この映像の記憶は終わり。

あれがドッペルゲンガー?

まあ、でも、私、まだ生きてるし!

※追記:さっき気づいたんだけど、娘シリーズの子もおかっぱだなあ。

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