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勝ち馬の秘訣は風にあり?競馬で見逃せない新たな要素

割引あり

競馬でのレース結果には、様々な要因が影響を与えますが、近年、注目度が増しているのが風の影響でしょう。
本記事では、競馬における風の影響について、データを交えながら考察します。
具体的には、風が展開や枠の有利不利にどのような影響を及ぼしているかを解説。さらに、競馬場ごとの風向きの傾向などもまとめ、初心者からベテランまで、幅広い読者におすすめの記事です。

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とはいえ、風がどれだけ影響を与えているのか、すぐにはイメージできないと思います。そこで、直線が向かい風に日に、(向かい風の直線で)速い上がりを使った馬は強いと仮定し、新馬戦でそれに該当する走りを見せた馬を何頭かピックアップしてみたいと思います。馬のパフォーマンスを風を合わせてみることで活躍馬を容易に見つけ出すことができると理解していただけると思います。

①クロノジェネシス

左上の日本国旗から直線向かい風と判別できる。
直線向かい風のなか、ラスト2ハロンのラップは11秒5→11秒1という優れたもの。この一戦だけでかなりの活躍が予見できた。

②ソダシ

向こう正面のレース映像に映り込んだ日本国旗が大きく横にたなびいている。直線は強い向かい風と推測できる。
直線向かい風のなかを11秒7→11秒6という加速ラップで勝利。

③イクイノックス

イクイノックスの新馬戦では風向きが確認できるシーンがなかったので、画像は次の6レース時のものですが、同じような風が吹いていたと推測される。
11秒6→11秒3→11秒8と上がりタイムはそこまで特筆できないが、2着以下を6馬身突き放した内容から相当な能力の持ち主だとわかる。

④ソールオリエンス

旗の向きから推測できる風向きは直線斜め前方向からの向かい風。
いくら道中スローとはいえ速い上がりを出しにくい状況で11秒5→11秒0→11秒0のラスト3ハロンラップは能力の証明といえそう。

以上のように、のちのGⅠ馬が初戦で見せた能力の片りんを、風の影響も考え合わせることで、高精度で見抜くことができるといっても過言ではありません。


風のパターン分類

風の影響を分析しようと考えたときに意外と難しいのは、風をどうパターン分けしていくかということです。向きも強さも様々で風は360度どこからでも吹いてくる。直線追い風とか向かい風とよくいいますが、直線に平行に吹くわけでもありません。
細かく分ければ分けるほど分析するのが難しくなるので、筆者はかなりアバウトに7つに分けて考えることにしました。風の強さよりも風向きによる影響を知りたいので、強さはそこまで重要視していません。
開催当日の天気予報の風向きを見て、レースにどういう影響を及ぼすかを推測し、最も近いパターンに当てはめています。それを当日の競馬中継やレースリプレイを見て修正を加えている。全場現地で確認するのは不可能なので、多少のアバウトさには目をつむっています。

それでは、7つの風の分類パターンを見てみましょう。

①直線弱い向かい風

直線向かい風で上がりを要し、一般的には先行有利になるといわれる。

②直線強い向かい風

強い向かい風で差し馬が伸びあぐねるので、前有利になりやすい。

③直線弱い追い風

追い風に乗った差し馬がよく伸びるので、一般的に差し有利といわれる。

④直線強い追い風

一般的に差し有利だが、騎手もそれを意識できるのでスローになりやすい。

⑤4コーナー向かい風

勝負どころでの外からの仕掛けで遠心力が軽減されやや差し有利。

⑥4コーナー追い風

勝負どころが追い風でそこで勢いをつけすぎると4角で外に振られやすくなる。インで立ち回った馬の好走率が高まる印象。

⑦微風・無風

無風。もしくは、レースに影響がない程度の弱い風。

というわけで天気予報を参考に各競馬場で吹く風を上記の7つに分類しています。その作業を19年10月から開始し、これまで約3年半分のデータが集まったので、今回はそれを使っていろいろな分析をしてみたいと思います。データは19年10月1日から23年4月23日までのもの。

展開への影響

逃げ、先行、中団、後方、マクリという戦法別の成績を風のパターンごとに分けて比較してみました。

逃げ

直線弱い向かい風の日が最も逃げ馬が活躍する。風の強い日はペースコントロールが難しくなるからなのか、逃げ切りが難しくなる印象。

先行

先行策は風向きに関係なく有利な戦法と考えている。注目は最も成績が良かった直線強い追い風の日で、ジョッキーもそれを意識しやすいので、スローになりやすいし、勝負どころでも押し上げも容易なので直線に向く時点で差し馬でも先団に取り付ける。だから、先行した馬の成績がよくなっていると考えている。

中団

直線向かい風だと中団からの差しで勝つのが難しい印象。4コーナー向かい風の成績がいいのは4コーナーを回る時の遠心力が風で押されて軽減されるからと考えている。

後方

後方からの追い込みはやはり直線追い風の日が可能性が高そう。向かい風で直線一気を決めるとなると相当な能力が要求される。強い追い風の成績が悪いのは追い込みで勝ち負けできる能力のある馬は4コーナー向く時点ですでに前のポジションに取り付いていて能力の足りない馬、すでにバテて後方に下がってしまった逃げ先行馬の成績が含まれていると考えられる。

マクリ

難易度の高いマクリ戦法は風のない日(微無)のほうが決まりやすいのかも。直線向かい風の時は向こう正面が追い風になので、それを利用したマクリも有効といえそう。勝率が最も高いのは直線追い風の強い日だが、向こう正面の強烈な向かい風でマクりを決められる馬というのはそれだけで強いので、能力の足りない馬のマクリがそもそも存在しないからと考えられる。

芝での展開への影響

風向きによる展開への影響を、芝レースだけに限定して見てみたい。

逃げ

直線向かい風の時が最も逃げ切りが決まりやすい。風が強くなるとペースが狂いやすいし、ジョッキーも風を意識して工夫するので逃げ切りが難しくなるのでは。

先行

直線強い追い風の日に能力の上位の馬は、勝負どころでマクリ気味にポジションを上げ、4コーナーを回る頃には先団に取り付いていることが多く、そういう馬もカウントされているので「追強」が好成績なのでは。それ以外では、「4追」「向弱」といった勝負どころでのポジションの押し上げが難しいときに先行有利になると考えたい。

中団

勝負どころの4コーナーで外から風で押してもらえて遠心力を軽減できる「追強」「4向」のときに差しが決まりやすい。直線向かい風が強い日は追い風の向こう正面でオーバーペースになって前で競馬した馬がガス欠するケースがあるからでは。

後方

後方からの追い込み策はやはり直線追い風のほうがやや有利。「向強」の複勝率が高いのはオーバーペースの前崩れが思っている以上に多いからかもしれない。逆に「追強」の時の成績が振るわないのは、勝ち負けできる力のある馬は4コーナー回る時には好位にいるからと思われる。

マクリ

芝でのマクリの考察は難しいが、風のない日のほうが決まりやすいのでは、一発があるのはペースが乱れやすい風の強い日。

ダートでの展開への影響

ダート戦での風による展開への影響も考えてみます。

逃げ

ダート戦は基本的に逃げが最強の戦法で全体的に好成績だが、それでも「向弱」のときが最も複勝率が高い。

先行

「追強」のときがもっとも好成績だが風が強い日はペースが狂いやすく超スローになりやすいし、向かい風の向こう正面を難なく先行できたり、追い風に替わる勝負どころで一気に先団取り付けたりする能力の高い馬が成績を押し上げているのでは。基本的には直線向かい風で先行有利と考えたい。

中団

直線向かい風の時に差すのは難しい印象。直線横風や無風で風の影響を受けないシチュエーションのほうが差しが決まりやすい。

後方

追い込みも、直線横風や無風で風の影響を受けないときのほうが決まりやすい印象。

マクリ

ダートでのマクリはマクリはじめる地点が無風or追い風の時の成功率が高そう。マクって勝ち切るとなると直線追い風の恩恵があったほうがいい印象。

競馬場別の風傾向

ここからは競馬場別の風向き傾向と、風向き別の逃げ先行成績を比較し、競馬場ごとの特徴を見ていきたい。

東京

北風(4向)と南風(4追)が多く、ほとんどの日がそのどちからか。それが東寄りになれば直線追い風になり、西寄りになると向かい風となる。

東京&逃げ先行

直線の長い東京でだけに逃げ先行馬の成績は他場に比べ振るわない。直線向かい風のなか前で頑張り切るのが難しいのか、直線向かい風で先行有利とも言いにくい印象。

中山

北風(直線向かい風)が多く、暖かい日の午後には南風(直線追い風)に変わり、差し決着が多くなる。風が強くなるとスローが増え、コース形態から前残りが増える。

中山&逃げ先行

データ的にも向かい風のほうが先行有利になりやすいといっていいのでは。

京都

長らく改装していたので、データ数は少ないが、秋の開催は風が穏やかな日が多い。直線向かい風と追い風が半々くらいで風の影響が素直に出やすい競馬場。

京都&逃げ先行

直線追い風になると切れ味勝負になりやすく、差し有利。逃げ先行馬を狙うなら直線向かい風のとき。

阪神

おにぎり型のコースが特徴で直線と向こう正面が平行ではないので、風向きの判定が難しく、わかりやすい傾向がないコース。

阪神&逃げ先行

「追弱」のときに逃げ先行馬の成績がいいが、向こう正面が向かい風で他のコースに比べると負荷のかかりかたが違うので、判断が難しい。


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