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通算絞り出し勝利ランキング!?

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2022年の根岸Sを制したのは6番人気のテイエムサウスダンに騎乗した岩田康騎手でした。そして、これがJRA通算1700勝のメモリアル勝利でもありました。22年1月23日の中京8Rをフォルテデイマルミで制した川田騎手も、この勝利がJRA通算1700勝の節目。内田博騎手も22年2月5日の東京2RでJRA通算1300勝を達成し、田中勝騎手も22年2月26日の中山8Rで1800勝のメモリアル勝利を達成しました。年間100勝以上するジョッキーなら毎年節目が来るので、そう珍しいことではないのですが、これらのメモリアル勝利を見ていて思いついたことを試してみたのが今回の記事となります。

それは通算の勝利数がもっとも多い騎手はいったい誰なのかということです。これがわかれば一番上手い騎手が本当は誰なのかがハッキリとするかもしれません。

調べなくても、それは武豊騎手と答えが出ているといわれそうですが、そうではなくてUSM(馬力絞り出しメーター)の考え方を利用して、これまで騎乗してきた馬の単勝オッズから推定される勝利数と実際の成績を比較して、デビューしてから現在まででどれだけ人気以上に走らせて勝ち星を稼いできたか、逆に人気を下回る結果しか残せていないかを見てみようと思ったのです。いうなれば、通算“絞り出し”勝利数を出すというのが今回の記事の狙いです。

USM(馬力絞り出しメーター)に関する詳しい説明は以下のリンクよりご覧になれます。

これはルメール騎手のJRAでの通算成績と単勝オッズから推定される勝利数(何勝分の騎乗馬に跨ってきたかを算出したもの)を比較したものです。

ルメ通算

短期免許で来日していた頃から、これまで1536勝を挙げています。騎乗馬の単勝オッズから推定される勝利数は1525.6勝なので、これを差し引きすると、ルメール騎手は通算で(1536−1525.6=)10.4勝分、人気以上に勝たせたということがわかります。

というわけで、キャリア通じて、人気以上に馬を走らせて馬券に貢献して騎手なのか、そうでないのかが、ハッキリするのではないかと考えたのです。もちろん、過剰人気になりやすい騎手は辛い評価になって、人気の盲点になりやすい騎手が高評価となるのですが、馬券ファンからすれば過剰人気になりやすい騎手よりも、過小評価を受けやすい騎手のほうがありがたいので、数字が悪いから実力が低いと断罪はできないとしても、馬券での貢献度が高いか低いかはわかるのではないでしょうか。

現役ジョッキーすべてで、この作業をやって、結果をランキングにしてみました。

データは86年1月1日から22年1月23日までの平地競走でのもの。柴田善騎手だけ1年目の成績が反映できませんでした。現在、障害専門のジョッキーもかつて平地競走で騎乗していればそのデータが反映されています。

早速、結果を見てみましょう。現役ジョッキーのなかで、通算“絞り出し”勝利数が最も多かったのは約137勝も人気以上に絞り出して勝っている川田騎手。2位は池添騎手、3位は秋山真騎手で、人気以上に馬を勝たせてきた騎手の顔ぶれは下表のような結果になりました。

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筆者的には、これまで穴馬券でお世話になった騎手が多数名を連ねていると感じています。ただ、通算成績なのでこれまでの積み重ねが重要で、直近の成績だけではないので、今ではなく昔たくさんお世話になった騎手もいる印象です(笑)なので、その推移にも興味が湧いてきました。

次に、ワーストランキングを見てみましょう。ダントツの270勝近くを取りこぼしているという結果が出たのは武豊騎手でした。通算勝利数では2位の横山典騎手に1500勝近い差をつけて前人未到の4300勝利以上を挙げている名実ともに日本競馬史上最高のジョッキーといってもまだ足りないくらいの存在なのに、取りこぼし数でも実は最多だったのです。ただ、長らく競馬界を一人でけん引してきたレジェンドで、騎手のブランド力だけで多くの馬券を売ってきたと思うので、この結果は過剰人気の影響が大きいと考えています。とはいえ、最近は過剰人気傾向が薄れてきているので、これからが巻き返しのチャンスなのかもしれません。

ワーストの2位は岩田騎手。地方出身騎手としてJRAで最多の勝ち星を挙げており、地方での勝ち星を合わせると4500勝以上にもなる名手ですが、近年は奇行が目立ち、USMの数字も低かった。ここ最近で取りこぼしを増やしていったのかもしれません。

それ以下の騎手を見ると、障害レースはカウントしていないので熊沢騎手が上位にランクインしているのが意外ですが、それ以外の騎手は2、3着が多く着拾いの傾向が強い騎手の名前が並んだ印象です。

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こうやって見てきて気になったのは、ここ数年での増減です。通算“絞り出し”勝利数は通算勝利数と違って減ることもあるので、浮き沈みがあるからです。そこで、一年毎の成績でも絞り出し勝利数を算出してみました。いわば、絞り出しリーディングといってもいいでしょう。19年~21年までのベストランキングとワーストランキングも作ってみました。

2019年ベスト&ワーストランキング

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2020年ベスト&ワーストランキング

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2021年ベスト&ワーストランキング

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それを見ると19年、20年と2年連続でリーディングの座に輝いていたのは松山騎手だとわかりました。ただ、21年はトップ10から陥落してしまっています。多くの馬券ファンが松山騎手を乗れるジョッキーとして浸透した結果、人気以上に走らせることが難しくなったと考えられます。

松山騎手に替わって昨年リーディングに座に就いたのが横山和騎手でした。昨年は79勝を一気に勝ち星を伸ばし全国区のジョッキーの仲間入りを果たしたといっても過言ではないですが、その勢いは本物だったのでしょう。ただ、問題は今年どうかです。これまでよりもいい馬がたくさん回ってくることは間違いなく勝ち星は増えるかもしれないですが、そのぶん、人気も背負うことになるので期待以上の結果を残し続けることが難しくなるからです。
コントレイルで三冠を達成した福永騎手、ソダシとのコンビで阪神JFを制した吉田隼騎手など20年に大活躍し、絞り出しリーディングの上位(福永騎手4位、吉田隼騎手5位)に名を連ねていたのですが、21年ではワーストのランキングに名前が挙がっています。19年に初めて短期免許で来日し大暴れしたレーン騎手も、2度目の来日となった20年は期待の大きさに押しつぶされてしまった感を否めません。このように、注目が集まっていい馬にたくさん騎乗できるようになると、それ以上に騎乗の質を高めていかないといけないからです。

なので、通算でもトップに立ち、近3年もリーディングの2位に居座り続けている川田騎手は今JRAでもっとも脂の乗っている騎手といっても過言ではないのかもしれません。

逆のパターンも多くみられます。19年が前厄で「政治力」を大きくダウンさせたデムーロ騎手はワーストランキングでも2位に入っており、乗り馬の質の低下だけではなく、騎乗のクオリティも下がっていたのがわかります。21年は復調の年となったと見ているのですが、それを証明するかのように、ベストランキングの4位に入る活躍を見せている。

菅原明騎手も20年は年明けの落馬負傷の影響で調子が上がっておらず、ワーストランキングの上位に名前があったのですが、昨年はカラテ(東京新聞杯)での初重賞制覇を弾みにして、ブレイクを果たし21年はベストランキングの3位にランクインしています。この勢いを22年も持続できれば一気にトップジョッキーへの仲間入りを果たすことができるのではないでしょうか。

2年以上続けてベストランキングの上位に名を連ねることができる騎手は稀で、それができるような騎手は頂点まで上り詰める可能性が高い。多くは浮き沈みを繰り返している印象で、このランキングの推移をみるだけでも、ジョッキーの調子の波が見えてくると思います。なので、21年のベストランキングの上位に入ったジョッキーは、昨年並みの活躍を持続できているか、それとも馬の質に見合った騎乗ができていないか注視していくと、それを馬券的にも応用できそうな気がします。

そして、ワーストランキングの上位に名前が載った騎手も、今年の巻き返しがあるかに注目したい。馬券ファンからも敬遠されるようになって人気が下がり、それが穴馬券につながる可能性も高いからです。

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