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WIN5とジョッキー

筆者はWIN5の買い目を検討する際にジョッキーはそこまで意識していません。個々のレースを予想する場合にはジョッキーは重要なファクターではありますが、一般のレースとWIN5対象レースで騎手の腕が変わることもないと考えているので、あくまでもどの馬を選ぶかといったときの予想ファクターのひとつだと考えているからです。

しかも、番組の組み方ひとつで選ぶべきジョッキーも変わるはず。例えば、東京の芝2400mの番組が多く対象レースになっていたらルメール騎手は優先的にチェックしなければなりませんが、ダートの短距離戦なら妙味を考えて敬遠すべきジョッキーとなりそう。売り上げ面を考えてなのか組まれることがなくなりましたが、古くは障害レースが対象レースになったこともあり、そういうレースでルメール騎手を狙おうにもそもそも乗っていない。なので、どのジョッキーを狙うかはどういう番組を組まれるかによって大きく変わるし、その活用の仕方も買い目構築の指標というよりも、そのレースでどの馬を狙うかといった個々のレースの予想の範疇を出ることはないと思っているからです。

ただ、それはあくまでも筆者の考え方。実は、ジョッキーにWIN5的中の大きなヒントが隠されているかもしれません。なので、早速調べてみました。

23年7月2日までのWIN5全673回を対象に通算勝利数と騎乗数、通算勝率を調査しました。対象レース数が3365レースとなり、年間レース数とほぼ同じ。なので、勝ち星や騎乗数や勝率を年間成績と同じような感覚で比較することができる。年間100勝がトップジョッキーの条件のひとつとしたらWIN5名人も100勝が目安となる。200勝を超えるようならレジェンド級といってもよさそう。同様に、騎乗数も勝率も年間成績のような感覚で比較できるのではないでしょうか。

というわけで、早速調べた結果が以下の表です。

WIN5対象レースの通算成績(緑)と20~22年の年間成績の平均(赤)と20年以降の最近のWIN5対象レース成績(青)の3部門でデータを算出。最近の成績も入れたのは、若手騎手は通算での比較となるとキャリア面で不利なのでWIN5で活躍している若手騎手を見逃さないため。もうひとつは、最近勝ち星を量産している急上昇中のジョッキーが見つかる可能性もあると思ったからです。取り上げた騎手はWIN5対象レースの通算勝利数の多い騎手、もしくは、20年~22年までの平均勝ち星が10勝以上の騎手。

WIN5で200勝を達成した騎手はいませんでした。100勝ジョッキーは7人(ルメール、川田、戸崎、デムーロ、武豊、松山、岩田康)。

では、上から順にみていきましょう。

1位~20位まで


C.ルメール

174勝でトップの勝ち星でした。順当な結果といっていいですが、ルメール騎手がJRAの所属騎手となったのは2015年なので、2011年から始まったWIN5にフル参戦していたわけではないという点は見逃せません。ただ、年始のバカンスに加え夏休みもたっぷりとって毎年リーディング争いをしているので、それくらいのハンデはちょうどいいのかもしれません。勝率も3部門すべてで20%を超えており、もっとも信頼できるジョッキーといってよさそうです。

川田将雅

167勝でルメール騎手に次いで2位。ただ、最近は騎乗馬を厳選して高勝率を誇るのが川田騎手のセールスポイントですが、WIN5対象レースに関しては1000鞍超騎乗を達成しており、数乗って勝ち星を稼いだ感は否めません。ただ、最近はWIN5対象レースでも勝率2割を超えてきており、こちらも頼りになるジョッキーといっていいでしょう。

戸崎圭太

3位は137勝で戸崎騎手。川田騎手同様WIN5対象レースで1000鞍以上騎乗しています。勝率を見てみると、20年以降のWIN5対象レースが最も高く、WIN5対象レースでの勝負強さが増しているのかもしれません。

M.デムーロ

4位は129勝でデムーロ騎手。最近はノーザンF系の有力馬に騎乗できなくなって大舞台での活躍が減少している。それに比例するように最近はWIN5での活躍も減っていますが、全体から見た勝ち星や勝率は上位で、大きな舞台での一発が魅力で勝ち切れるジョッキーなので無視はできないのでは。

武豊

競馬界のレジェンド健在。最近のWIN5対象レースでもトップクラスの成績を残している。

松山弘平

着実に成長しトップジョッキーの仲間入りを果たしたといっていい。20年以降のWIN5対象レースの騎乗数は全ジョッキー中トップで売れっ子ぶりが伺える。騎乗数が多いだけでなく勝率も高く、WIN5でも信頼できるジョッキーなのは間違いない。

岩田康誠

WIN5で100勝超の7人の侍のひとりだが、最近の活躍は地味。似たような境遇のデムーロ騎手と比べても、最近のWIN5対象レースの騎乗数も勝率も低く、落ち込み度は岩田康騎手のほうが深刻にみえる。

浜中俊

強気の騎乗がウリのジョッキーで、それが勝負強さにつながりWIN5対象レースでの活躍の原動力になっているのでは。7月16日にも8番人気のレイクリエイターで勝利し、4000万円を超える配当の立役者になっている。

田辺裕信

20年以降のWIN5対象レースでの勝利数は16位と悪くはないが、対象レース以外のほうが勝率も順位も上なのは気になる傾向。

池添謙一

決め打ち系の代表格で、大舞台に強い騎手。WIN5対象レースに強いが、最近はそれも若干落ちているのが気になる。

横山典弘

息子たちも一人前のジョッキーに成長し、最近は競馬を達観されている感が強い。全く勝たないわけではなく無視はできないが、最近のWIN5対象レースでは期待しすぎは禁物。

幸英明

とにかくたくさんのレースに騎乗する鉄人戦略が有名だが、WIN5対象レースでもしっかりと1000鞍超騎乗している。勝率は同ランクの騎手と比較して低いが、とにかく数乗るので最近のWIN5対象レースでの勝利数はトップ10に入っている。

内田博幸

全盛期の武豊騎手をリーディングの座から引きずり下ろした騎手ですが、大ベテランの域に達し、最近は低空飛行が続いている。

北村友一

21年にレース中の落馬で大ケガを負い、22年6月に復帰。徐々に調子を取り戻している印象で、完全復活までもうすぐでは。

藤岡佑介

20~22年の騎乗数の平均を見ると川田騎手よりも少なく騎乗馬を厳選しているジョッキーなのかもしれない。最近のWIN5対象レースの勝ち星も勝率も高く、意外な狙い目ジョッキーの可能性も。

和田竜二

とにかくたくさん乗る、質より量の騎手。WIN5対象レースでの騎乗数はトップ。ただ、勝率は低く、2、3着も多いタイプで、狙い撃つのが難しい印象。

北村宏司

落馬負傷やヒザのケガなどで、何度も長期の離脱があり成績を落としている。過去には年間100勝達成したこともあるが、苦戦が続いている印象。

吉田隼人

関東所属ながら、いまは実質的には関西の騎手。関西移住がよかったようで、成績が上向いたし、最近のWIN5対象レースでの活躍も増えている印象。

石橋脩

勝ち星的には横ばいだがどうも元気が感じられない。WIN5対象レースでの活躍も少なめ。

柴田善臣

現役最年長ジョッキーもまだ健在。往年のような活躍は期待できないとはいえ、経験と技術は随一でいぶし銀的存在。

21位~40位まで

このゾーンは横山武騎手、鮫島駿騎手、坂井騎手といった伸び盛りのジョッキーが多く含まれる。あとは、酒井学騎手、吉田豊騎手、丸田騎手などリーディング順位は低いが穴での一発が魅力の騎手や大舞台での勝負強さがウリの騎手など、WIN5で高配当の使者になりそうな騎手も多いのでは。

41位~60位まで

このゾーンは岩田望騎手菅原明騎手など、リーディング順位と比較してWIN5対象レースで結果を出せていない騎手が目に付く。

61位~84位まで

ここは減量特典を活かして勝ち星を伸ばせるようになってきたものの、まだレベルの高い特別レースでは結果を出せていない若手騎手が目立つ。減量特典が消滅して苦戦する騎手も多いと思うが、なかには、それを乗り越えて特別でも活躍するようになる騎手も出てくると思うので、長い目で見たいゾーン。

みなさんに競馬を楽しんでいただくため、馬券の参考にしていただくため、頑張ります!これからもよろしくお願います!