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浴衣を着る少女

また、夏祭りも花火大会もない今年の夏。
3年目の諦めムード。

中1の娘は、せめて友達と浴衣を着たいと言った。
我が家には1着しかなかったので
実家に連絡し送ってもらった。
私が中高生の頃に来ていた浴衣。
娘にも良く似合った。


YouTubeで動画を見て、
お互いに着付けし合う娘と友達が可愛くて
時々横から茶々をいれながら眺めた。

見た目の未発達な部分と、
立派に女性の部分とを併せもった
期間限定の生き物が
慣れない作業に戸惑う身体の動き。


日々をいとも簡単に
軽やかに共有できて
不可能などないように見えた世界

突然制限だらけの時代がやってきて
その中に瑞々しさを
放とうとしている子たち

自分の身体を綿に包まれて帯でぎゅっと正される
有無を言わせない柄や帯の色の伝統的なデザイン
和装の不便さと形式美の入り口にある浴衣

どんな新鮮みをもってその目に映っているのだろうと思う。

浴衣を着る、という行為
自慢のウエストの細さを補正するため
タオルを巻き帯を締める和装の決まり
衣紋をぬく、おはしょり、などの聞きなれない言葉
浴衣の模様、帯の色、和服にあう髪型

普段のルーティーンから逸脱する楽しみに彩られていた。


送ってくれたのは母が昔縫った浴衣で、
友達の分の下駄まですべて一揃えにしてあった。

この夏は浴衣姿をたくさん、残してあげたい。


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