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【じーじは見た!】 後編:橘川武郎さん再び! 日本の原子力政策に喝⁉

心はZ世代! 身体は還暦過ぎた昭和人! Z世代応援団のじーじです⁉

さて、またまた橘川先生に登場していただきました。

東京財団政策研究所の「加速するエネルギー転換と日本の対応」研究プログラム(研究期間:2020年4月~2023年3月)の活動の中で2021年度研究報告として「カーボンニュートラルに向けた 日本のエネルギー政策のあり方」と題するレポートが発表され、橘川先生は、2つの章を担当されました。

橘川先生が書かれた「原子力と化石燃料のゆくえ」を見ていきましょう。
本編は後編です。前編から読んでいただくと話が繋がって分かり易いと思います。

✅代替案を確認する前にもう一つの問題について

さて、小泉元首相が、核のゴミ問題を理由に原発ゼロを訴えておられますが、政府は核のゴミを再度燃料として使用する「核燃料サイクル」一本やりの政策で、核のゴミ問題から目を反らしてきました。

橘川先生は、この政府の一本足方針を二重の意味で既に破綻していると書かれています。

政府は、「高速増殖炉サイクル」と「軽水炉サイクル」の二段構えで、核燃料サイクルを想定していた。このうち、重きを置いていた高速増殖炉サイクルは、2016年12月の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉決定によって、実現が不可能になった。これが第1の破綻である。

残る方策は軽水炉サイクルだけとなったが、その成否を決めるのは、モックス(MOX:Mixed Oxide)燃料を既存原子力発電所の軽水炉で使用するプルサーマルである。

MOX燃料とは、使用済み核燃料の再処理によって分離されたプルトニウムをウランと混ぜて作り出す、混合酸化物燃料のことである。

現在の日本には、MOX燃料を装荷済みでプルサーマル利用できる軽水炉が4基しか存在しない。関西電力の高浜発電所3・4号機(合計でプルトニウムの年間利用目安量約1.1トン、以下同様)、四国電力伊方発電所3号機(約0.5トン)、九州電力玄海原子力発電所3号機(約0.5トン)がそれである。

つまり、プルトニウムの年間利用目安量はプルサーマル炉が1基当り約0.5トンということになるが、一方で、青森県・六ヶ所村にある日本原燃の再処理工場がフル稼働した場合には、年間7トンのプルトニウムが生産される。7÷0.5=14であるので、再処理工場が産み出すプルトニウムを消費するためには、14基のプルサーマル炉が必要になる。ところが、現実にはそれが4基しかない。これが核燃料完全依存方針の第2の破綻である。

「原子力と化石燃料のゆくえ(橘川武郎)」より引用

凄いでしょ⁉ 政治家の無能・無策ぶり。
こんな大事な話を私たち素人にも分かるように橘川先生が上手に解説してくれていますよね。

この核燃料サイクルが回ることが前提でプルトニウムの生産をアメリカ政府の後ろ盾で認めてもらっていたのだけれど、破綻している計画を放置し続ける政治的無策を続けていると、せっかく2006年から試運転に入っている六ヶ所村の再処理工場が竣工する前に国際問題(日本は非核兵器保有国なのに使いもしないプルトニウムの生産の必要なし)にされることまで予見されています。

✅原子力依存を下げる代わりの「カーボンフリー火力」

橘川先生が日本が力を入れていくべきは、アンモニアと水素を活用したカーボンフリー火力にありと言われています。

火力発電そのものを否定的にとらえている欧州の発想からは生まれようのないカーボンフリー火力は、既存インフラを徹底的に活用できるという意味でも日本が将来的な産業競争力を維持していくための重要な分野になるとの見解です。

欧米が重視していない2つの技術。それは、アンモニアを燃料として使用するカーボンフリー火力発電と、二酸化炭素と水素から都市ガスの主成分であるメタンを作るメタネーションです。

ここに日本企業は活路を求めていく必要があります。
橘川先生は次のように書かれています。

2020年10月の菅義偉前首相の「2050年カーボンニュートラル宣言」がある程度のリアリティを持ったのは、その直前に日本最大の火力発電会社JERA(東京フュエル&パワーと中部電力が折半出資で設立した合弁会社)が、アンモニアと水素を活用することで、2050年までに火力発電のカーボンフリー化をめざすと発表したからである。
JERAが「カーボンフリー火力」という新機軸を打ち出したことにより、火力発電は二酸化炭素を排出するものだという従来の常識は打破され、カーボンニュートラルへの道筋が開けたわけである。

「原子力と化石燃料のゆくえ(橘川武郎)」より引用

✅日本が進むべき道

欧州の真似をして再エネ(風力・太陽光)と電化、EV化だけに依存していたのでは、日本の国力は弱る一方です。

地球環境産業技術研究機構(RITE)が2050年におけるわが国の電力コスト(限界費用)が大幅に上昇することを2021年5月13日に発表したのは衝撃的だったと橘川さんは書いておられます。

(下記①~⑦)シナリオのケースごとの数値は、総発電力量(兆 kWh)/電源構成(%、再生エネルギー:原子力:水素・アンモニア:CCUS火力[二酸化炭素回収・利用、貯留] の順)/電力コスト(円/kWh、限界費用)を意味している。
①政府提示の参考値のケース 
 1.35/54:10:13:23/24.9(円/kWh)
②再エネ 100%ケース 
 1.05/100:0:0:0/53.4(円/kWh)
③再エネ価格低減ケース 
 1.5/63:10:2:2522.4(円/kWh)
④原子力活用ケース
 1.35/53:20:4:23/24.1(円/kWh)
⑤水素・アンモニア価格低減ケース
 1.35/47:10:23:2023.5(円/kWh)
⑥CCUS 拡大ケース
 1.35/44:10:10:35/22.7(円/kWh)
⑦カーシェアリング進展ケース
 1.35/51:10:15:24/24.6(円/kWh)
現行水準(13 円/kWh、2020 年時点)

「原子力と化石燃料のゆくえ(橘川武郎)」より引用

現在の情勢から考えるとこの程度の価格では収まらない可能性もありますが、だからこそ日本が生きる道は、2050年時点で「再生可能エネルギー比率47%:原子力10%:水素:アンモニア火力23%:CCUS火力:20%」の⑤を追求すべきではないのかなとじーじは思います。

燃料電池車の普及も含め、日本が生きる道は「水素」活用で世界に先行すること以外にないように思います。あとは、政治が決めるか、決めないかです。

お時間がありましたら是非橘川先生のレポート全文を読んでみてください。更に理解が深まると思います。

小難しい話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

▼月曜日に「おめでとうございます」通知をいただきました。沢山のスキをありがとうございます。

【note川柳】#22:お題は「新入社員」(106~110)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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▼じーじも橘川先生のようにずっと「水素」こそが日本の生きる道だと思ってきました。

▼Z世代応援団のじーじをよろしくお願いします。


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