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【じーじ感激!】  後編:命拾い

1995年父は膵臓がんで他界しました。そしてまさか自分も膵臓がんに侵されているとは思っていませんでした。十二指腸潰瘍で入退院を繰り返していましたが、主治医に紹介状を書いてもらい、虎の門病院を訪ねました。

前編はこちら

✅絶対に悪いものが隠れている

虎の門病院で最初に診てくれたのは消化器内科のN先生。

「前の病院での検査結果を見せてもらいましたが、これは絶対に悪いものがどこかに隠れていると思います。入院して検査できませんか?」

今の私なら「はい、直ぐ入院します。」と言いますが、当時はまだまだ会社人間でしたので、「もう3度も入退院を繰り返していて、上司にも部下にも迷惑をかけていますから通院検査でお願いします。」と言って仕事をつづけてしまいました。

それからひと月、上から下からカメラを入れて、※PETという1ミリのガンでも見つけてしまう画像診断もしてもらいました。

※PET(ペット):positron emission tomography (陽電子放出断層撮影) この検査機器は、がんがブドウ糖を好んで食べる性質に目をつけて、放射性のブドウ糖を点滴して、画像診断でがんのいるところを見つける機械です。

いろいろな検査を続けて、前の退院からひと月経ったある日、また例の症状が再発し、2014年9月3日、今度は虎の門病院に入院することになっちゃいました。

2014年4月から半年の間に4度目の入院。


✅「手術の予約を入れましたよ」

「PET検査の結果で十二指腸の裏に反応が出ているのですが、確定診断できる明確なものではありませんでした。だけど、摂食障害も出ていますし、手術をしましょう。」とN先生。

「私が患者だったらこの先生に手術をしてもらいたいと思っているH先生の手術予定に偶然9月17日に空きがあったので、私の判断で手術を予約しました。人気の先生なので、これを逃す手はないですよ。」

「十二指腸※GISTの疑いという診断結果しか出せませんでしたが、手術しましょう。」とN先生に言ってもらい、「お願いします。」と手術の決断をしました。

※粘膜にできるのが癌で、粘膜の下に腫瘤上にできるのがGIST(ジスト)です。Gastrointestinal Stromal Tumorの略で、GIST(消化管間質腫瘍)は、消化管の壁にできる悪性腫瘍の一種(肉腫)だそうです。


✅膵頭十二指腸切除手術

十二指腸を切除する手術は、膵頭十二指腸切除手術と呼ばれる、膵臓の一部と十二指腸、胆のうを切除する難易度の高い大手術でした。

臓器の切除に4時間、小腸を十二指腸の代りに胃の幽門部に縫い付ける等の臓器再建に4時間、標準手術時間は8時間の大手術との説明でした。

実際の手術は、妻の話では「8時間もは掛からなかった。6時間ちょっとくらいだったんじゃないかな?」という手際の良さだったようです。

「先生からこれがGISTですよときれいな透明(白っぽい?)のビー玉のようなものを見せてもらった。」と妻は言っていました。

こうやって、2014年9月17日、さしずめドクターXの腕をもっH先生にGISTを取ってもらった、めでたし、めでたしのハズでした。


✅膵頭がん?

退院間近のある日、手術後に組織検査に出していた結果が出たとのことでH先生に妻と一緒に呼ばれました。

対面する机の上には、検査結果の書類が見えていて、「膵頭がん」と書いてあるのです。

 (私) 先生、私、膵臓がんだったんですか?

(H先生)そうなんだよ。リンパへの浸潤も認められるから膵頭がんステージ3Bだ。

(H先生)膵臓がんって言うのは、なかなか見つかりにくいがんで、確定診断に至った時には、もう切れないケースが6割。手術ができる4割の内、5年生存できるのが2割。だから5年生存率8%という質(たち)の悪い病気だね。

 (私) 先生、だけど、私のはともかくもう切っちゃったんですよね。

(H先生)そうなんだよ。切ってしまった後に膵頭がんが判明するなんて、こんなケースは僕も初めてだよ。

※妻は、5年生存率8%と聞いて、しくしく泣いている。

 (私) そう泣くなって、考えようによってはラッキーだぞ😊😊 もう切っちゃったんだから⁉ ねえ、先生?

(H先生)まあ、そういう言い方もあるかな? でも、あなたのがんは※顔つきが悪くないから、確かにラッキーかもしれないよ。
だけど、しっかりと予防的措置として抗がん剤はやっておきましょう。
点滴だと通院が大変だけど、TS-1という錠剤なら会社勤めに支障はでないでしょう。日本の製薬会社が作った薬だからなのか、あまり使われていないけど、これはいい薬だと思うよ。どうしますか?

 (私) TS-1でお願いします。

※「顔つきの悪い癌」:悪性度が高く、早期に転移や再発が起こる可能性がある癌をお医者さんは、「顔つきの悪い癌」と表現するようです。

今年の9月17日で手術後丸7年。5年生存率8%の病気をラッキーにも克服して、こうやって再発・転移もなく生きている。

命拾いは、いろんなラッキーの積み重ねがあったんだろうと思います⁉
十二指腸潰瘍という現象が出なかったら、今頃は、お陀仏さんだったわけですから⁉

最近は、膵臓がんについても早期発見する検査方法が報道されるようになりました。医療の進歩は目覚ましく、早期がんは5年生存率が100%近い成績になってきていますので、がんは「治る」病気になっています!

それにしても、あのスティーブジョブズと同じ病気で、完治してしまった自分自身の幸運に「じーじ感激!」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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