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#13 ひとりの帰り道に考えること


ひとりの帰り道が好き。


イヤフォンをつける。
周りの音をシャットダウンして大好きな音楽に浸り、歌詞に思いを馳せる。
この曲をつくった人は何を思い、何を見てこの言葉を紡いだのだろう。
この人にはどんな世界が見えているのだろう。
こんな素敵な言葉をどうやって思いつくのだろう。


今日の出来事を思い返す。
朝のバスの運転手さんが気分が良さそうだった。
大学に向かう途中で中国人のお友達が声を掛けてくれた。
フリードーナツがもらえて嬉しかった。
先生と共通の趣味があって話が盛り上がった。
英語がスムーズに口から出せる日だった。
お昼に友達からもらったマスカットが美味しかったから今度スーパーで買おう。


バスに乗り、定位置に座る。
友達からのメッセージに返信をする。
離れていても定期的にメッセージをくれる友達を大切にしようと思う。
好きな人からの通知を見たらちょっと嬉しくなる。


推しの新しい情報が出ていないか確認する。
新しい情報はなかったけれどたくさんの人がその人の魅力を共有していて私も嬉しくなる。
嫌な言葉はそっと見なかったことにする。


携帯を閉じて窓の外を眺める。
今日は一日中雨だった。
雨の中でも警備をしているおじさんに心の中でお疲れ様と言う。


そっと目を閉じる。
周りに人がいるとなかなか眠れないので考え事をする。良いアイデアが思いつく。


携帯を開く。
アイデアが消えないうちにどんどんメモをしていく。
自分の心に置いておきたいものは自分用に。
誰かに届けたいと思ったものはnote用に。


周りを少し見てみる。
通路を挟んだ隣に座る優しそうなお兄さんがベビーカーの中ですやすや眠る赤ちゃんを見て微笑んでいた。
ふと目が合うと私にも微笑みかけてくれた。
きっとこの人は心に余裕のある大人なんだと思う。


自分のこれからについて色々考える。
あれこれ考えすぎて頭でっかちになる。
いつも先を先を考えてしまう自分に少しブレーキをかける。
今を大事にしようと思う。


バスを降りたら虹が出ていた。


もちろん友達と他愛のない話をしながら帰るのも好き。


でも大好きな音楽に浸り、頭を整理して、ひとりの時にしか見えない小さな発見がある帰り道も好き。

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