上田家集合

ブランデッドムービー作りました

昨日、SSFF&ASIAの中のプログラムの一つである「Branded Shorts 2019」のイベントがありました。私は「ネスレ ウェルネスアンバサダー」をテーマにしたブランデッドムービー『上田家の食卓』を監督し、昨日は第1話のお披露目の日でした。

『上田家の食卓』は、1本5分程度からなるブランデッドムービーで、全5話で構成されています。昨日、第1話が配信され、8月にかけて計5本が配信されて行きます。

私はいま自分のプロフィールを「映画押し」にしていますが、元々はどっぷりとCMディレクターをやっていました。大学生の頃から広告が大好きで、毎日広告デザイン賞や朝日広告賞を本気で狙う学生でした。大貫卓也さんや佐藤雅彦さんやキンチョールのCMに憧れて広告業界に入りました。

20代の頃は「新しい広告とは何だろう?」とか、「人を振り向かせる広告とは何だろう?」とか、「情報を深く突き刺し長く残すメソッド」とか、そんな事ばかり考え、海外のCMも含めていろいろ分析したりしていましたが、結局そういうのは広告代理店にいないと意味が無い事がわかり、現場監督であるCMディレクターに徹することになったのです。本当にメジャーな大きな仕事をたくさんさせて頂きました。

その後、映画を作るようになって、最近では「平林さんて難解な作品が多いし、広告とか分かりますかね?」と言われるまでになりました。おい。

「ブランデッドムービー」は、そんな経歴の私のためにあるようなジャンルじゃないかと思ってましたが、なかなか声をかけて頂くことはありませんでした。私の近年のプロフィールの「映画押し」、もっと言うと「難解な映画を作る監督押し」という、フリーランスのディレクターとしては致命的な「押し」をしてきてしまった結果なのです。因果応報、自業自得なのです。

普通ならそのままひっそりと姿を消し、分解され、土に帰っていくところなのですが、大変お世話になっている別所哲也さんや野島直人さんに近い、FROGLOUDの諏訪さんに声をかけて頂き、念願のブランデッドムービーを作る事になったのです。

神戸のネスレさんに行った時、すごくハッキリしたオリエンをして頂きました。「冒頭10秒に必ず掴みが必要」とか、「広告のニオイをさせるとすぐに離脱される」とか、まさにSNS時代の作り方でした。

そこから、プロット段階で商品やブランドとの整合性や距離感をかなり細かく詰めて、シナリオから撮影、編集まではかなり自由に作らせて頂きました。いつか家族モノを作りたいとも思っていたので、本当に念願が叶いました。

制作のプロデューサーはDASHの勝俣さんなので、絶対の信頼感と安定感がある中で作れたのも幸運でした。というか、去年の忘年会で勝俣さんと一緒に「ブランデッドムービーの仕事下さいよ〜」と諏訪さんに言ったのが、実現したとも言えるのです。「言霊」ってありますよホントに。いや、これは「営業が功を奏した」ケースですかね。てへ。

さらに凄いことに、私が大好きな役者さんばかりで作ることさえ出来ました。家族構成は、MEGUMIさん、堀部圭亮さん、筒井真理子さん、東加奈子さんを始め、木村皐誠くん、小野花梨さんという若き天才たちに出ていただきました。この名前の並びを見ただけでワクワクします。

その他、各話には、去年作った長編映画の『Shell and Joint』に出て頂いた方々にも、たくさん出演して頂きました。すでに映画を一緒に作っていたり、その後の仕事でもお願いしている方々ばかりなので、ものすごい安心感がありました。「何かと山本真由美さんに声をかけたがる」という事がバレつつありますし、他にも、大沼百合子さん、竹下かおりさん、多田昌史さん、烏森まどさん、大山真絵子さん。そして、私の作品には「必ず」出ている野島直人さん!

そして音楽は安定の渡邊さん。今回もオフラインを見た人々の最初のひと言が「音楽がいいですね!」でした。「音楽も、じゃなくて?」と何度思ったことか。ふう。

実は「ブランデッドムービー」って、昔から言われていた「企業CM」とか「インフォマーシャル」と同じモノなんじゃないかと思っているのですが、「ブランデッドムービー」という言葉を開発した人が一番凄い気がします。「企業CM」ってどちらかというと、古臭くて堅い印象がありますし、「インフォマーシャル」は安っぽい印象があるのですが、「ブランデッドムービー」と言う事で、新しいジャンルのメディアが現れた感じがしますから。

昨日のイベントの中で、ブランデッドショーツの審査員長である犬童一心さんが、「難解なゴダールの映画のエンドクレジットに、アニエスベーのロゴが入っていて、そういう企業のあり方がブランドを作る。」みたいな話をしていて、本当にその通りだと思いました。

これからブランデッドムービーが高度に進化していくと、企業のサービスや商品に紐付いた映像よりも、「企業が何を発信するか?」競争になるのかもなとも思いました。メセナに戻って行くと言うか、メセナの進化系と言いますか。「広告に見える」こと自体がリスクにすらなってくる、と言いますか。

あれ?もしかしてそんな議論、何年も前に終わってますかね?たまに広告の仕事をすると、思うことがたくさんありまして。あれ?私、浦島太郎状態?猿の惑星状態?ハンソロ状態?いやいや、ハンソロが凍結されてたの1年ぐらいだったような気が。

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