私の仕事周りには女性がたくさんいるので、恋愛話に巻き込まれることがしばしばあります。あ、失礼しました。巻き込まれるんじゃなくて、恋愛話に参加させて頂くことがよくあります。

私は、日本一恋愛映画が作れない映画監督と自負していますし、私に恋愛映画を作らせようなどというプロデューサーは、商業映画、自主映画問わず、いないと思っています。

そんな私なのに、割と女性の恋愛話の輪の中に入っていることが多いのです。女性のみなさんが男をどう見ているかの赤裸々な話を聞かされる、いや、聞かせて頂くことがとても多いのです。

そんな話の中で、モテる男の話がよく出てきます。どういう男が良いか、どういう男と付き合いたいか、どういう男にキュンキュンするか、という話です。

そんな会話が始まったら、私は隅っこでスルメをかじりながら１人寂しくビールを飲んでいるんです。なんてことはなく、朝生の田原総一朗さんばりにその場をかき混ぜ、前に進めます。双方の意見が対立したら、争点がどこか整理して、落とし所を探します。たまに私の独断の意見も言わせていただきます。

そんな事をしていて思ったことがあるんです。「モテる男とは何か？」を、私が分かってない事なんです。致命的なんです。これは、私自身が「モテたいのに分かってない」のではなく、同性である「男を見る目」が無いんです。

恋愛話でワイワイなっている時に、「じゃあ、スタッフのあの人とかどうですか？仕事もちゃんとやるし、人当たりもいいし、優しそうだし、彼女もいないみたいですし。」と言った時に、「は〜〜〜〜っ？」と言われることが多いんです。スケバン5人ぐらいに囲まれて「は〜〜〜〜っ？」と言われていると想像してみて下さい。すかさず、モズクとゲソを追加で注文しますよ。

どうやら、私がその男の人を見ているポイントと、女性の皆さんが、その男の人を見ているポイントが、大きくズレているようなんです。

詳しく聞いていくと、「イケメン」だとか「人当たりが良い」とか「仕事ができる」とか、そういう事よりも上の概念として「人間性」というのが浮かび上がって来ました。「え？でもあの人、いつも優しいし、人間性にも問題無いじゃないですか！」というと、「は〜〜〜〜っ？」と言われて、具体的な反論が返ってくるんです。

よくよく聞いてみると、その男の人が追いつめられた時や、ピンチに陥っている時などの、極限の場でどういう態度を取っているかが見られているとわかりました。

普段はいい人なんだけど、修羅場になると人に対して乱暴になるとか、人によって態度がすごく変わるとか、怒鳴るとか。しかも、その女性たち本人がそうされた訳ではなく、その男の人が誰かに酷い態度を取っているのを見てしまったとの事なんです。しかも「チラッと見た」程度でもアウトらしいんです。

「モテ」とはそういう事なのかと、大変勉強させて頂きました。

そして、そんな情報はアッという間に共有されているんです。誰かにモテたいと思って、好きな人の前だけでいい人ぶってもダメだし、常にいい人でいる必要があるっぽいんです。究極的には１人でいる時でさえ。

常に、どこでも、誰に対しても、優しく、紳士で、丁寧で、人望が無いと、モテないっぽいです。「モテ」とは、生き方そのものが問われているんですね。厳しいですね。ツラいですね。

そして、「イケメンとは何か？」について話が及ぶこともよくあります。私もガッツリとその話に参加していますが、私自身に話が及ばないように、慎重な運転を心がけています。高速道路の左側車線を時速85kmで走る感じでしょうか。早すぎても遅すぎても危険です。もちろん追い越しはしません。「イケメンてこうだよね」と私が言った瞬間に、居合の達人に「秒」で真っ二つにされるでしょう。

しかしなんと、イケメンですら「人間性」だそうなんです。「人間性に問題が無い」という前提があった上で「顔がいい」「優しい」「お金がある」「才能がある」「背が高い」なんだそうです。

私は「イケメン」とは、「顔がいい」「背が高い」「オシャレ」ぐらいだろうと考えていたので、私は私のイケメンリテラシーの無さを恥じました。女性の時代の大波が来ているので、女性に対しては敏感に感じ取ろうとしていましたが、男性に関しては無頓着でしたね。普段、私がイケメンに興味がないというのもあるかも知れませんが。

順番が逆になっちゃいましたが、私の周りにいる女性は、自立した女性が多いです。自立しているというのは、仕事上の立場として、大きな責任を任されているという意味の自立です。その人の判断で仕事が動かせる立場にいる女性です。

そういう方々の話を聞いているので、「人間性」が最上位概念に来るのかも知れません。いろんな経験をして、いろんな人間を見て来た上での考えだと思いますから。

あ。

やっとが気づきました。いま気が付きました。「モテる」とか「イケメン」の話をしている時に、みんな私に気を使って頂いていたんですね。私の前で真実を言わない方がいいという優しさなんですね。「顔が良い」「背が高い」「若い」みたいな事を言わない優しさですよね。

あ〜、そ〜だ、そ〜だ。そうに違いない。絶対そうだ。

すみませんね。2000字ぐらい分かった風な事書いちゃいまして。お時間とらせてしまい、大変申し訳ございませんでした。

あ〜、こんなんじゃモテない。

大将！モズクとゲソ、追加でおかわり！あと、なめこおろしも！