見出し画像

甲殻類アレルギー

高校生ぐらいの時に、甲殻類アレルギーが発症しました。

魚を食べていないのに、喉に骨が引っかかった感覚がするようになりました。それを何度か繰り返しているうちに、エビカニを食べた後に起こることが判りました。

かっぱえびせんを食べてもアレルギー反応は起きないのですが、甘エビを食べると特に出るようになりました。鮮度が良いほど激しく出るようにもなりました。

30年前のその頃、私は特にエビカニが好きではなかったので、アレルギーになったとしても、特に気に留めることはありませんでした。

でも社会に出て、美味しいものを食べに連れて行ってもらう事が増え、食べてみたいエビカニ料理を知ることにもなりました。さらに、鮮度を保つ流通システムの発達もあり、生のエビカニを食べることも身近になってきました。

特に、カンジャンケジャンという料理を知ったときには衝撃を受けました。生のカニを漬けて食べるという、なんて美味しそうな料理なんだと思いました。私は基本的に刺身がすごく好きなので、本当に食べたくなりました。でも食べたら死んでしまうんじゃないかとも思いました。

私は以前、過労で倒れて3ヶ月ぐらい休んでいた時期がありました。そして休み明けで初めて仕事に行った日があったんです。階段を数段上がるだけで息が切れました。その日の夜に、仕事の打ち上げがあって、久しぶりにビールを飲みました。そしたらその居酒屋の壁に「カメノテ入荷しました」と、墨文字で書かれた紙が貼ってありました。カメノテの存在は知っていましたが、東京で食べられるとは知らず、嬉しさのあまり注文し、たくさん食べてしまいました。

その日の夜に寝ていると、体中が痒くなってきました。明かりをつけて見てみると太ももの内側に蕁麻疹が出ていました。「何だこれは?」と思っているうちに、体中に蕁麻疹が広がっていきました。顔までも蕁麻疹で覆われ始めました。さらに全身の蕁麻疹が増え続け、蕁麻疹どうしがくっつき始めて地図のようになり、そして体全体が腫れた様な状態になってしまいました。喉も痒くイガイガした感じになってきて、息苦しくもなってきました。

でも、アナフィラキシーショックというのが、まだ一般的に知られてなかった時代で、あまり大げさに考えてなかったので、救急車は呼びませんでした。調べてみると抗ヒスタミン薬が蕁麻疹に効くみたいに書いてあったので、抗ヒスタミン薬が入ってる風邪薬なのか鼻炎薬なのかを適当に飲んだら、少しずつおさまりました。

今だったらすぐに救急車を呼んだと思います。無知は怖いですね。適当に薬を飲んじゃってるところも、今となっては本当に怖いです。

無知と言えば、カメノテが甲殻類だということも、その時知らなかったんです。ホヤみたいなモノの仲間ぐらいにしか思ってませんでした。鮮度の良いカメノテを大量に食べてしまったんですね。バカですね。過労明けで体もかなり弱っていたのに。

その「カメノテ事件」の後は、特に甲殻類には注意するようになりました。

でも、楽天でいろんなモノを注文するようになってから、生のエビカニの情報がたくさん入ってくるんです。昔は聞いたことも無かった「カニしゃぶ」なんて、絶対に美味しいに決まってます。カニしゃぶどころか、カニの刺身だって今は食べられます。あの半透明のカニの刺身を一度食べてみたいのです。

興味があるのは上海蟹。上海蟹の断面写真を見るたびに食べたくなります。あのオレンジ色がたまらないです。上海蟹を食べるためだけに中国に行ってみたいです。そして上海蟹だけを腹いっぱい食べるんです。妄想ですが。

妄想で言うと、私の夢はイセエビの下半身をブリっと剥いて、醤油をつけながら食べることです。イセエビの身を切らずに、塊のまま持って食べるんです。絶対美味いに違いありません。イセエビよりも更にやってみたいのが、セミエビというエビの下半身をブリっと剥いて食べることです。イセエビと同様に切らずにです。妄想ですが。

あとは、生サクラエビ丼も食べてみたいです。絶対に美味しいに決まってます。生サクラエビと生シラスのハーフ&ハーフにしても美味しいと思います。妄想ですが。

寿司屋に行った時に出てくる、活クルマエビの握りも本当に美味しそうだなと思います。そんな時、私だけ他のネタに変えてもらいますが、食べてるみなさんは本当に美味しそうな顔をして食べています。絶対に美味しいに決まってます。悔しいです。

食べたいのに食べられないのは本当につらいです。戸田のタカアシガニも、香港の巨大シャコも、焼津のオオグソクムシも食べられないんです。

そして、食べられない事ですごく気になることがあるんです。地球上の人口増加によって食糧不足の時代に入っていくと、昆虫が本格的に食卓に上ってくる様な記事を目にするようになってきました。昆虫も甲殻類なので、私は食べられないんじゃないかと思います。食べるものが無くなっちゃうよと思います。大げさですが。

こんなにも甲殻類が食べられないのですが、去年作った映画『Shell and Joint』は甲殻類をモチーフにした映画なんです。「食べる甲殻類」には絶望してますが、「観察する甲殻類」「飼育する甲殻類」は本当に好きなんです。当面はそっちの甲殻類と付き合っていこうと思います。何かの拍子にアレルギーが無くならないかな、と期待しつつ。


サポートして頂けたら、更新頻度が上がる気がしておりますが、読んで頂けるだけで嬉しいです!