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Outside United #3 三度目の正直!ユナイテッド買収の状況

ユナイテッドの買収の話どうなってるの??

2022 年 11 月にユナイテッドの戦略的見直しが発表されて早 5 ヶ月経ちました。
発表当時は W 杯開催中であるにも関わらず、クラブのことで頭がいっぱいになっていたことを覚えています。
同時にクリスティアーノによるクラブ dis インタビューもあり尚更です。
僕はこの件に関しては note と podcast で残しており、改めて振り返ってみると意外と冷静に次に起こることなんかを想像して楽しんでたのがわかりました。

さて、5 ヶ月くらい経った 4 月 28 日にユナイテッド買収に向けた 3 度目の入札が締め切られました。
依然としてカタールのシェイク・ジャシム氏とイギリスのジム・ラトクリフ氏が立候補者として名を連ねています。
そろそろシーズンも終わるのに買収の手続きがうまく行っているのか不安になり色々調べてみたので、ユナイテッドサポーターとして抑えておきたいことを記していきたいと思います。

1. ジャシム氏とラトクリフ氏の買収に対するスタンス

当たり前の話ですが、企業の買収といった際に 0 か 1 かの単純な話ではなく、株を何%保有するかという点を考慮しなければならなりません。
現在、グレイザー家が 69 %、小規模投資家が 39 % 株を保有していることを前提にジャシム氏とラトクリフ氏の買収には違いがあります。

ジャシム氏は全部買収で考えている

ジャシム氏は 100 % の株を買い取ることを目指しています。
更に借金なしでの買収に加え、ユナイテッドが現在抱えている借金の返済とスタジアムや練習場への投資を明言しています。
サポーターとしては心強い声明ですね。
不安視されているのがカタールの人権問題によるクラブのブランドに対する影響です。

ラトクリフ氏は過半数の保有を目指している

対してラトクリフ氏は最新の入札では 50% 以上の株を買い取ることを目指しています。
その場合グレイザー兄弟のジョエル氏とアブラム氏が 20 % の株を保有し続けることとなります。(残りの 30% は小規模投資家保有のまま)

更にジャシム氏との違いとして借金を伴う買収の可能性を否定できていない点が述べられています。
The Athletic の調査によるとこの可能性は低いようですが、グレイザーがユナイテッドを買収した際に講じたレバレッジドバイアウト(借金してユナイテッドを買収したあとにその借金をユナイテッドに背負わせる手法)をする可能性がゼロではありません。

2. グレイザーズが残る選択肢があること

グレイザー兄弟のうちのジョエル氏とアブラム氏が経営的な議決権を有したまま残る可能性も捨てきれていません。

株におけるクラス A とクラス B という概念

米国の株式にはクラス A と B という概念があり、A が一般的に市場で売り買いできるもの、B が非売品で創業者などが保有できる株となっています。
グレイザー兄弟はもちろんこのクラス B の株を保有しています。
このクラス B 株はクラス A と比べ倍以上の数があるのに加え、 A の 10 倍も議決権があります。
※ クラス A や B の定義は企業によって異なるのであくまでユナイテッドの場合は上記のような効果があります。

グレイザー兄弟間でのスタンスの違い

現在、グレイザー兄弟の 6 人でクラス A, B を含めた株を分配して保有している状態ですが、ジョエル氏とアブラム氏以外の 4 人は株を現金化することを望んでいます。
ただ買収の際の特別条項に「クラス B は家族以外保有できない」というものがあり、仮に 4 人が株を手放したとしても残る 2 人に保有権が譲渡されます。
そうなった場合、ジョエル氏とアブラム氏が議決権といった点でいうと有利なことは変わらずでほぼ今までの経営が続くこととなります。

今の所ジョエル氏とアブラム氏がどういうスタンスなのか定かではないですが、評価額を吊り上げてまだ入札を行っているという点から高値であれば売却したいというスタンスのように思われます。

2 人がユナイテッドに固執する理由

グレイザー兄弟で株を現金化したい 4 人とは別にジョエル氏とアブラム氏はユナイテッドに残るかもしれません。
その理由はユナイテッドのポテンシャルにまだまだ可能性を感じているかららしいです。

専門家いわく、ユナイテッドは収益化できていないファンからの年間収益を 1 億ポンドも逃しているとされてて、それらのファンにリーチすることができれば企業としての価値を上げることは可能かもしれません。

このことから推測するに、もし本当に 2 人がユナイテッドに残りたいと思っているのであれば、ラトクリフ氏のオファーは 20 % グレイザーが保有するという内容になっており、一部の株を現金化することにより利益も出るのでよい折衷案になっているように思われます。
もしかすると、ラトクリフ氏はジョエル氏とアブラム氏が残りたいという意思を汲み取って入札をしたのかもしれません。

3. 現地ファンの意外な意見

最後に現地ファンの考えを紹介します。
海外のユナイテッドファンは無借金で買い取ってくれて積極的に投資もしてくれるジャシム氏を推すことは間違えないでしょう。
現地では少し違ってやはりイギリスやフットボールの文化を重んじてくれそうな地元の富豪であるラトクリフ氏を推す人が多そうなイメージがあります。
が、意外とそうとは限らず、現地ユナイテッドサポーターの方でもカタール資本であるジャシム氏を推している人は結構いるようです。

シティの成功に対する羨ましさ

近年のシティがサッカーにおいて成功を収めていることは言うまでもありませんが、マンチェスターという街への貢献もあるみたいです。
シティがアラブの投資家に買収されてからスタジアムがあるマンチェスター東部の再開発に大きな役割を果たしきたそうで、人権問題などが議論される中でも地元の政治家やビジネスリーダーたちは彼らに好印象を持っているみたいです。
対して西側にあるオールド・トラフォード周辺は畑が広がり中心部とは違い開発が進んでいません。

またスタジアム投資の面でもエティハド・スタジアムは国際大会のスタジアムになるまで整備されています。
一方オールド・トラフォードは世界でも有数のスタジアムであることは変わりないのですが老朽化が進み雨の日は水が漏れているそうで、シティを羨む声があります。

マンチェスター市民は外国資本への抵抗がない

またマンチェスターという街が海外資本によって開発された土地らしく、カタールの人権問題などは他の地域ほど敏感ではないらしく、寛容に受け入れることができるようです。

このように街の開発やスタジアムなどの設備投資において 10 年でシティとの差がついてしまったことや外国資本への抵抗がないことを踏まえると、現地のファンがジャシム氏を推すのもわかる気がします。

株式全部を買収を希望している

上述の通りラトクリフ氏の 3 度目のオファーは 50% を彼が有し、一部をグレイザーが保有するという入札になっています。
グレイザーを嫌っているサポーターからすると、排除したいという考えが働いてしまうため、保有し続けることには断固反対なはずです。
これらの理由から現地サポーターの怒りを買ってしまったラトクリフ氏に反対してジャシム氏を推す人が多くなってきつつあります。

まとめ

以上が僕が思う、今抑えるべきユナイテッドの買収状況です。
最終的にはグレイザー(ジョエル氏とアブラム氏)が決めることなので 2 人の真意が早く知りたいところです。
現状、彼ら 2 人には 3 つの選択肢があると思われ、その選択肢を取った結果以下のようになると思われます。

  • 株を売却せず残る場合

    • ジャシム氏とラトクリフ氏のオファーは取り下げ

    • 他 4 人の兄弟分の株も手に入れてほぼこれまで通り

    • サポーター的にはこれは避けたい

  • 利益を得てクラブに残る場合

    • ラトクリフ氏のオファーを飲むと思われる

    • ある程度議決権を有したままクラブに残れる

    • これもサポーター的には避けたい

  • 全部現金化

    • ジャシム氏のオファーを飲む

    • グレイザー的には儲けができて万々歳

    • サポーター大喜び

個人的にはサポーター目線なので 3 番目が嬉しいです。
ジャシム氏のオファーには彼自身サポーターだということもありますが、スタジアム再開発などサポーターが叶えてほしいことが汲み取られた内容となっています。
反対にラトクリフ氏の 3 度目のオファーはグレイザー目線のものとなっておりサポーターの反感を買うのがわかります。
もっと自分がオーナーになった際のビジョンを言ってみたはどうでしょうか?

あと最初にも書きましたがシーズンオフもそろそろなので新しい体制で移籍市場やシーズン開始を迎えたい気持ちがあります。
グレイザー家には早めの決断をお願いしつつ、彼らにもクラブにもベストな選択肢を選んでほしいです。

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