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拝啓 井口眞緒さま

井口眞緒さん。
お元気ですか。
活動自粛が延長になって、少し不安です。
色々思い返していたら、私がけやき坂と日向坂を好きになったきっかけはあなただったような気がして、届くことはないけれど、その時の想いを書き留めることにしました。

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井口さんのことを初めてちゃんと認識したのは、2017年のひらがな全国ツアーでした。

もちろん、それまでに「欅って書けない」などでなんとなくキャラは把握していたのですが、「ぶっ飛んだ人」くらいのイメージで。私は元々サイレントマジョリティーに衝撃を受けて初めてアイドルに興味を持ったタイプで、当時は欅坂46のファンでしたし、ツアーの頃は正直「けやき坂46」には関心が薄かったんですよね。だからチケットも、本当にたまたま申し込んだら取れちゃったくらいで、多分、名前と顔もそんなに一致してなかった。

でも、蓋を開けて見て驚きました。ひらがなメンバーの必死さ、一生懸命さ、チームワークの良さに、一夜のうちに心を奪われました。
その中でも自分が「けやき坂46」のファンになる大きなきっかけになったのが、あの井口セゾンだったんじゃないかと、今は思っています。

私はどちらかと言えばわりと事なかれ主義で、欅坂のファンでありながら心のどこかで「自分は彼女達が表現する主人公のようにはなれないなぁ」と薄々気付いていました。人生の大半は上手くいかないことも、もうずっと前から分かっていたし、それに納得もしてしまっていて。自分が不協和音になるの、めちゃくちゃ怖いし。意志を貫くのって凄いキツいし。それを今更ひっくり返すような気力も残ってなかった。私は、「黒い羊」に憧れる「白い羊」でした。

そして、そんな平凡な自分にがっかりして。
まあ、人生そんなものだよね、って諦めて。

でも、ライブで井口さんの二人セゾンソロダンスが始まった時、びっくりしました、色んな意味で。え?なんだこのダンス……って最初思ったけど、笑うことはできませんでした。あまりの必死さに。
だって、私も生きるの下手くそだから。上手くいかないことのほうが多くて、才能もなくて、それでも何とか自分なりに、必死に生きてる。

同じだ、彼女と。

井口さんのダンスは確かに下手くそだったけど、そんなことどうでも良いと思えるくらい、私にはとても美しく、輝いて見えました。

その日初めて、私は井口眞緒という人の本質に触れたような気がしました。そして、その凄さにも。

その後、武道館3daysでの井口セゾンでは、もうボロ泣きしてました。
井口さんに歓声が送られると、なぜか自分の生き方も肯定されたような気がして。
才能がなくたって、普通だって、どこかで輝けるんだ、と。努力が才能に勝ることがあるんだと。

それから今日までの間、失敗しながらも井口さんが頑張っているのを見ると自分も頑張ろうって思えたし、彼女が完璧じゃないからこそ、自分が無理している時に救われる気分になったりもしました。

そして、そんな不器用な井口さんを自然に受け入れられる他メンバーのことも大好きになりました。(個人的に、けやき坂、今の日向坂のメンバーはどこか井口さんと似ているところがあって、彼女達もまた優しすぎるほどに優しくて、生きるのに少し不器用な気がします)

今、そんな彼女達が日向坂46となって大きく羽ばたいている姿を見ているのが嬉しいし楽しいです。

でも、今そこに井口さんがいません。
確かにアイドルとしてのルールを破ったことはいけないことです。意識も低かったと思うし、他のメンバーやスタッフに迷惑をかけ、ファンを悲しませたことの責任は重いです。

ただ、その責任から逃げずに、必死に喰らいつく井口さんの姿をまた見たいんです。また私に元気と希望を分けてほしいんです。
一番してはいけないことを、一番してはいけないない人がしてしまったけれど、井口さんのこれまで全てを否定したくない。

批判と好奇の目に晒されるのを覚悟して戻ってくるのには勇気がいると思うし、恥ずかしいかもしれないけど。

泥臭く足掻いて喰らいつくその姿は、それでもきっと美しく、輝きを放ち、また誰かの心に響くはずです。

あの日のセゾンのように。

井口眞緒さん、あなたの帰りを待っています。


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