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密室トーク Vol.6

地理人(今和泉)からは、コミュニティハブの一環で、毎月密室トークイベントをお届けしています。
題して「好きで始めたこと、仕事にする?」

・話し手(聞き手)
かつしかけいた(イラストレーター)
松澤茂信(合同会社別視点・マニアなツアー代表)
今和泉隆行(空想地図作家)

・日時
12月20日(水)19:30〜21:30

かつしかさんは現在イラストレーターとして活動されていますが、昨年は漫画「東東京区区」も刊行され、漫画家としての活動も広がっています。密室トークでは、かつしかさんの生涯をお伺いしましたが、ここではその一部をまとめてレポートします。

小学生の頃から絵を描くのは好きで、ゼロから創造するよりはあるものを組み合わせていくのが得意だったと言います。高校は神保町が近かったこともあり、三省堂書店の他、洋書店や海外漫画が置いてある書店で海外コミックを立ち読みしたり買って帰ったり、と、ここで海外文化と漫画の接点が強まります。大学で美術系は一切考えず、文系の学部に進み大学院まで進学します。この頃からうっすら漫画を描きたいと思うようになりますが、まだこの時点では明確に描きたいテーマは決まっていません。

ひたすら図書館が楽しく、図書館に入り浸っていた大学院生活を過ごしますが、卒業後は図書館で働くこととなります。徐々にイラストを描いては発信していて、少しずつイラストの仕事が入るようになります。漫画誌のコラムのイラスト、本の表紙のイラスト・装幀、こういった仕事を機に企業からの仕事が来るようになって、イラストレーターとしての仕事が軌道に乗ってきたようです。もともと同人誌でひとコマ漫画を描いていたところから始まり、同人誌を一緒にやっていた人の紹介で商業漫画誌につながったようですが、この同人誌が、商業出版並の部数を刷っており、著者の半分くらいはプロが入っていた、という、同人誌の中ではかなり珍しいものでした。

忙しさと収入額は一致するようでしないとのことで、これは地理人も同様です。(地理人の場合、年収がかなり低い年もありましたが、その年が暇だったかというとそうでもありません)
昨年刊行の「東東京区区」はさまざまなランキングに入る他、イベントやインタビュー等、新しい展開も感じているそうです。連載を書くとなると、ひと月はリサーチ費やし、ひと月作業に充てるとのことですが、リサーチは場所を決めて、歩いて、図書館に行って調べてストーリーを考える、とのことです。

自主制作のZINEも出されていますが、他に誰もやっていない葛飾区の話を出すことで、固有性、独自性を自分の色として出せたことが大きかった、と話します。30歳までは同い年で活躍する人に対して、すごい、悔しい…と嫉妬まじりの感情もあったようですが、30歳を越えてからは「自分にはこういうのしか書けないしな」と、他者を意識せず自分本位になれたので、気は楽になったようです。本が出たことは、これで良かったのだという安堵、安心感になった、とのことです。

イラスト、多文化、本、という、現在のかつしかさんを形作る要素は学生時代までの各所で出てきます。卒業後、就職した際にはどちらかというと裏方的な役割から、徐々に表現者として個人で仕事をするようになります。「好きなこと」寄りの職業から、徐々に表現者(業)となることで「好きなこと」をアウトプットしています。地理人と近い例ですが、よりわかりやすく、表現を仕事にしたい場合は参考になるのではないでしょうか。

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