ダマテン警戒の技術

勉強会資料第2弾です。

「ダマテンの察知の仕方」というリクエストをいただいているので、今回はそちらをテーマに書いていきたいと思います。

ダマテンを察知するためにはまず「どういうときにダマテンにするのか」というダマテン基準(=リーチ判断)について学ばなければいけません。

まだ初心者の方はぜひこちらの動画を見ていただきたいのですが、現代麻雀において「リーチ」は最強の手役と言っても過言ではありません。先制でテンパイしたらほとんどのケースでリーチをするのが正しいとされています。

したがって「基本的に相手がメンゼンでテンパイしているならリーチをしてくるだろう」という前提で押し引きを決めるのが効率的。中級者まで(具体的にどのくらいのレベルまで、というのは難しいですが)はそれだけでも良いくらいですが、余裕がある人はこれから書く点を注意してみると良いと思います。

まず(1)はリーチをためらうほどの愚形低打点や、手替りを待ちたい場合などです。

こんな形ならダマにする人も多そうですね。くっつきを期待できる中張牌を持ってきたらテンパイを外すことも視野に入ります。

ではダマテンケアの観点からどう対応するか、と考えるわけですが、まずこういったケースは警戒する必要がありません。だって愚形で低打点ですからね。

リーチするのをためらう程度の手を警戒してたら麻雀できませんよ。では手替り待ちはどうでしょうか。

良形・高打点への変化が豊富なのでダマにしそうです。これも気にする必要はないですね。

大前提として「読むことが不可能」です。

つぎに(2)の高打点のパターン。麻雀というのはダマで5200点から「ダマテンにするという選択肢」が生まれ、ハネマン以上で「ダマテンにするのがセオリー」と言えるようになります。満貫は中間なのでケースバイケースですね。したがって

こんなダマでハネマンの手牌はダマテンにします。

で、対戦相手が早い巡目にこんなダマテンを入れているとしても、やはり読むことは不可能です。したがって普通に自分の手を進めるしかありません。5巡目からオリてたらどうせ安牌続きませんしね。

なんだ、無視するとか読めないとかばっかりじゃねーか!って感じですかね。そうなんですよ。基本的にダマテンって対応するのが損なというか「放銃したら交通事故に巻き込まれたと思うしかない」みたいなケースがたくさんあります。

けれど中にはある程度対応できるものもいくつかあります。それが次の(3)最終盤ですね。

先ほど5巡目からオリてたらどうせ安牌が続かない、と書きましたが、それが15巡目なら話は別です。

押し引きの基本というのは「自分の手牌がよければ押す、悪ければオリる」です。15巡目という巡目にテンパイしていない時点で自分の手牌は「悪い」に分類されますから、相手がテンパイしているかどうかわからなくても警戒すべきと言えます。

例題としてはこんな状況ですね。

自分の手牌は当然7m切りがテンパイにもっとも近い形ですが、もう終盤で誰がテンパイしているかわかりません。もちろんテンパイはとりたいので終盤は常にベタオリする、というわけではなく結構さじ加減次第という話になってくるのですが、最低限おさえておきたいのは「テンパイしている可能性がある相手二人以上に危険な牌は押さない」ということです。

今回場をみるとマンズの真ん中が全く切られていません。例えば6mが3枚見えていれば、7mをリャンメンで待っている可能性があるのは一人だけ、ということになりますが、今回は全員にその可能性があります。

その周辺が全く切られていない牌(場に高い色の牌)を、終盤(12巡目以降)にノーテンから押すのはリスクが大きい、ということを意識しましょう。

図の状況ならば、7pがほぼ通る牌なのでひとまず7p切りで、テンパイしたときに改めて7mを切るかどうか考える、となりそうです。

「テンパイしているかわからないけど自分の手が(巡目も加味すると)価値が低いからオリ気味にいく」というのがこの終盤のダマテンケアのロジックですが、それに対して「明確に相手がダマテンしている可能性が高いと読めるから対応する」というのが(4)リーチ者の現物待ちです。

最近リーチ者の現物であっても、打点の関係で追いかけリーチを打つという打ち手・手牌もある程度ありますが、それでも先制リーチの場合と比べればダマにするケースが増えることは間違いありません。

例えばこの立体図、対面からリーチが入っています。自分の手はまだバラバラですが、1p1sあたりの不要牌を処理していけば、運良く終盤間際にテンパイをいれての連荘が狙えそうな感じもします。

ただ注目したいのは上家の打牌です。リーチ後の「西」「8s」は現物ですが、そのあとの「6s」「2p」は無筋です。当たる組み合わせの多い456牌と、ドラまたぎの牌なので「安牌に窮してしぶしぶ」というわけでもないでしょう。

ここで、押し引きの知識がまだ少ないという方は、ぜひ私のnoteの「押し引き講座」をご覧いただきたいのですが、基本的に相手のリーチに対して無筋をバンバン切っていけるのは自分が「テンパイ」か「良い1シャンテン」のときです。

そう考えると上家は「テンパイ」か「良い1シャンテン」のどちらか。自分の手牌はまだバラバラですから、安易に1sや6mを切って放銃するのは避けなければなりません。ここ今通った2pか、組み合わせ上国士以外に当たらない1pを切るのが良いでしょう。

ただこの「ゲンバリ(現物まちテンパイ)警戒」ですが、上家が上記の押し引きの基本に沿って打っていなければ多少基準が変わってきます。具体的には「どんなリーチに全然降りない人」なんかだと、毎回毎回その人も警戒することでこちらの流局時テンパイ率が下がるのは損になります。

天鳳など不特定多数と打つフィールドなら仕方ありませんが、自分がよく行く(もしくは働いている)フリー雀荘などであれば、ある程度よく打つ相手の押し引き基準は把握しておきたいところです。

特にチェックしておきたいのは「無筋を切ったあとに手出しで安牌がでてくる」ケースです。

いやいや安牌から切れよ!!!と突っ込みたくなるのですが、巷では「他の誰かが攻めてきたときに困らないように」とか言ってまず危険牌から切って追いかけリーチの宣言牌を安全牌にしたりする人が一定数います。

一度でもそういうシーンを見かけたらその人は間違いなく「押し引きの基準が押し側に傾きまくってる人」なので、今回のような警戒はゆるめても良い(ただし押しているのは間違いないので、共通安牌が豊富にあるようなら警戒する、リーチ後に手出しが2回以上入ったら警戒する、など対策は必要)でしょう。

最後は(5)オーラス役ありのアガリトップですが、これもほぼ警戒する必要はありませんね。「ダマにすることが増える」だけで(4)のようにテンパイの濃度は測れません。それよりは自分の手牌と条件に沿って打つべきですが、自分が放銃さえしなければ良い立場の場合はいつもより少し早めにオリる、くらいの意識はしておいた方が良いでしょう。

というわけでよくある「ダマテン」のシチュエーションをざっと見てきましたが、警戒すべきであるとはっきり言えるのは「終盤」と「リーチ者に対して押している人がいるとき」のみです。それ以外は正直読みようがありません。

ただ逆に言えば「終盤」と「リーチ者に対して押している人がいるとき」にノーテンから(安牌があるにもかかわらず)安易な放銃をしてしまうのは明確なミスで、これを「ダマテンなら仕方ないよな」と言ってしまっているとなかなか成績は向上しません。

最後に1つ「挙動読み」についても少し触れておきましょう。

昔の格言?のようなもので「テンパイタバコ」って言葉がありますよね。テンパイすると考えることが減るからタバコに火をつける、っていうやつです。そこまで露骨な癖がある人は少ないでしょうが、テンパイすると考えることが減る、というのは事実です。

例えば仕掛けていて、テンパイしているかどうかわからない、という人はテンパイしているときとそうでないときでツモ切りの速度が違うことはよくあります。

よく中盤以降安全牌の手出しが入ったらテンパイだ、と読む人がいる(実際その傾向はあります)んですが、その安全牌っぽい牌を迷って手出しした場合は「ぶくぶくの1シャンテンにかまえるかどうか」とか「持ってきた牌とどっちが安全だろうか」といったことを考えていた可能性が高くなります。

逆にその人の河に高い色の中張牌=その人が持っていそうなエリアの牌をノータイムでツモ切っている場合は、かなり形が決まっている手牌であると推定できるので、他の要素と組み合わせて「テンパイかも」と読むことはあります。

これはネット麻雀なんかでも使えますし、挙動読みの中ではかなり普遍性があって使いやすい読みだと思います。



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