「妖怪退治の仕事してるけど、なんか質問ある?」まとめに感動した話③

少し前に雑談のなかで、孫のいる知り合いが「東京生まれの孫を、自分が生まれ育った田舎に連れて行ったとき、やっぱり自然の空気は気持ちいいなあという反応を期待していたのに、土の匂いがくさいと言われてしまった」と言っていて衝撃を受けるとともに、然もありなんと納得してしまうところもありました。おれ自身石川県の山の中の育ち。小さな頃に土と森の匂いに囲まれて育ったのでなければ、もしかしたら今あの匂いはむしろ異質なものに感じてしまうのかもしれない、とすんなり想像ができたのは、もしかするとその雑談の直前にこの「妖怪退治〜」まとめを読んでいたからかもしれません。

「妖怪退治〜」まとめ全体の中でも個人的に1,2を争うくらい好きな章が、これから読んでいく最初の長編部分となる、祖父の小さい頃の話と、その因果から繋がる>>1自身がその祖父の暮らしていた街に遊びに行って見舞われた悲惨な思い出の話になるのですが、この章に通底している「汚くて不吉な土と埃のにおい」の鮮烈な印象に、愛おしさと不気味さのあいまった感覚を持って読みました。

特に夜ならなおさら。いま23区内暮らしの身で、夜中に近所を散歩するにも暗闇が怖いと思うことはない、というか怖がることができるような暗闇が身近にありません。すっかり明るい夜に慣れてしまっている。何年か前に金沢に遊びに帰った時、住んでいた家のあたりが20時台でも真っ暗で、街灯のすぐそばでないと暗闇のほうが勢力が強いと感じたのを思い出します。

http://world-fusigi.net/archives/6972808.html?p=2

特に書き添えることもありませんが、生姜水塩たっぷりをすぐに作って飲もうとする2ちゃんねらー達の空気感にほっこりする。

助けた猫が恩義を感じて、いじわるなおっさんを使って>>1のじいちゃんを危機から遠ざけようとするも虚しく、じいちゃんはイタチの入道とそいつを囲んでいたイタチの群れを焼き殺してしまう。猫を祀ってなんとか三代凌いできた怨みによって>>1の妹が呪い殺される場面は本当につらい。そしてそのイタチに憑かれたまま妖怪退治の仕事をする人生を選ばざるを得ないという>>1の主人公感。アツすぎる。

ばあちゃんから聞いた話として祖父の小さい頃の話を書いているにしては詳細にすぎる描写に違和感を感じるのはまあ、ご愛嬌。

④につづく

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