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熱、シャンプー

涼しくなった先週末に窓を全開で寝たら喉をやってしまい、週明けに高熱が出てあわや大惨事かとビビりました。病院で検査してもウィルスは出ず。その時点では検査の信憑性は7〜8割止まりと強調されつつ、全力の小銭稼ぎかと疑いたくなるほどあらゆる可能性への対応をするお医者さんが出してくれた抗生物質をとりあえず飲む。おれは自分が人の親になってからの人生と世にいうコロナ禍というものがほぼ重なっているので、おれが熱を出す=家族全員の生活の全てがとてもやべえ、という思考回路が自然なものになっている。体調よりも気分が暗くなる。同時代に子育てをしているすべての親にひとときの安らぎのあらんことを。リアルタイムで子育てをしている人同士はひとんちの子育てについてのことや、子育て論、親としての在り方論みたいな偉そうなことをまず口にしないよねそういえば、と思う。当然おれが幸運にも出くわさないだけなのだろうけれど、反対に子供がいない人やずっと上の世代の人間からは色々と偉そうなことを言われた経験はあるので、やっぱりそういうことなんだと思うよ。

さてそんなおれよりも気分が暗くなったであろう奥さんが八面六臂、一晩全てを任せておれは近所のホテルに一泊。夕方には熱も下がっていたし、自覚する体調もだいぶよかった身としては悪いことをしている気分が強すぎたが、都会のビジネスホテルに1人で一泊なんて言わずもがな最の高である。

翌日もホテルからそのまま病院へ行き、初日にやった血液検査の結果から細菌性で間違いないだろうということになり、結果抗生物質飲んでてよかったね&コロナインフルの可能性は極薄に。培養の結果が出る一週間後にまた来いと言われゴネたくなったがまあ、流れが生まれているなら一連を途中で投げ出すのは若い頃に数え切れないほどやった失敗の種、病院に行くのは億劫だが医者という人たちと喋るのは基本的に好きでもある。季節の変わり目や天気の変わり目はジャンルフリーでのマイフェイバリット概念ランキングでも最上位のものだけれど、万全な体調でその瞬間を味わうことがなかなかできない。なかなかできないから好きなのか、体調を崩しがちというのを減点と捉えても好きなのか、本当にわからない。わからないけど好き、と感じられることの数がそのまま生き続ける気力を支えるものの数だと思う、絶対に大げさだが。

自分の髪からホテルのシャンプーの匂いがするのを、こっちは大げさではなくまさにおれの青春の喜びそのものじゃん、と感じながら帰宅。しかもいつの間にやら秋の薄い匂いが都会にも瀰漫している。軽くて突き抜けた空気。嗅覚に影響のあるコロナじゃなくてよかったね、おれ。

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