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あの頃のチャーハンは今。

あの頃。



僕がまだ中学生の頃。






チャーハンは、いた。




少し体格のいい、僕の友人。

あだ名は「チャーハン」



なぜって、チャーハンが好きだったから。



中学生のつけるあだ名なんて

そんなものである。


中学生のチャーハンは、

剣道部だったと記憶している。


決して、部活に打ち込むタイプでは

なかったが、

とてもいいやつだった。




ときは過ぎ、

チャーハンも僕も20歳。ハタチ。


同窓会で、久しぶりに

チャーハンに再会した。


聞くと、チャーハンは今、

工場で働いているらしい。


僕は大学に通っているが、

20歳で働いている人は、

やけに大人っぽく見える。


そして、

チャーハンは煙草をふかしていた。


成人。あのチャーハンも僕も。


なにげなく過ぎていく毎日。

ときどき、自分はどこに向かっているか

わからなくなる。


チャーハンは言った。


「喫煙所でのコミュニケーションって

けっこう大事だから。」



大人だなと思った。

ぼくは、ちゃんと大人になれるのだろうか。


大人ってなんだろう。


お酒を飲んだり、煙草を吸えるから大人なのか。


はたまた、大人というのは

もっと違う存在なのか。



これから、僕も就職へと

進んでいく。


大学にだっていつまでも

通い続けるわけではないのだ。


そして、働いて、自分の稼ぎで食っていく。


これが、大人なんだろう、きっと。




この先、僕にはどんな未来が待っているのだろう。



食卓で、チャーハンを目の前にすると

煙草をふかす、チャーハンの姿が目に浮かぶ。



#チャーハン大賞








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