解けない魔法をかける

昨日、テレポートをいち早く使ってもらってる友人と電話してたら「実は…テレポートみたいなのを使いこなすの本当は好きじゃなくて!むしろ苦手で!好きになろうとしたけどアナログ、リアルが好きで、そっちが自然!そんなに無理してたくさんの人と繋がりたくないし、むしろ孤独を愛する人間なんだ」といきなりカミングアウトされて「良い話だなあ」と思った。

なぜなら、「そんなテレポートから1番遠い自分が使えるようになるかどうかは大事なことかも知れない。だから無理して使わないけど、それでもいい?」と聞いてきたから。まさにそれだよねーって思った。

僕はどうしても提供者側だからテレポに対してテンション高くなっちゃうけど、この反応が普通なんだよね。普通、提供者の周りに集まる人はどうしても提供者にテンション合わせてこようとしちゃうから、むしろこっちのテンションに合わせない人たちとどれだけ関係を持てるかがものづくりとしてはキモになる。

僕のものづくりのスタンスは、「解けてしまう魔法ならさっさと解けてしまえ」だ。過剰に褒めてくれる人、僕に言動を合わせてくれる人、忖度する人で「裸の王様」になることだけは絶対にダメ。
形にするまでのプレゼン段階だと「素敵っぽい!」ってみんな思うけど、いざ形にして勝負しようとすると「あれ?こんなもんだっけ?」ってなったときに、それを受け入れる勇気はゼロイチするなら絶対に持たないといけない。そこで誤魔化したら終わりだ。モノがすべてで、言葉で語ってはいけない。コンセプトやプレゼンで「素晴らしいですね」って言われても喜んじゃいけない(嬉しいけど)。

1番ダメなのは、モノの弱さをプレゼンや見せ方で補強しちゃうこと。モノ単体を説明をしないで「はい」って黙って渡す。それで使ってもらって数日後に「ねえ、あれ、いいね!すごくいいよ!」って言われたら、良いモノを作ったってことにようやくなる。使わない人にどんなに絶賛されても、それは空中戦であって偽物の評価だ。

使ってみたら、いうほど素敵じゃなかった。
それが当たり前なのだ。でもこの現実を作り手はなかなか受け入れなくて、語りや飾り付けを強化しちゃうんだよね。ウェブでよく見せちゃうとか、インタビューで語らせちゃうとか、そういうごまかしに頼っちゃう。気持ちはわかるけど、それやるともうダメなんだよね。やってもいいけど「それは結局意味ないよ」ってことを自分たちで自覚してないと。

なのでそんなときはさっさと現実を受け入れて、その上で再び「解けない魔法をかけろ!」がものづくりの醍醐味だと思ってる。今のテレポの魔法はまだまだ弱い。所詮まだそんなもの(笑)。さぁここからがものづくりとしては楽しいところなんだよね。

こういうことを100回くらい繰り返してると、だんだん魔法が解けなくなってくる。どうやってもその魔法が解けなくなったとき、そのプロダクトやサービスは大きな熱を帯びて、人々がそれぞれに「これが欲しかったんだ!」と使い出し、語り出す。その瞬間、それは「その人のモノ」になる。作り手から手が離れて勝手に広がっていく瞬間、「ああ、完成したぁ〜!よかったぁ〜!」って思う。

そこまではあと2年かな。


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