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おねがい“ダイナミック”マイメロディ

※今回『おねがいマイメロディ』シリーズのネタバレあります。
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ハローキティ。サンリオという大きな看板を長年に渡って背負ってきた、日本が誇るあまりにも偉大なキャラクターである。
今年45周年を迎える我らがキティちゃんだが、その長いキャリアの中で実に様々な仕事をこなしてきた。

レコードデビューからアニメ展開、バラエティやCM出演、海外進出に最近じゃYoutuberとしての活躍などその仕事の幅は広く、時には世間の度肝を抜くような強烈なインパクトも多く残してきた。ちなみに僕が最近知ってびっくりしたのは愛知県刈谷SAのご当地キティで便器にまたがって気張るキティちゃん(超可愛いのでご安心を)。

その仕事のスタンスから「キティちゃんは仕事を選ばない」などと揶揄されることもしばしばある。勿論我々ファンからすればそれこそ尊敬できるところなのだが、実はキティちゃんのインパクトに隠れがちだが、同じくサンリオの御三家として君臨している「カワイイの権化」ことマイメロディ嬢、彼女もまたその長いキャリアの中で中々に攻めた仕事をしてきている。

その代表作といえばおそらくファンの間でも共通の認識があるのではないだろうか。

その作品とは他でもない。


『ダイナミックマイメロディ』こと『おねがいマイメロディ』シリーズである。


2005年から数年に渡ってテレビで放送されてきたアニメシリーズで、『おねがいマイメロディ』、『おねがいマイメロディ~くるくるシャッフル!~』、『おねがいマイメロディ すっきり♪』、『おねがい♪マイメロディ きららっ★』と、4シーズンも続いている大人気作である。この作品では主人公のメロディ嬢をはじめ、ライバルのクロミ様や友達のあっぱめ~(ピアノちゃん)、他人間のオリジナルキャラクターも多数登場する。シリーズ通して全編がコメディで、基本構図はメロディ嬢VSクロミ様の魔法バトル。そこに人間のキャラクターが深く絡んで展開していく流れとなる。

このメロディ嬢の代表作とも言える作品がなぜ“攻めている”のか。その理由はまさにこの一言に尽きる。『ダイナミックだから。』

つまりどういうことかというと、このアニメはあらゆる面に関して“やりすぎ”感が凄まじいのだ。例えばメロディ嬢の天然ボケに対するツッコミひとつを取っても、蹴り飛ばしたり(メロディ嬢を)、ボコボコにしたり(あのメロディ嬢を)、耳つかんでぶん回して投げたり(あの天下のマイメロディ様を)、とにかくやることなすこと表現が度を超えているのである。
ちなみに個人的に衝撃だったのは、歌ちゃん(メロディ嬢の人間の友達)の父親が風呂場でメロディ嬢をスポンジのように泡立てて体を洗うシーン(その後洗濯もされた)。

もう一度言おう。被害者はあのマイメロディさんである。サンリオの。

そして当然我が最愛のクロミ様も同じような扱いをアニメの中で受けまくっている。そしてそれが恐ろしいことに、時にはメロディ嬢から直々に受ける場合があるのだ。

そう、これこそがまた『おねがい』シリーズの恐るべきところ。実は蹴り飛ばされたり云々はまだ序の口で、メロディ嬢の歴史において“攻めている”というのはまさにここに集約されていると言っていい。

つまりこのアニメの中におけるマイメロディ嬢の性格は時に恐ろしいほど“どす黒い”のである。

これに関しては少々触れづらい部分でもあるので直接見て確認していただきたいのだが、実際このアニメを見てメロディ嬢を嫌いになった、という人も少なくないほど衝撃的なメイロディ嬢がそこにはいる。
ただ一応言っておくと、基本的にはめちゃくちゃ可愛いのである。9割方可愛いのだが、残り1割のどす黒さがギャップもあり余計に印象に残ってしまうということだろう。

それとこれは重要なことなのだが、あくまで『おねがい』シリーズのストーリーや設定はサンリオの公式のものではなく、独立したストーリー、設定であるということを理解しなくてはいけない。わかりやすく言うと女優・マイメロディが『おねがい』でのマイメロディを演じているようなものなのだ。つまりピューロなどで登場するメロディ嬢こそが本来の彼女の姿というわけだ(多分)。

とはいえこの設定を受け入れたのも他でもないサンリオだし、その懐の深さと攻めの姿勢は流石だなとも思うが。

また『おねがい』はメロディ嬢以外にも実に個性的なキャラクターが揃っていて、クロミ様は言わずもがな、その忠実な下僕であるバクの苦労人っぷり、マリーランドの王様(ゾウさん)のクズっぷり、最近改めて話題になっているメロディ嬢のママの毒舌家っぷり、それに人間のキャラクター達も皆それぞれしっかりと個性が立っている。

4つのシーズンの中であえてどれがお勧めかと言われたら、第2シーズンの『おねがいマイメロディ~くるくるシャッフル~』を挙げるだろう。
ウサミミ仮面という強力なフックが加わり、魔法の中身もお楽しみ要素が増え、終盤では柊兄弟の関係に泣き、そして何より最後の最後はクロミ様がボスとして立ちはだかるのが素晴らしい(シーズン1では柊恵一及びダークパワーの精がボス)。

そう、人間達がストーリーに深く絡んでいながらも結局この話はメロディ嬢とクロミ様の2人から始まっているのである。だからこそ最後はメロディ嬢VSクロミ様の構図が最も気持ちがいい。

そして最後、クロミ様の「お前がいなくなったら、アタイは誰とケンカすりゃいいんだよー!」に僕は爆泣きするのである。

さらに『くるくるシャッフル』はOP、ED曲がまた素晴らしい。OP『コイ🖤クル』はシーズン1の『オトメロディー』をより洗練させたような曲だし、ED『ハレ☆ソラ』もいい曲だ。しかしそれにも増して2期のED『手をつなごう』は名曲である。泣きのメロディとシンプルながら心に響く歌詞が素晴らしく、サビの「1さいの手のひらも~」のところで手をつなぎ合うメロディ嬢とクロミ様にシーズン1から見ている視聴者は爆泣き間違いなしである。バックで常にめ~め~言ってるピアノちゃんもまたいいグルーヴを生んでいる。


『おねがい』も細かい矛盾点などをつつこうと思えばいくらでも出てくる。しかしもはやスタッフの頭の中がくるくるシャッフルしてしまっているこのアニメでそんな細かい部分をいちいち指摘しようとすることが無粋である。そしてそういった細かい矛盾点を気にさせないほどのパワーがこの作品にはある。

まるで大人と中学生が一緒に作ったようなアニメである。このあまりにも攻めすぎているメロディ嬢を受け入れられるかどうかは自分次第だが、確実に言えるのはメロディ嬢、いや、サンリオを語る上で決して避けては通れない名作であるということだ。

少なくともクロミ様の魅力は存分に伝わると思うので個人的には是非とも観て欲しい。


いや、是非とも観てね。


おねがい♥️







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