シリアルキラーの最後の恋人
私の心には、いつからか、一人の連続殺人犯がいる。
念入りに断っておくが、私が殺人衝動を抱えているという話ではない。この連続殺人犯は、私の人格と独立したキャラクターであって、私が私の自意識や周囲の人間との関わりについて考えるための道具のひとつである。10代の頃、穂村弘のエッセイを愛読していたのだが、彼が「世界のシリアルキラー」についてのムック本を読んでいる、というエピソードがあちらこちらに出てきていた(この文章を書くにあたりいくつかの本を確認したが、ムックのことは複数回書いて