映画『同級生』を観ました

昼間、映画『同級生』を観てきました。飲酒しまくって徹カラして仮眠してから観るという最悪のコンディションで観たのですが、最高でした。

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原作『同級生』の世界観が、足りないところも過剰なところもなく、原作の魅力を少しも損なうことなく、むしろ増幅するかたちで表現されていました。中村明日美子先生の描くキャラクターの繊細なタッチも、カラーイラストの水彩風のにじんだ色合いも、草壁や佐条やハラセンの表情も120パーセント再現されていて、そのうえ、原作にはなかった草壁や佐条の声、雨のしずくのたれる音、草壁のギターの音、レモン果汁のはじけちる音、などなどが、もはや200パーセント『同級生』の世界をつくりだしていて、しかも大画面だし、っていうか題字からエンドロールまで、登場する文字が全部明日美子先生の手書き文字!!! あの文字が最初に表示されたときの「あ、この映画最高だ」感がやばかったです。


同級生

(エンドロールは直筆というわけではなくて先生の手書きを模したオリジナルフォントのようですが)(『輪るピングドラム』のピクトグラムなどなどデザイン制作されていた越阪部ワタルさんが「エンドロール制作」でクレジットされていたのでおそらくそう)

それにしても、マンガという表現形式よりも訴えかけてくる効果が多いせいか、わたしが原作を初めて読んだ19歳のときより7歳も歳をくったせいか、まあとにかく全ての要素が素晴らしかったからだと思いますが、素晴らしいからこそなんですけど、『同級生』ってすごく「つよい」し、「ころされる」話だなあと今回初めて気付きました。原作読んだときも、山手線のなかで不意にぼろぼろ涙が出てきてちょっとびっくりした記憶があるのですが、今回映画を観たあとも、全部筋知ってるくせに呆然としちゃって、徹カラ仮眠からバルト9に行ったのでお腹すいてたまらなくてすぐチーズケーキを食べたんだけど、そうしたら本格的に気持ち悪くなって、帰宅してすぐ寝ていた……。いや、まあ、オールしたから具合悪くなったともいいます。

フィクション、自分と一定の距離を置いた「ボーイズラブ」だと思って観ると、「萌えた」「きゅんきゅんした」と、いい感じにポジティブな感想で終わることができるんだけど、これって「男同士じゃないと成り立たない」話ではなくて「誰にでもありえた」「わたしにもありえた」話で、そして観ている人たちがほんのちょっとずつ身に覚えのあること、あるいはほんのちょっとずつ夢想していたことたちがたくさん出てきて、しかし、それがおよそ究極的に100パーセントな純度で描かれていて、なんかそのレモン果汁のまじりけのなさの前で呆然としてしまうような感じがあると思うんですよね。こんな美しいものってある?という。いや、まあフィクションなんだけど、佐条と草壁の、一瞬一瞬の「ある」感じがすごくて、原作もそうなんだけど、映画はいっそ暴力的だなとすら思ったし、映画館を出て「なぜここは高校時代の深夜の公園での逢引現場ではないんだ〜〜〜」と誰かに理不尽な怒りをぶつけたくなった。泣きはしなかったけど。

なので実のところ、このレベルにピュアな恋愛映画というのは、ボーイズラブかどうかというのとは別の観点において向き不向きがあると思うんですが、ボーイズラブということで敬遠しないで、押尾コータローさんの音楽が好きだけどやや尻込みしている人、少女漫画が好きな人、なんか甘酸っぱさの暴力になぶられたい人、最近情動に乏しいなと思っている人、神谷浩史さんの四十路の本気(四十路なんだよな……ほんとかよ……)に触れてみたい人、なんか完璧なコンテンツに触れたい人、などなど観てみればいいのじゃないかと思いました。あ、鑑賞前夜はじゅうぶんな睡眠をとり、鑑賞後もじゅうぶんな休息時間があるといいと思います。

余談1:ひとつだけ気になったのが、ハラセンが「草壁はそうじゃないよ」というセリフが、あのさらっとした言い方だと、前のセリフとあいまって逆の意味にとられちゃうんじゃないかなーということで、もうちょっと「そう」にイントネーションを置いてほしかったのですが、それくらいしか気になる点がないとも言います。

余談2:映画のパンフレットなどでも書いてあるかもしんないけど、草壁の名前が「光」で、佐条の名前も「理人(Licht=ドイツ語で光)」なのがほんとに最高だし、やはり『同級生』は「瞬間」の話なのだなという気がする。

余談3:本当に本当に過不足がなかったんだけど、それはつまり原作もすばらしく過不足がないということで、やっぱり中村明日美子先生最高だなと思いました

余談4:あと、「わかりあえる人」との人間関係と、「まじでわからない人」との人間関係、みたいなことをつらつら考えたのでそのうちどうにかしたい……。

余談5:余談ですがこの映画、ピンドラのスタッフが異常に多いし、中村明日美子さんは『ノケモノと花嫁』もやってるし、幾原邦彦さんもかかわっているのでは……と邪推してしまうのですが、まあただの邪推です。





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ひらりさ

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