スクリーンショット_2014-05-05_14.53.12

拝啓 橘真琴様

最初で最後の、永遠の夏が始まる――。

はじめてお手紙を書きます。ひらりさと申します。
二次元のキャラクターへ手紙を書くこと自体、さすがにはじめてです。もっとも、真琴くんはきっと鳥取県岩美市に住んでいるんだ、と私は思っていますが。

まずはアニメ「Free!」第二期、今夏放送決定おめでとうございます。
1月のトークイベントで二期制作決定ということだけは知らされていたので、「来年かな……?」「いや、今年、今年きて!」「ちゃんとストーリー練る暇なかったらゆるふわバンド物とかでいいからとりあえず今年やって!!」などと祈りつつ主演声優のTwitterなどで収録の気配などチェックしていましたが、まさか本当に今夏やってくれるとは思っていませんでした。

そして、あと2ヶ月で二期が観られることになった今となっては、逆に、「むしろ来年放送だったらよかった……」という謎の絶望に支配されています。

だって、今年やるってことは、もう2014年10月には、Free!二期の終わった世界がやってきてるわけです。今年二期やらなきゃ栄養不足で死んでしまう……と思っていた自分が浅はかでした。今年二期やったら来年栄養不足で死んじゃいますよ……。いや、栄養っていうか麻薬ですよね。中毒死です。永遠に二期やらないでほしい。でもそれはそれで死ぬ。

最初は数多ある2013夏アニメのひとつ、そして数多ある腐女子受け狙いすぎアニメのひとつにすぎなかった「Free!」が、どうしていつの間にかこんなにも手放せない麻薬になってしまっていたのか……実は自分でもよくわかっていません。

京アニがFree!のプロトタイプとなった、あの伝説のCMを公開したとき。たしかに私もかっこいいなと思いました。男子高校生たちの笑顔と、美しい水しぶきの調和にときめきました。でも、自分の好きな声優もちらほら出ているけれど、好きなタイプのキャラはいないなと感じ、そこまで情報を追いかけていませんでした。そんなに筋肉好きってわけでもないし。むしろ「京アニってば、いかにもな女性受けを狙いやがって……ひっかからないんだから!」と思っていたはずです。

なんとなく気まぐれで、Free!先行上映イベントのチケットをとったとき。ちょうどハマっていた「黒子のバスケ」のイベントのチケットがとれずむしゃくしゃしていたところにイベント開催案内を見つけ、気を紛らわせるために参加しようと思ったという経緯でした。このときもまだ、「話題になってるみたいだしチェックしておこうか」なんて気分でした。

そうして、2013年6月26日、丸の内ピカデリーで行われた先行上映イベントに参加したとき。大きなスクリーンのなか、いきいきと描かれる男子高校生たちの青春に、私の心は一気に高揚しました。

たしかに腐女子狙い感はバリバリあるけれど、その狙い方に少しも手抜きがなく、こちらを舐めていないというか、作画も音楽もシナリオも演技も全力投球でこちらにエンタメを届けようとしているのが伝わってくる上映会でした。ショタ凛ちゃんの悔しそうな顔、遙さんの可愛いところと、江ちゃんの癒し系な愛らしさ、渚くんの周囲を振り回していく力がいかんなく発揮されており(怜ちゃんは未登場)、しかも作品によっては、1話はクオリティ高いけどだんだん乱れて……となるところ、Free!に関しては、2話まで観る限りでは、きっとこの後も全力でやってくれるのだろうという安心感がありました。これは全話リアタイで視聴しよう!と興奮しました。こうして2013年6月26日、まだ他のアニメが始まる前に、私の2013夏の本命アニメはFree!になったのです。

とはいえ、ここまでの段階では、まだFree!は、世の中に数多あるアニメのひとつでした。それこそ、自分のなかでは「まどマギ」や「タイバニ」と同じくらいの気持ちで楽しんでいたように思います(私の場合、まどマギ沼、タイバニ沼にははまらなかった)。

先行上映の時点で、橘真琴くんを推していこうというのも決まりましたが、これは、自分が特に好きな声優である鈴木達央さんが、いつもとは違った役柄をみごとにこなしていることへの感動が大きかったからでした。「何なのあのガタイがいいのに怖いの苦手で女子供にやさしくて幼なじみのために一生懸命なタレ目のCV鈴木達央!!!」という。

それなのに、一体どうしてなんでしょう。どうして、私は、毎週水曜深夜にはリアタイ視聴したあとに録画を2回リピートして考察スレのぞいてからじゃないと寝られなくなったり、放送のない日はひたすらpixiv巡回してその日更新されたFree!作品をチェックしてからじゃないと寝られなかったり、ほかの一切の活動を切り詰めてBD全巻マラソンをしたり、それどころかイベント応募のために同じBD10枚買ったり、人生で初めて同人誌をつくってみちゃったり、Free!ロスで婚活を再開してみたり、橘真琴誕生日オフ会を開催して痛フレンチトーストでお祝いしたり、舞台となった鳥取県岩美市に台風のなか聖地巡礼してみたり、PCの名前を「橘真琴」にするほどの、Free!中毒になってしまったのか……。


いえ、わかってます。それはもう間違いなく、5・6話の無人島合宿エピソードが原因です。


何なんですか、あれ!!!!


海が苦手なのに、それをみんなに黙って合宿に行くところまではいいんすよ。
年長者なのに「俺はハルと同じテントで寝るから」とか真っ先に言い出すところも、まあいいですよ。
部長なのに、怜ちゃんが初心者なことを気に病んで無理をして、夜の海で1人で練習を始めてしまうのに気付かなかったのも、まあしょうがないと思う。


でも、何あれ? あの人工呼吸未遂? 
怜ちゃんを1人で助けようとして自分もおぼれてしまった真琴くんを遙さんが助けるシーンありますよね。助けて人工呼吸をしようとするけど、寸前で真琴くんが意識を取り戻すシーンですよ。

何あれ!!!!

お前が人工呼吸を未遂に終らせてしまったがために、逆に人工呼吸が一気にやらしいものになってしまったじゃないか!!!!!!
未遂に終らせるにしてもあのタメはあざとすぎるだろ!!!!!!
そこからさらに、「ハルじゃなきゃダメなんだ。ハルと一緒に泳ぎたいんだ」って……。

いや、なんかさ、たしかに1話から橘真琴くんは徹頭徹尾遙さんのことしか見ていなかったと思うんですけど、そこで江ちゃんがマネージャーになってくれたり渚くんが部員集めに奮闘したり怜ちゃんがみんなのために無理したりするわけじゃないですか。

そうしたら、あの合宿っていうのは、真琴回だっていうんだったら、真琴が遙との関係を確認する回じゃなくて、真琴が遙との関係を確認しながらも仲間というものに目を向けて行く回になってほしかったんですけど、何かハルハルハルハル言ってるせいで、全然そんな感じに思えなかったんですよ……。

一番最後、みんなで朝、無人島から元の島に戻るときもさ、「みんながいるから大丈夫」とか言いつつ、真琴くん、遙さんのことしか見つめてませんよね? それもけっこう衝撃でしたね。

私は男子高校生達が切磋琢磨して同じ目標を目指す青春アニメを見ていたはずだったのに、何かこの橘真琴さんだけは、みんなと同じ方向を向いているフリして全然違うことしてる気がする……。

結局、最終回まで、真琴くんは徹頭徹尾、どんな大事な場面でも遙さんばかりを見つめつづけ、「ハル」と言い続けましたね。ネットでは、あなたが作中で「ハル」と言った回数を数えだす人まで現れました。

だけど、そうした違和感が、逆にあなたから目を離せなくなる要因となりました。

それまで、私は、一般作品をBL的に楽しむにしても、商業BLをたしなむにしても、「新しく出会った2人、もしくはこれまでも関係を築いてきた2人が、何やかやをきっかけにお互い切瑳琢磨しあって、新しいほうを向いていく」関係が好きでした。

だから、なんというか、幼なじみというには仲良すぎる真琴くんと遙さんも、その共依存の感じから抜けだして、もっとほかの仲間を見つめていく変化があるのかな〜あるといいな〜なんて思いながら観始めたんですけど、結局ちっともそんなことにはならないし、遙さんはむしろライバルである凛ちゃんと清く正しく私の求めるBLしていくし、真琴は相変わらずハルのこと以外どうでもよさそうな頭悪い言動していくし……だから別に全然好きじゃないはずなんだけど、いろいろ引き裂かれそうになりながらも結局むしろ真琴くんのことばかり気になるし、本編だけじゃ飽き足らなくてラジオのほうも聞き始めたらそっちはそっちで中の人が真琴くんのキャラをときどき出しつつも下ネタを連発しまくっていて、そっちに対する愛憎も何か高まってきて、もう何なんだよ橘真琴は人を狂わせるな!!!と思っているうちに完全に中毒患者と成り果てていたのでした。

なので、つきつめてみると、私はFree!中毒というよりも、橘真琴中毒なのかもしれませんが、結局私は橘真琴くんのことが好きかはよくわからないし、好きだとしてももはや一体あなたのどこを好きかはわからないので、ファンレターもラブレターも出せないようなごちゃごちゃした状態なわけです。だけど、それでも追いかけてしまうのは橘真琴くんだし、本当は心の底では一番成長してほしいし幸せになってほしいと思っているし、まあ現状維持で幸せだっていうんならそれはそれで罵倒しながら見守りたい心持ちで生きていて、二期をやると言うのなら、やっぱり毎週深夜リアタイで視聴してツイッターで悲鳴を上げてそこから録画を2回リピートして考察スレをのぞいて、やっぱり今週も真琴は自分勝手だったみたいなことをぐちぐち言いながらも、最終回が迫ってくるときっと世紀末みたいな気持ちになるでしょうし、そんな気持ちを埋葬しようとまた岩美に行くでしょうし、それでも耐えられずに劇場版や三期が実現するように、せっせとお布施を続けることになるに違いないので、二期も全力で振り回してくれればいいなと思う気持ちに駆り立てられて、恨み節レターを書いてしまいました。

我ながら気持ち悪くはあるのですが、Free!第二期、心の底から楽しみにしています。今から金策しておきますので、アニメ雑誌でのグラビア、グッズ展開、ラジオ、キャラソン、イベント、一期以上に頑張っていただければ幸いです。               

敬具


いつもありがとうございます。より良い浪費に使います。