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2度転職したアラサーオタクOLが考える、就活で気をつけるべきたった一つのこと

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就活シーズンですね。

はじめに言っておくと、私はまったく「新卒就活」をやりきっていない。

大学院に行こうと思っていたのをやっぱりやめ、大学4年の2月に留年前提で新卒採用をしている出版社をいくつか受けてみたのだが、1社内定したあと、いろいろな偶然がかさなって、まだサービスインすらしていないベンチャーの第一号社員として入社することになったからだ。

とはいえ自分が社会人としてキャリアをかさね、さらに業務のなかで、これから就活を控える学生インターンの人とかかわるなかで、「あ〜自分がもう一度就活するならこういうことを気をつけるな」というところを、以下の記事にまとめた。2014年のことである。

もし就活中の自分に会えるなら伝えたいことを書いておく
https://note.mu/hirarisa_lv0/n/n33d18deb089a

その後2度転職して、10社以上の選考を受け、合計6社の内定を受けた。
自分が面接をする側になったことも、2桁以上になった。

えらそうなことを言うほど成功したキャリアを歩んでるわけではないのだが、そういう平凡な就活経験者だからこそ、ひとつ実感していることがある。

それが「とにかく人に会う」べきだということだ。

先に挙げた2014年の記事で、私は以下の項目について書いた。

・結局合否は「いっしょに働きたいと思ってもらえるか」が決める
・時間には本当に本当に余裕を持って行動する
・服装、髪型、しゃべり方も本当に本当に本当に大事
・文章は必ず誰かに見てもらう
・ウソやごまかし、言い訳はしない。絶対バレる。
・別に行きたい会社に行けなくてもやりたい仕事につけなくても、死なない。

これらの項目がどこから出てきたかというと、結局「この世の仕事の大半は、誰かと一緒に何かをすることである」という前提に基づいている。

別に、ものすごーく専門的なスキルがあって、それに見合った会社がつねに熱烈に人材を募集しているような人は、上記項目について覚えておく必要はない。

でも……まだ何か自分にしかできないスキルがあるわけではなく、当然キャリアもなく、それでも自分のポテンシャルに期待して採用してもらいたい、と考えているのであれば、重要なのはやはり、「その会社、構成員との相性」「取引先を含めた内外の利害関係者とのコミュニケーション力」となり、上記6項目のうち最後以外は、すべてそうした「相性」「コミュ力」と結びついた要素になっている。

で、じゃあ学生時代にしても、就活直前〜最中にしても、そうした「相性」「コミュ力」を高めるためにできることというのは、結局「人に会う」ことなんだよな〜〜〜と、実感しているのが、転職を2回経た社会人6年目の今だ。

まず、自分の入りたい会社Aがあるとする。

そのA社がやってる事業の内容や存在するポジションの詳細を調べるのは、もちろん大事なことである。「どの会社に入りたいか」「どんな仕事をしたいか」を考える第一歩だからだ。

でも、そんなA社で自分が実際働いてみてうまくやれるのか、給与に見合う成果が出せるのか…?ということは、頭で考えただけでは、わからない。完全に机上の空論である。

「あ、自分この会社でやれる人間なんじゃん」ということを自分で納得し、先方にも納得してもらうには、やはり「その会社の人間と話す」のが一番である。人づてでも大学の名簿づてでもいいから、とにかくA社の人間と会い、仕事の話を聞き、自分の話も聞いてもらう。そのコミュニケーションを少なくとも2〜3人とやれると、その会社に受かる確率はめちゃくちゃ上がるはずだ。それは「社員に認知されたコネ」とかそういうことではなくて、「実際に働いている人間とコミュニケーションすることに得られる経験、共有してもらった問題意識、社風」によってである。

そうやって話したときに絶対やったほうがいいと思うのが、会ったあとのお礼メールで「自分の印象をどう思ったか」「選考に向けて意識するといい点」などを正直に聞くことだ。コミュニケーションというのは双方向的なものである。あなたが社員を通じてA社への認識を深めたように、そのときに会った社員は、あなたに対してさまざまな印象を抱いたはずだ。それをフィードバックしてもらうと、「A社で働いている人間が、一緒に働きたい人間になにを求めていて、今の自分とどうずれているか」がより鮮明になる。「面接のリハーサル」になるのだ。

そして「A社について深く知る」ということは、A社の人間だけと会うことを意味しない。A社の人に会う以上におすすめしたいのが「気になってる業界の人ひろく一般」「全然違う業界でもいいから、とにかく大人」である。

あなたはA社をいいと思った。A社の人もA社をいいと思っている。それで話をして「たしかにA社はいい」と思うかもしれない。でも……「知らぬは本人ばかりなり」ということわざがある。A社を好意的に見ているあなたや、A社で働いている社員には見えないものもあるだろう。そういうときにこそ「A社ほど志望度が高いわけではないB社やC社」の人とも会って、B社やC社のことを聞くと同時に、A社についても話を聞いてみることだ。B社やC社のことを知ることで自然と「あ〜、A社のこういうところが独特だったんだな」とわかるし、逆に「もしかしたらB社/C社のほうが自分に向いているかも…?」と考えることもできる。もちろん3社とも受けていいわけだが、実際に競合他社の社員とも会っていることで、どの会社でも聞かれるであろう「なぜこの会社に入りたいのか」という質問の答えが、自分にとっても驚くほど鮮明になるはずだ。

これをちゃんとやっていれば必然的に、実際に選考を受ける会社は10社以下になるのではないかと思う。

だって、よくよく考えてほしいんだけど、「なんとなくしか知らないけどとりあえず受けられるから受けた会社」に入るのって、めちゃめちゃ怖くないですか?  仮にあなたが家を借りたり買ったりするような局面で、「えーいウェブサイトの情報と説明会だけで申し込んじゃえ」ってやりますか?

就活は、企業にとって「その人間の年収×◯◯年」のお金をかけた投資だが、選考を受ける側にとっても「◯◯年」を差し出す投資なのである。「とにかく受けて受かる数を増やしたい!」「とにかくどこか受かりたい!」という気持ちは(まさにそのような就活をした身として)めちゃくちゃわかるのだが、正直「じっくり考えてどこも受からなくて不幸になる」確率よりは、「適当にはちゃめちゃ受けてよう知らんところ受かって実情がやばすぎて不幸になる」確率のほうが、今のご時世は大きいのではないかと思う。

ぜひ一つ一つの「物件」を実際に眺めるべきだ。そして会社や社会を実際に見るというのは、パンフでもウェブサイトでも説明会でも社屋でもなくて、やっぱり「人に会う」ことなのである。その会社がインターン制度などを行なっているならそれに参加するのが楽だろうけど、自分で社員にアポをとって会ってみる、というのが、私は一番効果的だと考えている

そう、「人にアポとって会ってもらって会話をかわしたうえで自分の要望をアピールする」って、大半の仕事の基本なんですよね(外回りとかのない業種でも、社内調整などで確実に発生する)。結局、「(自分でアポをとって)人に会う」というアクティビティには、そのへんの基本で必要なことがしっかり詰まっていて、絶好の職業訓練なのだ。「えー非リアだしコミュ障だし人に会うの苦手…」とか言ってる場合ではない。「全然違う業界でもいいから、とにかく大人」に会うことも選択肢に入れているのは、そういう意図である。これは自由に選べる友達づきあいではなくてもはや仕事だと考えて、粛々とやるべきである(もちろん「それでも人に会うのまじで苦手」という人は、それに向いた仕事があるだろうから、そっちに舵を切っていいだろう)。

なお、「同じ世代の人間」「同じ年度の就活生」に会うことは、私がここで推奨している「人に会う」には含まれない(別に好きにやればいいと思いますが…)。

社会人になってなによりも実感したのは、大学や同世代というコミュニティが、いかに共通のプロトコルを持つ集団だったかということだ。同じ世代には、たとえリア充だろうがオタクだろうが、根底には、なんとなく共通の世界認識がインストールされてるものであって、そうした人間どうしで話し合っていても、コミュニケーション能力は磨かれない部分があるのだ。

これは「共通の趣味を持つ人間同士で会う」場合も同様である。オタクどうしだと、「とうとい!」「バブみ!」といえば伝わってしまうわけだが、そうしたコミュニケーションをしていても、仕事で必要とされるタイプのコミュニケーション力は身につかない。世の中の80パーセントくらいの人には「とうとい!」「バブみ!」が本当に意味することはわかられていない。「とうとい!」「バブみ!」が伝わらない人に対して、その仔細を説明することこそが、コミュ力である。

就活をするにあたって一番大事なのは、就活、ひいてはだいたいの仕事は、「自分のことを全く知らないし、共通プロトコルもない相手に自分を売り込む」ことから始まるのだと、心から理解しておくことだ。きちんとコミュ力を磨き、社会に接したいなら(磨きたくないし接したくないならいいのですが)、プロトコルが異なる人間と会うという試行回数を増やして、内部に知見をためていくことが不可欠じゃないかと、マジで思っている。AIの機械学習と同じです。

私もまだまだ「とうとい!で全て伝わればいいのに……」「バブみ!と言うだけで2億円ほしい……」と悪態をつくことのある半人前社会人である。しかしだからこそ、自分よりいろんな才能を持っている年下のオタク女子たちが、そういう自分の良さを効率よくアピールしてちゃちゃっと就活を終えほしいな〜と思ったりする。なので、えらそうなことを言える立場ではないのですが、あえてえらそうな口調で書いてみました。

がんばってね。



★おまけ

新卒で入った会社の社長に最初のアポをとるときにやりとりしてたメールが出てきたので、自分が送った内容をぺたっとしておきます。全然コミュニケーションの参考になるものではないのだが(今読むと「マジ的外れなこと書いてるんな!」と思うのだが、超頑張ってとくにツテのない大人たちにメールを送って、アポをとっていた。自分頑張っていたな……。

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