逃亡者

逃亡者

2014年、10月20日に記録していた動画が
いろいろ整理していた時に出てきた。

2014年の9/28に初めての子ども
まさおが生まれたんだ。

大分から奈良で。
奥さんの実家で里帰り出産。
僕も生まれて3ヶ月、ほとんど一緒にいた。
贅沢なんだと思う。
幸せなんだと想う。
父親が、こんなに子と寄り添えるなんて
普通の男性には経験できないものだ。

でも、しんどかった。
幸い、奥さんも、奥さんの両親も
ファンキーな方なので、
批判もプレッシャーもかけられなかったのだが・・・。

僕自身の世間体プライドというのか、
仕事がないから一緒にいれる。
「男」って種は、つくづく
社会に向き合い、家族に背を向け
(家族を背中で守り)
生きる役割なんだなぁ。
と、感覚として想い、やられました。

とても主観ですが、
不安定な僕の心を打ちのめした
感じでした。

そんな僕が、おむつ替えや、沐浴の役目をこなし
善い父親に自然になってゆく裏の本音を持て余し、
車で1人、近所をドライブしたときに出来た
この瞬間に出来て、
この時にしか歌っていない曲です。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

何日 こうして過ごしたんだろうね
窓の外は すっかり肌寒く
ガソリンも財布も
どうやら底が見えた
僕ら 幸せになれないのかな

山の中にポツンと光るセブンイレブン
あったかいカップラーメン
「なぁ、うまいだろ」
防犯カメラじゃ捉えきれない
僕ら 似た者同士だね

もうすぐ夜が明ける
何処からも逃れ僕らはここにいる
もうすぐ夜が明ける
誰からも逃れ僕らはここにいる
もうすぐ夜が明ける
誰からも逃れ逃れて僕らはここにいる
もうすぐ夜が明ける

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

何を歌っているんだろう?
僕は、彼は、
今、どんな状況にいるんだろう?

いくつもの記憶が、原風景にあります。
それはほとんど実体験じゃないんですが
映画、漫画、、、、。
そして現実にそんな時を過ごしたであろう
今を生きる、
踏み外してしまった人たちへのオマージュ。

****************

ずいぶん昔に読んだ漫画「家裁の人」で、
じつは実の息子ではないことを知っていた無口な父親が
小学生の息子を、母親(実母、で息子は不倫の相手との
間の子)に内緒で連れ出して、
車中泊のあてのない旅を繰り返し、
本当に息子を愛せるのか?と心で確かめている最中、
捜索願と誘拐で起訴される。
というストーリーを思い出す。

高校生の頃レンタルビデオで見た
「キッドナップ ブルース」
主人公の若かりしタモリさんが、風来坊のおじさん。
居場所を失った少女と出会い、寄り添うつもりが
いつの間にか誘拐犯にされて追われるはめに・・・。
川崎なのかな? 港湾にたどり着いて
焚き火をしていると
どこからともなくピアノの音が。
瓦礫になぜかグランドピアノがあって
山下洋輔がピアノを弾いている。
シュールでリアルな印象だけが残っていた。

映画が先か、漫画が先か・・・
「星守る犬」。
西田敏行演じるおじさんが、
なんとなく、どんどん財産を失って、
身寄りも失い、仕事を見込んで北海道へ。
けっきょくどことも繋がれず、
車の中で餓死、凍死。
最後まで付き添った愛犬も近くで白骨で発見される。

僕の実体験は些細なもんで、
息子が生まれた数日後に、最後に予定していたライブを
滋賀でこなし、ほぼ居眠り運転で奈良に帰った。
途中の田舎道で、ポツンと光ったコンビニが
とても印象的で、その印象が
こんな詩を書かせたんだと想う。

****************

明るく、幸せな詩を歌えば、
そんな人生が現れることはわかってます。

それでも、バッドエンドで闇に葬り去られる想いに
光を灯して、存在のひとつとして
ひとつの「豊かさ」として、
描き、響き合っていきたい。

だからこんな暗い詩を
息子が生まれた時に
創ったんだと想います。

「ぼくら 幸せになれないのかな?」

僕にはその只中の「もがき」が
とても愛おしいのです。


うたが、音が、言葉が、 もし心に響いてくれたなら サポートいただけたら嬉しいです。