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開発チームが今どんな感じか?を計測する

この記事はEngineering Manager Advent Calendar 2023の17日目の記事です。

ビビッドガーデンのEMをはじめて1年が経ちました。
私がEMとして持っているミッションのひとつに「自らが関わる開発チームのアウトカム最大化」というものがあります。
それを再現性高く実現するために、チームが今どんな感じかを把握/認識することは至極重要と考えています。
この記事ではチームの状況を把握/認識するために私が行っていたことを振り返りながら言語化してみたいと思います。

チームの何を把握/認識すべきか

前提としてここでの「チーム」は数名~多くても10名程度のプロダクト開発に関わる自律的なチームを想定しています。エンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャーが在籍しているチームが一例です。
そのチームにおいて「チームのアウトプット、アウトカム」だけではなく、それらを出力するための「チームがもつ能力、機能」すなわちCapabilityを把握したいと考えています。
Capabilityのキーとなる各項目に関してはLeanとDevOpsの科学に24 Key Capabilities(以下リンク)の記載があるのでそれに則っています。

と言いつつ、このCapabilityですが以下の面があると考えていて、正しい計測とズレのない共通認識をチーム内で持つには一工夫必要だと考えています。

  • 定量評価可能なものがある一方、定性的なもの(数値化が困難なもの)も含まれている

    • 定量的: デリバリーの頻度など

    • 定性的: 組織文化など

  • 定性的なものが含まれている以上、チーム内で認識のズレが発生する可能性がある

計測することがゴールではなく、計測結果を元にチームが現状と伸びしろの共通認識を持ちチームの成長を加速させることがゴールです。
前提となる共通認識を持つための一工夫、やったことを以下に書いていきます。

SPACEを用いた(比較的)定量的な計測

やったこと

前提として24 Key Capabilitiesの全てを正確に把握しようとは考えていません。あくまで現状の組織/事業フェーズに置き換えて取捨選択をしています。

ありがたいことに世の中にはFour Keys(DORA Metrics)などの計測フレームワークがすでに存在しています。
今のフェーズにおいて計測したいKeyがある程度担保されるフレームワークを探してそれに則るというアプローチを採りました。
選ばれたのはSPACEでした。

選定理由は「計測範囲がデリバリーに寄り過ぎておらず、アウトカム思考である」「メンバーの満足度など定性的な面も考慮されている」といったところです。

最終的に以下項目を計測しました。

  • Satisfaction and well being

    • 仕事する上での満足度

    • 生産性と相関があり、先行指標となる

  • Performance

    • チームとしてどんなアウトカム/アウトプットを出したか

    • 数字的なインパクトとシステムが期待通り動いたか、バグがなかったかなど

  • Activity

    • PRの数など定量的に図れるエンジニアとしての活動量

    • これだけで生産性を計測されると嫌がられるアレ

  • Communication and collaboration

    • 定量的なMTGに費やした時間とそれがどのような効果をもたらしたか

    • チーム内外でのコミュニケーションとコラボレーションを通じてどれだけ仕事が進んだか

  • Efficiency and flow

    • コード書きはじめてからリリースするまでがスムーズだったか

    • コンテクストスイッチを入れ替える必要がある要因や差し込みがどのくらいあったか

※SPACEの考え方をほんの少し拝借しただけで我流もいいところと認識しています

計測はQの締めタイミングで実施し、計測の実作業は私が各種計測SaaSの力を借りたり、GitHub上でコメント数を手計算で数えたり、チーム外メンバーにMTG実施による変化を聞くなどして行いました。

得られたこと

  • 感覚的な成果を言語化したことでチームの変化を共通認識でき、チームの自信の総量が増した

    • メンバーの「今Qは肌感としてコミュニケーション増えたけど、あれは良かったんだっけ・・・?」の結論を明確に出せた

  • スクラムのレトロスペクティブだけでは逃してしまいそうな状況変化も捉えることができた

    • 対応したissueの量が減ったがアウトカムは増えている => issueの質が上がっている

  • 計測、大変に時間がかかることが分かった

    • 計測すべきものをフォーカスする。計測方法と頻度を最適化する

チーム伸びしろボードを用いた継続的な認識合わせ

やったこと

チームに期待されている成果次第で求められるCapabilityの傾向は変わってきます。Capabilityのどの部分をチームの成長課題と置くかはEMの腕の見せ所ですが、その背景や伸びしろをメンバーと共通認識を持てていなければ成長速度は鈍化してしまいます。

ここに対してはチーム伸びしろボードという「Capabilityに対する問い集」を共有してチーム内MTGや1on1でコミュニケーションを取っています。
「現状のチームをどう見ているか?」という抽象度の高い議論を巻き起こすための基盤と捉えていて、特にチーム立ち上がり期はメンバー間の相互理解にも寄与します。

以下項目が一例です。決して不変なものではなく、非同期的に足されたり、議論不要であれば抜くなどしています。

  • ゴール

    • ゴールの共通認識はとれているか

    • 達成のための条件は決まっているか

    • 達成状態にワクワクできるか

  • チーム

    • リーダーはどのくらい信頼されているか

    • メンバー間はどのくらい信頼し合っているか

    • チームの伸びしろの共通認識はあるか

  • ディスカバリー

    • インサイトが継続的に得られているか

    • インサイトの蓄積/整理が行われ、活用されているか

    • ユーザー理解を促進する仕組みはあるか

  • デリバリー

    • 数を上げるための伸びしろがわかっているか

    • デリバリーして終わりになっていないか

  • メンバー

    • モチベーション高く働けているか

    • 開発と探索を良いバランスでできているか

得られたこと

  • 「私は課題認識あったけど他の人はなかった(その逆も然り)」という認識差分に早期に気づけた

    • 思考を場に出すことの重要性を再認識した

解決すべきものにフォーカスする、解決のためになんでもやる

今回はチームの現状を把握/認識する取り組みを振り返りました。
EMとして大事なことはその先の「解決すべきものにフォーカスする」という決めの部分と「解決のためになんでもやる」という徹底コミットへと続きます。
巻き起こす起こす変化の影響度が最大になるよう、現状を正しく把握/認識する手法は磨いていきたいと思います。

おわりに

宣伝をします!みなさん年末年始に食べるものは決まってますか!
まだ決まってない・・・?いいものありますよ〜〜〜🥩🐟🦀🍶


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