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自然から学ぶ

森信三『修身教授録』致知出版社 第11講 人と禽獣と異なるゆえん

お茶を始めてもう4年がたとうとしている。
私は裏千家の師匠のもとで学んでいる。
お稽古の際、茶室の掛け軸が毎回の楽しみの一つだ。
掛け軸は季節や、その人に合わせて軸をご亭主が選んでくださるおもてなしの一つである。

基本的に軸の内容は禅語である。

禅語の中には、自然の姿から比べて学ぶものが多くある。
例えば次のようなものだ。

柳緑花紅(やなぎはみどりはなはくれない)

柳は緑色、花は紅色。そのありのままの姿が真実である。
柳は緑色をなすように、花は紅色に咲くように、全てのものを客観的に捉え、あるがままを受け入れよう。

蘇軾

幽鳥弄真如(ゆうちょうしんにょをろうす)

鳥がそこにいるのは啼き声と気配で解るがが姿見えない。見えない鳥の鳴き声こそが真理である。

自然から人は学ぶ。
そして自然と比べて人間として生まれたことの意義を考えることもできる。
人間の生きる意味、意義と言ったとき、禽獣との比較から考えることの重要性を森先生は次のように述べられている。

しかるに我々人間は、自己に対する反省と自覚を欠く間は、この天地大宇宙の間にありながら、しかも天地人生の道を明らかにしえないのであります。かくしてわれわれ人間は、自己がこの世に生まれ出た真の意義を知り、自らの使命を自覚して、いささかでもこれを実現しようとするところに、人と禽獣との真の本質的な違いがあるというべきでしょう。

P80

自然からも学び、自然と比較して学ぶこともできる。
4,5月はこれまで冬の間に眠っていた草木、動物たちが一斉に生き生きと動き始める。
だからこそ、その姿からも多くのことを感じられる。
春、自然からたくさんのメッセージを受けたいなぁと思う。

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