見出し画像

【東京島酒 『嶋自慢』の飲俗學<1>】 プロローグ:『新日本風土記』で、もう一杯。

NHKで2024年2月20日(BS4K)27日(BS)に初回放送された
『新日本風土記』「東京島酒、もう一杯」

■NHK『新日本風土記』に登場した、株式会社宮原の『七福嶋自慢』

普段はほとんどと言って良いほどTVを観ないのだけど。

知り合いである「株式会社宮原」の社長宮原 淳氏と新島酒蒸留所の代表銘柄のひとつ『七福嶋自慢』がNHKのTV番組に登場すると聞いて、チェックすることにした。

番組タイトルは『新日本風土記』、題して「東京島酒、もう一杯」

いわゆる”島酒”が造られている伊豆諸島のうち、八丈島と青ヶ島、そして宮原氏が家業を営む新島の3島に取材クルーが入って制作されたドキュメンタリー番組である。

■受け継がれる青春の味、祝いの島酒

観ると、新島のエピソードには「白い島の青春」というサブタイトルが付け加えられていた。

”青春”とは何か。

縦軸に宮原社長と新島酒蒸留所で働く東京からUターンした青年櫻井浩司さんがいて、横軸に新島村の成人式に出席する新成人たちがいて、その縁を結ぶものとして芋焼酎『七福嶋自慢』がある。

株式会社宮原社長 新島酒蒸留所杜氏 宮原淳氏
新島酒蒸留所で杜氏修行中の櫻井浩司さん

島で唯一の高校「東京都立新島高等学校」では3年生となったとき、故郷を知る体験学習の一環として『七福嶋自慢』の原料芋「あめりか芋(七福薯)」栽培の時間が取られている。彼等は苗の植え付けから収穫までの農作業を実体験する。

農作業を行う新島高校の3年生たち

生徒たちが苦心惨憺の末に収穫した芋は、すぐに新島酒蒸留所へと運ばれて焼酎となるために仕込まれる。そして2年間、熟成の時を待つ。

1900(明治33)年、日本に伝来した「あめりか芋(七福薯)」

収穫した3年生たちが新島高校を卒業してから2年後、正月3日に新島本村住民センターで開催される成人式のため島に帰ってくる。

その式場で彼等が収穫した七福薯で仕込まれた焼酎『七福嶋自慢』が、祝いの島酒として贈呈されるのである。

そして今、新島酒蒸留所で修行している櫻井さんも、新島高校で栽培を体験した卒業生であり、2013年の成人式で『七福嶋自慢』の贈呈を受けた新成人のひとりでもあった。

新島高校における「七福」栽培の体験学習は2004年から始まって、今年でちょうど20周年を迎える。最初の体験者は38歳か、すでに社会の中堅として活躍しているのだ。

七福薯の栽培体験と二十歳の祝いの酒贈呈は、新島ではこれからも世代を超えて受け継がれていくのだろう。

■ドキュメンタリー番組に登場したアーカイブとしての価値。

株式会社宮原と新島酒蒸留所がNHKのテレビ番組、それもドキュメンタリー番組に登場した意義、アドバンテージは大きいと感じた。

まず民放との違い。

経費を出せばパブリシティとして取りあげてもらえる(こともある)商業放送とは違い、テーマの社会性など客観的中立的な立場での制作がモットーという公共放送に取りあげられたこと。

そして”アーカイブ”としての価値である。

NHKオンデマンドのサイトにこういう一文が記されている。

新日本風土記
日本には、長い年月をかけて継承されてきたさまざまな風習・自然・建築・工芸・食文化がある。それらは、丹念にたどっていくと、日本人が長年かけていかに深い文化を築いてきたのかをまざまざと見せてくれる。足もとに眠っていた自国の文化を再発見する喜び。一方でそれらの文化は、急速な近代化と長期不況、高齢化の中で、失われつつある現実もある。各地に根づいた文化や風習、風景などを記録し、映像遺産として未来へと伝える。

https://www.nhk-ondemand.jp/program/P201000055600000/

NHKが存続する限り、この「東京島酒、もう一杯」は保存記録として、公開の期限はあるとしても半永久的に局のライブラリーに残るはずだ。オンデマンドの時代、閲覧希望者は時と場所を選ばずこの記録に接することができる。これは大きい。


さて。『新日本風土記』を観て、とても刺激を受けた。そして、より踏み込んで、株式会社宮原と新島酒蒸留所を探り、可能な限り新島の島酒『嶋自慢』にまつわる記録をまとめてみたいと思った。

白い島の青春の酒、祝いの芋焼酎『七福嶋自慢』とともに。

<2>に続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?