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洋服で、才能の差を埋めろ

世の中は平等だ、というのはタテマエで、実際は平等でない。

 
ということは大人なら皆うすうす、いやガッツリ気付いていることだろう。例えば美少女美少年に生まれたら、それだけである程度優遇される人生になると約束されたようなものだと思う。ここだけの話性格に問題がある場合も多いけど。あ、これ公開だった。

 
“見てくれがいい”というのは、生まれ持った才能と言うしかない。スタイルがいいとか背が適度に高いというのもそうだ。こればっかりは、自分ではどうにもならない。ゲームのキャラクターメイキングみたいに選べたら、きっとみんなモデルみたいな感じにするんじゃないだろうか。それこそ乙女ゲーやギャルゲーの世界。だから、偶然生まれてくるからこそ、天然ものとしての価値があるのだ。
 

そういう人は、何でもかっこよく素敵に着こなす。じゃあ僕を筆頭とした“凡人”はかっこいい人に勝てないのかと考えた時、意外にもファッションがひとつの武器になるんじゃないかと僕は思っている。

 
何を着ても似合う人は羨ましいけれど、何を着ても似合うがゆえに自分のベストを掴んでいなかったりする。着るものに困らないからそこまで深く追求しないケースが多い。

 
逆にコンプレックスがある人は、困っているから考えざるを得ない。少しでもカッコよく、かわいく着るにはどうしたらいいか?どのブランドがいいのか?どの丈がいいのか?研究している人が多い印象だ。

 
やっぱり努力している人は強い。
知識とノウハウが蓄積されていくからアイテム選びにもプロ並みの目が利くようになる。似合うものを選べるようになるし、経験からくる独自の雰囲気のようなものが出てくる。

 
なにより才能・センスが必要なお笑いだって、それだけじゃやっていけないそうだ。今はなき(業界的に)島田紳助さんも「一発屋はたまたま時代とネタがマッチしただけ。売れ続けている芸人はこまめに時代の空気と自分のネタを合わせているから需要がある」と言っていた。常に考えてアップデートしていかないと明日はないのだ。

 
そんな事をよく言っているけど、洋服を作る人からそんな言葉が聴きたいなと思っていたら偶然見つけてしまったので、ご紹介したいと思う。
 

デザイナーの宮下貴裕氏は「NUMBER(N)INE」を経て現在は「TAKAHIROMIYASHITA The Sololist」でコレクションを発表している。独特のグランジなテイストが熱烈なファンを獲得しているブランドだ。そんな宮下氏曰く
 

洋服と仲良くなりたいって気持ちになることが大事なんじゃないかな。白いTシャツにジーンズだけでもかっこよく見える人もいる。それは羨ましいことだよね。だけど、洋服はその才能の差を補うためにあるんだと思う。洋服と仲良しになれば、そういうかっこいいやつに勝てるかも知れない。(BRUTUS 3月号より一部抜粋)

 
これを読んだ瞬間、不覚にも泣きそうになった。ヘアサロンでカラーリングの途中だったにも関わらず。確実にヤバい奴だろ。家だったらホロリと流れていたかも知れない。同じ内容でも、作り手であるデザイナーさんの言葉ほど説得力のあるものはないからだ。

 
もう本当にこの言葉が全て。 心あるデザイナーはそういう気持ちで洋服を作っている。だからみんなもそれを受け取って!そういう魂が籠もった服を着てみて!と僕が叫んだところで伝わらないかも知れないけど、そう言わざる得ない。

 
思えば自分も、そんなことの繰り返しだった。
少しでもカッコよく見せるためには、お洒落に見えるためには、と時には清水の舞台から飛び降りる覚悟でお金を出して、洋服と仲良くなっていった。時には失敗もしたけど。パリで勢いで買ったものを先月ドサっと捨てました。
 

今はラクなもの、コンフォートなものに人気が集まっているけれど、誰でも着れるものにはそこまでのパワーはない。作り手の想いが籠もった服にこそ、“才能の差”を埋め、ひっくり返すパワーがある。僕はスタイリストとして、その熱を冷まさずにユーザーに伝えていく使命があるのかなと思う。

 
世の中は平等じゃないことが多いけど、ファッションは等しく人を素敵にする。ひとりでも多くの人に、洋服と仲良くなってほしいと願う。きっと、いつの間にか”かっこいい人”になっているはずだ。

 
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