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愛 さらば愛しき人よ3

              作者 アマノコトネ
第三場 スイートな時間


ヒロコ・・・ハイ、本田でございます。え。内藤
      さん。大学でご一緒だっ
た由里さんですか?
マアお懐かしい。お嬢様や旦那様お
      元気ですか?
ハイ。今はご挨拶したように、軽井
      沢で静かに暮らしています。
マア、お出で下さいますか?マア旦
      那様もご一緒ですか?
嬉しいこと。いつでしょうか?わか
      りました。お泊まり下い。
楽しみにお待ちして居ります。ハイ
     では、詳しいことは後ほど
かけなおします。ハイ。

佐川・・・・誰?

ヒロコ・・・大蔵省・・

佐川・・・・あー大蔵官僚キャリアの内藤さんだ
      ね。来るって?

ヒロコ・・・まだ先の話だから気にしないで。そ
      れより明後日来る仲間は
派手な人達だからお酒も用意 しま
      しょうか?

佐川・・・・そうだね。皆飲むからな!焼酎は芋
      と麦と両方用意しよう。
日本酒も違う銘柄で二本はいるな、
      後はビールだろ。
アイさんはワインだったよね。


佐川・・・・舞台俳優に、ニュヨークの写真家
      に、有名旅作家、ボイストレーナー
      に和太鼓奏者。彼女は日本人の代表
      みたいな人だからな。会いた
いよ。美人だしね。

ヒロコ・・・ほんとに美人好きよね。

佐川・・・・男はみんなそうですよ。

ヒロコ・・・だから、あなたは、私なのよね 納
      得。

佐川・・・・ご冗談でしょ、奥様。執事の身分の
      私がめっそうもございません。

ヒロコ・・・ホワイトマンさん達は、小諸の島崎
      藤村のりんごの湯、目当てなんだか
      ら。みんな一流人になって、会うの
      が楽しみだわ。

佐川・・・・本当に君は顔が広いね。感心する
      よ。彼等が顔を真っ白に塗って色々
      な場所で パホーマンス集団ホワイ
      トマンをはって居た時、君は何をし
      てたの?

ヒロコ・・・下働きのおばんです。

佐川・・・・かなり、印象の強い・・

ヒロコ・・・黙れ黙れ、無礼者。図が高いぞ。

佐川・・・・はは〜お代官様。横暴だな。

ヒロコ・・・まあね。無理に割り込んだ、ホワイ
      トマン44番です。
私の次は宇宙人だったのよ。ハハ
      ハ。

佐川・・・・みんなが泊まったら、峠に連れて行
      きたいな。あそこの朝日
をみせたいよ、私達の家の土地から
      見える妙義山も見せたいな。

ヒロコ・・・思い出の場所だよね・・

佐川・・・・私達にはぴったりの場所でしょ。
      超セレブ。

ヒロコ・・・又、ロマンティストなんだから。で
      も峠の茶屋のヤマグリの
ぼた餅も最高よね。あれ売ってるか
      しら?

佐川・・・・さあね。まさか買いに行かせる、つ
      もりでございますか、奥様。

ヒロコ・・・いいえ、爺やに無理は頼めないわ。


ヒロコ・・・ねえ、ここの骨董屋さんのおじさん
      の事覚えてる?

佐川・・・・ああ、面白いこと言って笑わせてく
      れたよね。

ヒロコ・・・覚えてる。言ってみて。ねえ〜

佐川・・・・旦那さん昔の軽井沢人みたいだね。

ヒロコ・・・なんで?って私が聞いたのよね。

佐川・・・・昔は奥さんや二号さんの出産はこっ
      ちでやったものですよ。
歳がいってると恥ずかしいっていっ
      てね。
おたくもそうでしょ。てさあ。

佐川・・・・マジ顔でアンタの顔を見てそう言っ
      たんだよね、度胸あるよね。
あのオヤジさん、元気かな?

ヒロコ・・・てことは、軽井沢は年取っても恥ず
      かしくなく子供が産める場所という  
      こと
ふふふふふ。

ヒロコ・・・ねえ、愛してる?

佐川・・・・えっ。


ヒロコ・・・ヤダ、なに?ヤダ、ヤダ。本気にしない
       で。

佐川・・・・ほ*ん*き。


第4場 パホーマンス集団ホワイトマン


      ホワイトマンたちが居間で大宴会を開い
      ている。
それぞれが、好きな場所に座り、自
      分の好きな酒を抱えている。

リョウ・・・イヤア羨ましいっすよ。


リョウ・・・佐川さん、金はあるし、ヒロさんみ
       たいな融通のきく奥さんいるし。

リョウ・・・この前だって箱根の一人旅の取材の
    時。とびきりの宿を俺に用意してくれる
し、太っ腹なんだから。

ケント・・・昔こんな大将みたいな人が居たんだよ
      な。今は本当にみんなケチですよ。

ヒロコ・・・ケントそういえばお兄様お元気?国
      会議員の椅子は如何なもの?

ケント・・・マジな話。都議と違って大変そうで
      すよ。マジあの人こそパホーマーで
      す。

ユリ・・・・そこんところ知りたい。私達の清き1
      票を無駄にはして居ないよね。

ケント・・・ハイ、兄貴は皆様のおかげで当選さ 
      せていただきました。
心より感謝申し上げる次第でありま
      す。

アイ・・・・いいぞ。
ケント君は県で立候補するのかな、
      それとも都ですか?なんちゃって。

ジュン・・・・アイちゃん頭回ってるね。


リョウ・・・佐川さん、俺も若い者たちにこずか
      いやれるくらいな、大人になりたい
      っす。

ヒロコ・・・今日は佐川オケラだから逆さにして
      もでません。

リョウ・・・お姉さまのいじわる。

ユリ・・・・この焼酎うまいっすね。ウチ地酒屋
      なんで酒の味結構こだわるんです。
      美味いわ。それにこのツマミ最高で
      す。

ヒロコ・・・スーパー松屋かスーパー鶴屋か、どちら
      がお口に会いましたか?

ユリ・・・・さすが、冗談きついなあーハハハハ
      ハ。

ジュン・・・しかし、小諸のリンゴの湯最高でし
      たね。本当にリンゴがプカプカ浮い
      ているなんて日本ならでわですね、

ケント・・・日本にも無いですよ。

アイ・・・・ねえ見た見た。私の筋肉。女とは思えな
      いでしょ。

ユリ・・・・モリモリ、サスガ日本一の女和太鼓
      奏者ですね。

アイ・・・・でしょ。男湯に乱入すれば良かっ
      た。マジ。強烈。

ジュン・・・僕なんて3・11以来初めてゆっくり、
      温泉に浸かり
こんなにゆっくりと友達と語る時間
      ができたという感じです。
お二人には感謝です。

ヒロコ・・・皆さん活躍中の精鋭ばかりで何だか
      嬉しいですね。
私も遅咲きですが、こちらに来て本
      を書きました。
今出版会社に頼んで居ますのでその
      うち、見ていただけると思います。

リョウ・・・わー凄いな、僕らの世界にいきな
      り、飛び込んで来るんだからさすが
      ヒロさんですね。静かに軽井沢を楽
      しんでいるのかとおもってました。

ヒロコ・・・貧乏暇なしですよ。アウトレットに
    通いながら、楽しい作家生活をやってま
す。石くんの理想の姿でしょ。

リョウ・・・良いですよね。軽井沢のアウトレッ
      トか。行った事がない。

ケント・・・噂の軽井沢アウトレットっすか。感
      激だな。兄貴に自慢してやろう。

ヒロコ・・・歩いてでもいけるけど、明日は皆さ
      ん帰りの時間がないから直接アウト    
      レットに繰 り出しましょうか?

アイ・・・・賛成。女はショッピング。ショッピ
      ング。すみませんね。

ヒロコ・・・佐川との計画で、明朝絶景をお見せ
      したいの、県境の峠です、朝6時に
      玄関集合ですよ、お風呂を使う人は
      順番にどうぞ。明日朝はタクシー呼
      んでありますから時間厳守でお願い
      します。

全員・・・・了解です。
(明日の予定が決まり 皆がそれぞれの部
     屋に入り寝る。)

佐川・・・・若いっていいね。
ーーー跡かたずけをしながらコップ酒
      を飲む。

ヒロコ・・・みんなかなり呑んでたヨネ。りんご
      の湯に酒持ち込んだの彼らぐらいじ
      ゃない かな。あなたは、運転手だか
      ら飲めなかったわよね。ごめんね。
(佐川、空のコップを見つめながら)

佐川・・・・私はあなたの何なのでしょうね。

ヒロコ・・・何でそんなこと聞くの?あなたは私
      の大切な人です

佐川・・・・みんな知っているんですよ。

ヒロコ・・・なにを?

佐川・・・・寝ます。

佐川の背中に、ヒロコ声をかける。

ヒロコ・・・明日早いけど、運転お願いね。頼りにしてます。

佐川後ろ向きで手をあげ、無言で答える。

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