【自伝的随筆】『魔術師の誘惑』2

エンジェルナンバーの「555」を頻繁に見るようになって、一度意識したら気になる質なので、

「しがみつかず、古いものを捨てなさい」

との言葉が出たとき、身の回りの整理を始めたした。

古くて要らなくなったものがあると、新しいものが入ってこないとか。

読まない本や、そんなに衣装持ちではありませんが、ここ数年袖を通していない服を捨てるようにしました。

で、新しいものが入ってきたかと言えば、そうでもく、普段と代わりのない日常でした。

強いて言えば、心がスッキリした、でしょうか?

で、今月に入って、頭を悩ませるようなことが発生し、あと少しで楽になると思っていたのに、そのことで、あれ? これは駄目じゃないかな? と思いはじめ、それが人間関係に端を発することから、この人間関係をどうにかしないといけないな、と思いながら過ごしていました。

そしたら、その数日後にこれ以上は限界だというようなことが起きて、あっ、これもう駄目なやつだ、本当にどうにかしないと潰れる、と頭に浮かびました。

なんでこうなるの?

悪い方へ、悪い方へとスパイラルするの?

これは脱けられないのでは?

と、考えたとき、あれ? 捨てるって、人間関係や仕事のこと? と思い当たったのです。

前にも言いましたが、良く良く考えたら、今の仕事を始めてから人間関係も上手くいかず、何故か負の連鎖に巻き込まれ気味に。

この仕事が悪いわけではなく、きっとこの仕事が私にあわないのでしょう。

この仕事を始めたのは、兎に角生活するためで、この仕事が好きだからとか、この仕事が天職だからという高尚な意志はありませんでした。

ただ生活するためにこの仕事につき、前の会社の人間関係とブラックなところが嫌いで辞めて、自分で同じ業種の会社を立ちあげ、結局そのまま今の仕事をしていますが、う~ん、果たしてこの仕事が本当にやりたかったことかと問われると、正直にnoと言えます。

結局いまの仕事も、そこに繋がる人間関係も、ただ惰性に任せて、それこそ運任せにしていたのです。

「しがみつかず、古いものを捨てなさい」

これは、今の仕事のことを言っているのだろうと、そして人間関係もきっぱりと断ち切って、綺麗サッパリとした気持ちで新たに出直せ、と言っているのだろう、と勝手に解釈して、よしそれならばと、ポキリと心が折れる音がした瞬間、もういい、いままでよく頑張った、このまま食べるためだけに嫌な仕事をしていても上手くいくはずがない、この人間関係の中にいても心が安らぐはずがないと、物だけでなく、仕事や人間関係さえも整理しようと思い付いたのです。

そうすると、心が不思議と軽くなりました。

フッと重みが消えたように、心が楽になり、不安定な未来に怯えるよりも、むしろ新しい仕事や環境にワクワクして、それが成功するとはかぎらないのですが、いや、私の中ではすでに成功した自分がいて、こんな感じを抱いたのは、大学を卒業したときや、最初に就いた会社を辞めたときもありませんでした。

う~ん、それだけ追い詰められていたってことでしょうか?

大体が会社を辞める理由の大半が人間関係で、結局のところ、仕事の好き嫌いも人間関係で決まり、どんなに好きな事でもあわない人間がいれば、嫌になるものです。

私は、食べるために、とりあえず好きでもないことをし、かつ仕事を回すために気のあわない連中と付き合わなければならなかったのですから、そりゃ、心も折れますわ。

というか、もっと早く脱け出すべきでしたが、ブラック企業に勤めるとそれが当たり前になって、自分が可笑しいことに気がつかないように、これもまた自分が陥っている状況に全く気がつかなかったわけです。

いや、薄々気がついていたのですが、結局それに気がつけば、今までの自分を否定しなければなりません。

それは、端から見れば愚かなこと……でも、自分をなくすことの方が、よっぽど愚かではないか、そう気がつくのに、数年もかかってしまいました。

「しがみつかず、古いものを捨てなさい」

新しいものが入ってくるという希望よりも、古びて錆びた心を磨き直すために。

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