【詳細解説】ソフトバンク スプリント買収 2013 ppt 60ページ付き

【始めに】

本件は3年前のディールですが、ソフトバンクがスプリントを2兆円で買収するにあたり、途中からDishが参入し、価格が上がった結果、壮絶なビットとなり、最終的にはソフトバンクが勝利した案件です。

日米のキャリア、放送事業者が兆円単位のディールをガチで争っているため、買収スキーム含め論点は多岐にわたり、かなり難しい案件でした。

案件の詳細はpptを見ていただくこととして、

1.返済に関する指標を覚えること

2.M&Aの買収プロセスにおいて、スタンドアローンバリューとバイヤーズバリュー(シナジーバリュー)を分けて考えること

1.についてはその出てきた数値そのものではなく、返済に耐えうるラインを覚えていただければと思います。

また、ネット有利子負債/EBITDAについてはCAPEXが恒常的に発生する事業については慎重に確認する必要があります。

2.については、Valuationは先ずスタンドアローンバリューをきっちり算定したうえで、シナジー効果、プレミアムを議論していただきたく思います。

そして交渉において常に「今どこの価格の話をしているのか」を頭においていただければと思います。

【2013当時のソフトバンク】

ソフトバンクは従来よりビジネスのピッチが速かったですが、ボーダフォン買収前まではADSL事業を始めたこと以外は、何をやっている会社か見えにくかった部分があります。

一方で、ボーダフォン買収時はレバレッジの高さや未経験事業との背景から相当リスクの高い事業ではありましたが、劇的に売上、収益を拡大しました。

キャッシュフローベースでは、ボーダフォン買収前は営業キャッシュフローが安定せず、その結果として、財務キャッシュフローに依存する時期が長く、一時信用不安も流れましたが、ボーダフォン買収後は安定的な営業キャッシュフローを前提とした設備投資や、借入金返済を行い、財務指標を改善していきます。

・当時の国内事業環境

2013/5/15終値では、ソフトバンクMcap 7兆1559億円、NTTドコモ7兆1062億円と逆転し、KDDIは4兆4265億円と置いて行かれている状況でした。

一方でセクターそのものは安倍政権交代以降のTOPIXの上昇率をアンダーフォームしており、予想PERベースでも一般的な水準です。なおソフトバンクは当期業績予想を発表していませんでした。

最後の3軸グラフですが、円の大きさはMcapです。4期通算で見た場合、ソフトバンクは売上、営業利益を拡大しながらMcapを増加させていますが、NTTドコモは売上は伸ばしつつも利益率とMcapは漸減傾向です。KDDIは他の2社に比べ3項目すべて改善余地ありました。

【競争環境2013】(2013/5/17現在)

携帯電話事業者

Vodafone Group PLやTelefonicaなどの欧州の携帯電話事業者は自国(イギリスやスペイン)や欧州各国だけでなく、アフリカ、南米、アジアの各地域へと事業を拡大しています。

この結果Vodafone Group PLは全世界の加入者数で、China Mobileに次ぐ約3億9千万人程度の加入者数を保有しています。本拠地のあるイギリスにおけるVodafone Group PL加入者数は2千万人程度であり、自国以外で10倍以上の加入者数を保有していることになります。

世界グループ全体で2億以上の加入者数を保有するTelefonicaも自国スペインでの加入者は2千万人程度である。1カ国の人口が比較的少ない欧州においては、携帯電話サービスそのものを拡大していくには自国外に出ていく必要があります。

Vodafone Group PLはケニアにおいて、提携先のSafaricom(サファリコム、KEN)を通じてモバイル送金サービスのM-Pesaを提供するなど、途上国におけるサービス開発なども行なっています。

モバイルマネーに加えて最近ではモバイルヘルスケアサービスなどに力を入れつつある状況ですね。

携帯電話業界は、携帯電話事業者、端末メーカー、OS提供者が覇権争いをしている

スマートフォンの普及により、携帯電話端末上で様々なサービスが利用できるようになっています。これまでは携帯電話サービスにおける利用者との接点は携帯電話事業者が担っていましたが、スマートフォンの登場によりこの構図が変化している状況です。

具体的には、iPhoneであれば利用者はAppleのIDを取得し、iTunesやAppstoreを通じて様々なコンテンツやアプリケーションを取得し、Androidを搭載したスマートフォンであればGoogle(グーグル、USA)のIDが起点となる。これによって、Appleのような端末ベンダーやGoogleのようなOS提供者が直接利用者と接点を持つことになります。

当然携帯電話事業者も通信サービス提供のために利用者との接点は保有していますが、通信サービス以外のサービスを他の事業者に持って行かれてしまうリスクが生じており。こうなると携帯電話事業者は単なるインフラを提供する事業者となってしまい、ARPUを上げることが難しくなります。携帯電話は今や60億人近い加入者を保有する世界最大のインフラであり、この市場で主導権を握ることは、通信サービスの拡大にとどまらず、様々なサービスを提供する基盤を抑えることを意味する。携帯電話市場の覇権を取得すべく、レイヤーを超えてプレイヤー同士での戦いが激化していくことになります。

二つの表を見るとわかるのですが、日系キャリアは加入者別では1社も20位以内にランクしていないにも関わらず、売上・利益は10位以内に2社入っており、このことは日本の加入者のARPUがいかに高いかを示しています。

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田中 博文

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田中 博文

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