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深夜の戎橋は無法地帯になっていた

#6

甲子園で優勝を味わい、興奮が冷めないまま、
難波の戎橋に着いたのは午後11時を過ぎていた。
梅田で優勝号外争奪戦に敗れ、

甲子園観戦組は出遅れていて、
すでに無法地帯になっていた。

道頓堀川の両側には4か所のはしごが設置され、
戎橋側から御堂筋側から飛び込みを繰り返し、
あちこちで水しぶきがあがっていた。
大腸菌たっぷりの川に誰が数えたのか、

ダイブした5300人という数字に信憑性はない。
「もう、そろそろ、行こうや」
「おう、もういっぺん飛び込んでから行くわ」
わけのわからん会話が聞こえてくる。
汚臭を撒き散らして騒ぐ彼らはファンじゃない。
橋の上は脱ぎ捨てられたパンツや草履が散乱し、
空缶やビール瓶が転がり足もとがおぼつかない。
人込みに押されて何度もつまづきそうになる。
歩行者専用の橋をワンボックスカーで侵入する、
道頓堀の電飾看板や、かに道楽の看板に上る、
有刺鉄線が巻かれた信号に上る、
裸で花火を持って川に飛び込む、
奇声を発しながら叫び踊り狂う……。
飛び込むか、上るか、脱ぐか、歌うか、叫ぶか。
「バース」コールに髭の外国人が巻き込まれる。
「カニの看板に上るな、早く降りなさい。
何度も同じことを言わせるなコラ(怒)」
拡声器で呼びかける警察官の声と、
暗闇にあちこちで絶え間なくあがる水しぶき。
戎橋を通りがかった友人からメールが来た。
「まだ、飛び込んでるで」
時計の針は16日のお昼をさしていた。

今週の虎党の呟き😨

カーネルおじさんは24年ぶりに救出されてた。


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